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「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

まだ面陳されていた 【就職は3秒で決まる。裏話1】

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 今度、経済誌で新たに連載を持つ予定となっており、打ち合わせのため出版社を訪れた、その帰り道のこと。ぶらっと書店に入って就活本コーナーをのぞくと、私の本『就職は3秒で決まる。』がキレイに飾られてあり、少々驚き、と同時に嬉しくなった。というのも、本書の発売は昨年の10月。すでに4か月が経過しているのだが、それでもなお本がしっかり飾られているというのは、実はレアな状況なのだ。

 出版不況と言われる現在だが、書籍は1日に200~300冊発売される。さて、書店のスペースには限りがあるので、理論上は、新刊300冊が届いたら、当然その代わりに古い本を300冊、店の棚からどけなければならない。いわゆる返本。1日で300冊もの本が入れ替わるということは、月にすれば約1万冊。つまり、書店の棚というのは、1ヶ月でガラリとその品揃えが変わるのが常だ。

 書店・出版業界では〝面陳(めんちん)〟なるギョーカイ用語がある。本の表紙を見せて販売する手法のことで、表面を向けて陳列するから、面陳。10冊、20冊と高く平積みされた本も面陳であり、1冊だけど表紙が見えるよう壁にレイアウトされた本も面陳。表紙を見せればそれだけ消費者の目にとまりやすいが、その一方でそれなりのスペースを必要とする販売手法のため、一般的には、売れている本もしくは売れそうな本のみが面陳される。

 残りの本は〝棚差(たなざし)〟といって、本の背表紙がわずかに見えるだけの状態で、書棚に押し込まれる。目的買いの消費者でない限り、なかなか気づいてもらえない販売手法だ。でも、棚差でも書店に置かれているだけまだマシな方。それは先に述べた通り、毎日300冊もの〝ライバル〟が押し寄せるのだから、1冊の本は返本を免れるべく、日々熾烈な生き残り競争にさらされる。

 このように本の寿命は実に短く、早いとわずか1ヶ月で店頭から姿を消す。さらに言えば、発売されたにも関わらず、書店に並ばない本も多い・・・。

 例えば、初版1万部の書籍があったとしよう。日本には現在、およそ1万5千の書店がある。ということは、仮に1店舗に1冊ずつ均等に配本しても、5千の店舗には並ばないことになる。実際は、売れそうな書籍は都内の有力書店が1店舗で50冊、100冊と大量発注するため、さらに新刊が並ばない書店の数はぐっと増える。これはビジネス上、仕方のないことだろう。

 例えば、ビジネスマンの多い丸の内にある書店は、当然ながら、ビジネス書を大量に並べるし、学生が多い神田や新宿では、就活本の品揃えが豊富となる。また人の流れや消費動向を考えると、地方よりも都会、人通りの少ない小さな書店よりも駅近の大型書店に厚く配本される。

 この結果、消費者がその存在をまったく知らずに消えていく新刊は増えるばかりだ。

 しかし、今はネットがある。Amazonの日本上陸が日本の書店を減らしたのではないかという意見があるが、しかし、いつでもどこでも情報を探せるネットの発達が、本を知るきっかけを増やしたというメリットもある。

 私は以前、書店のコンサルをやっていた。それは「トヨタマンが見たら驚愕する書店マン アナタは何マン?」という記事を書いた通り。かれこれ2年以上も前の話だ。コンサルタントとして、本を売るためのシカケを考えていた話だが、そこから翻って今、私自身がビジネス書を出版する立場となっている。

 だからこそ、4カ月経ってもなお面陳されている我が本を見て驚き、嬉しかったのだ。これはすなわち、本書が売れている証左。あるいは、書店員がオススメ本として長らくプッシュしてくれているという、有難い状況。

 そこで今回から数回に渡り、『就職は3秒で決まる。』の裏話を書こうと思う。便利なネットがあるのだから、本書をすでに読んでくれた人も、また本書の存在を知らなかった人も、読んでもらえれば幸い。

 さて、本書の発売に合わせて昨年掲載した「何もしなくても就職できる就活エリート3万人の実態」というプロモーション記事が、大変大きな反響を集めた。様々な感想が寄せられたのだが、なかでも最も大きな声が、

なぜ慶応が就活エリートで、早稲田が予備軍なの?」

 という疑問。ということで次回、この辺りの話から、じわり始めようと思う。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

ファッションや音楽などライフスタイルに関するコラムも多数――。マーケティングを立て直す専門のコンサルティングです。詳しくは下記Webサイトをご覧ください。

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