オルタナティブ・ブログ > アラキングのビジネス書 >

「自分だけの武器」を持たねば、フリーランスとしては生きていけない。「オリジナルの戦略」を描けなければ、コンサルタントは務まらない。私がこれまで蓄積してきた武器や戦略、ビジネスに対する考え方などを、少しずつお話ししていきます。 ・・・などとマジメなことを言いながら、フザけたこともけっこう書きます。

2019年、インバウンド消費のヒント

»

新年になると、いつも成田山新勝寺へ初詣に出かける。参拝客数においては全国でも有数のお寺だが、ここ5~6年くらいだろうか、参拝客が減ってきたように感じる。かつて成田山へ向かう国道はひどい渋滞で車はまったく動かず、境内も朝から晩までおしくらまんじゅう状態だった。

ところが、年々渋滞は減っており、車はあっという間に成田山へ着いてしまう。夕方になれば境内もけっこう空いており、そのせいか、近年は犬を連れた参拝客も目立つように。

何だか盛り上がらないな――。おかしな話だが、スムーズに参拝できる最近の初詣にやや拍子抜けしていた。

が、今年はそんな風景にささやかな変化が見られた。
インバウンドである。

まず、お寺の場内アナウンスに中国語が流れたのにビックリした。一緒にいた奥さんも「え? 中国語?」と、顔を見合わせた。20年ほど通っているが初めての経験であり、じつはそのアナウンスに驚くまでもなく、今年は妙にインバウンドが目立っていたのだ。

中国系の人はもちろん、東南アジアらしき人も多い。

彼らが何をしているのかというと、煌びやかな花壇を背景に写真を撮ったり、人混みを珍しそうに眺めたり、屋台で食べ歩きをしたり――。お参りというよりは、「日本人らしい生活や文化を楽しみ、みんなでシェアする」といった様子である。

一瞬、奇妙な感じがしたものの、楽しみ方はいろいろあっていいわけで、むしろ、こうしたインバウンドの行動こそ、我々日本人が見落としがちな価値観や新たな消費を生み出すことも少なくない。

そういえば去年、インドネシアから古い友人が訪ねてきた際も、ちょっと意外なことがあった。

彼にとっては初めての日本。ということで、明治神宮や東京タワーといった名所を案内し、食事もお刺身やお好み焼きなど日本食ばかり連れていったのだが、なかでも彼が気に入ったのはラーメン。

しかし、食べ方がかなりヘン。
ひたすらスープばかり飲んでいるのだ。

麺はほとんど食べず、チャーシューにもほとんど手を付けない。宗教的な理由かと思い尋ねてみるが、違った。

「何て美味いスープなんだ! 複雑で、繊細で、次から次へといろんな味わいがやってきて、やっぱり日本はすごい」

醤油ラーメンのスープを飲み干した彼は、ボクの塩ラーメンのスープまでたいらげてしまった。

ちなみに彼は高級ホテルの副支配人。世界中のグルメを味わっているはず。そんな彼の舌が、日本のラーメンというか、「ラーメンのスープ」に感銘を受けたらしい。

ボクもかなりのラーメンマニアで、お腹が出るのを気にしつつも、お気に入りの名店をはしごしているが、確かにラーメン屋のスープへのこだわりは凄まじいものがある。たいていの有名店は、麺は外注でもスープはオリジナルだ。

麺もない具もない、ラーメンの「スープ専門店」って、意外とウケるのではないだろうか――。

トッピングにネギ、おろしショウガ、おろしニンニクがあれば、オリジナルの風味も楽しめる。太りにくいし、テイクアウトできるし、飲み比べを楽しめるし、店のスペースもさほど取らないだろう。

マーケティングのコンサル事務所を始めてから今年で19年。

年初になると、流通関係者から「今年は何が流行りますか?」と聞かれることが多く、ふと今年は、「ラーメンのスープ専門店」なんておかしなアイデアが過よぎった。

何の変哲もない紙カップに浮かぶ、茶色や、白や、黄金色の、芳醇なスープ――。「インスタ映え」からは程遠い。女子高生が口をすぼめてスープをすする姿はいかにも冴えない。

でも、何が流行るか分からなくなったのが平成という30年であり、だからこそ「売れないモノを売る戦略づくり」、すなわちマーケティングの巧拙が今後ますます問われる時代となるだろう。

そういえば、別の海外の友人に日本でもっとも行きたい場所を尋ねると、どういうわけか「100円ショップ!」と即答していた。

(荒木NEWS CONSULTING 荒木亨二)

日本人が使いやすいマーケティングで、あらゆる中小企業の戦略をサポート――。マーケティングを立て直す専門のコンサルティングです。詳しくは下記Webサイトをご覧ください。

ホームページアイコン.png

Comment(0)