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「リスキリング」は DX の起爆剤となるか

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10月3日に開会した臨時国会の所信表明演説で、岸田文雄首相は個人のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると表明しました。年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行と、リスキリングの支援姿勢を打ち出したものです。

リスキリング支援「5年で1兆円」 岸田首相が所信表明

「リスキリング=学び直し」ということで、文部科学省か厚生労働省が関係しているのかと思いましたが、検索してみると、このところ一番「リスキリング」に関して発信しているのは経済産業省のようですね。そういえば、このブログでも以前に取り上げていました。

DXのための人材をどう確保するか ~日米の違いが明らかに

全4部からなる「DX白書2021」のうち、第3部がまるまる「デジタル時代の人材」についてでした。その中で、日本企業のリスキリングへの取り組みが遅れている点について言及しています。しかし、もう1年前なんですね。。(ちなみに、DX白書2022というのはまだ出ていないようです。。今年は出ないのかな?)

benkyoukai_kunrenkou.png厚生労働省のサイトに、経産省の資料が載っています。厚労省の何かの会議に対して経産省から提出された資料なのだろうと思いますが、何の会議なのかはわかりませんでした。日付は、今年の2月になっていますね。

経済産業省の取組

この中で、経産省の取り組みとして「リスキル講座」が紹介されており、これは「厚生労働省の教育訓練支援制度と連携」していると紹介されています。やはり、リスキリングに積極的なのは厚労省よりも経産省の方という印象です。

一方、こちらの記事では今回の所信表明の残念な部分も指摘されています。

岸田首相キモいりの「リスキリング政策」、じつは「まったく投資金額」が足りていないと言えるワケ

政権が重点的に取り組む3分野の「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」のうちの「構造的な賃上げ」の項目に入っているということなのです。記事では、これは本来「成長のための投資と改革」に位置づけるべきものであり、予算も1兆円では桁が1つ足りない、と書いています。

確かに、「構造的な賃上げ」のためのリスキリングとなると、さまざまな分野、さまざまな業種、さまざまな職種に広く教育を提供するということになり、一人一人にかけられる予算は少なくなります。しかし経産省が興味を持っているのはDXを推進するためのリスキリングであって、対象はかなり絞り込まれることになるでしょう。少ない予算をばらまいても大きな効果は見込めないだろうということはなんとなくわかりますから、このブログの趣旨からしても、方向性としてはDXに集中して欲しいものです。

以下の記事では(記者が考える)「政府がリスキリングを急ぐ3つの狙い」が紹介されています

岸田政権が国民に迫る「リスキリング」でプロパー社員が虫の息。1兆円で支援する3つの狙いとは?日本型雇用は終焉へ

リスキリングにより「成長性の高い分野」への異動、「成長産業への転職」を目指すためとしており、「すべての分野の労働者にDX分野のリスキリングを行う」ことで将来の就労環境を整備するのが狙いだということです。タイトルにあるように、プロパーの皆さんにとってはなかなか厳しい状況になっていくのかも知れません。

そもそも、現場がリスキリングを歓迎しているかどうか、というとこれは結構微妙なようです。以前のブログで書いたように、

「DX に関わりたくない」人が急増しているのは何故?

現場の本音としては「長年苦労して作り上げた今のやり方を、いまさら再教育を受けてまで変えたくない。」ということなのではないでしょうか。しかし、そんなこと言っていられなくなっていますよ、というのが今回の所信表明だったのでしょう。これまで経営者の尻を叩いてきた経産省ですが、DXを進めるためには働く側の変革も必要ということなのでしょうね。

 

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