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「DX に関わりたくない」人が急増しているのは何故?

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ZDnetに、ショックというか、「やはり」という記事が出ています。

「面倒くさい」「かかわりたくない」--6割がDXに消極的、デジタル化と混同

記事からは対象企業がわかりにくいのですが、従業員1000人以上の大企業の従業員1000人を対象にDXに対する積極性について行った調査ということのようです。ちょっと衝撃的な結果ですが、内容を読んでみると、現場の受け取り方としてはそんなものなのかな、という感じも受けます。

1年くらい前から、「DX疲れ」という言葉がメディアに現われるようになりました。経営層がメディアに踊らされて「なんとかしろ」と下に押しつけ、「DXなんとか」という部署を作ったものの、担当者は何から手を付ければ良いかわからず、改革を迫られる現場は「何それ?めんどくさそう」という反応だということなのでは無いでしょうか。

dorei_kyousei_roudou.pngこの記事自体ちょっと不思議な感じで、何の説明も無く「4回目となる今回は」などと始まっています。それにしては過去の記事へのリンクなどは見当たらず、過去3回が誰を対象にどのように行われたのかがいまひとつ不明なのですが、それはちょっと置いておきましょう。

アンケートの結果は、DXに「絶対に関わりたくない(14%)」「できれば関わりたくない(21%)」「いわれたら仕方がない(25%)」「少しは興味がある(28%)」「ぜひ関わりたい(12%)」というもので、「いわれたら仕方がない」までを足してちょうど60%であることから、この見出しになったのでしょう。そして、DXに対する否定的な理由トップ3は「面倒くさい(235ポイント)」「大変そう(210ポイント)」「自分にできるか不安(176ポイント)」なのだそうです。

原因は経営層と現場の乖離なのか

この結果を受けて、同社CTOの石田氏は

われわれとしても衝撃的な結果。若年層はデジタルに明るいという印象があったものの、実態とギャップが生じている。要因は多岐にわたるが、原因を分析しないと(DX推進が)『笛吹けども踊らず』になりかねない

とコメントしています。やはり経営層と現場との意識の乖離があるのでは、と思えますが、その後に

個人が思い描くDXと企業が推進するDXは、乖離していないのかとの調査には、個人が考えるDXと企業が考えるDXの両方を説明できると回答した201人の87%が「一致」と回答。

という記載があります。87%って凄いな、と思ってよく読んでみると、「201人のうちの87%」なんですね。要は、全体の2割弱です。この大半は積極派の4割の中に入っているのだろうと思われますが、そうすると積極派の残り(全体の2割)は「個人が考えるDXと企業が考えるDXの両方を説明」できないということになります。

そして最終的には

経営層のDX理解度は67%にとどまり、「上辺だけの経営層」「本心がわからない経営者」「姿の見えない(ビジョンを示さない)経営者」などの意見が並ぶ。

というデータが紹介されていますので、この乖離の原因は経営層にあるのではないかというのがまとめのようです。

ダイヤモンドのアンケートでも同じ様な結果が

この記事よりも以前に、3月にダイヤモンドオンラインでも以下のような記事が出ていました。

「DXに関わりたくない」大企業の社員が44%も!ブームのはずが現場は及び腰な深刻実態

この記事の元ネタは、昨年行われた調査です。従業員1,000人以上の大企業に勤務している社員を対象に「もしあなたがDXの推進活動に関わる場合、どのように感じますか?」という質問をしたところ、「関心がない」「面倒くさそう」「やりたくない」などのネガティブな回答をした社員が44%も居たのだそうです。(対象企業の規模や選択肢が酷似していますが、数値は違うし、同じ調査というわけでは無い。。。ですよね?)

現場は実は「変わりたくない」のでは?

この2つの調査から見えてくるのは、経営層と現場の乖離によって現場の理解が進んでいない、ということなのでしょうが、本当にそうでしょうか?実は、現場に「変わりたくない」という気持ちがあるのではないでしょうか?

日本企業の強さは現場にあると言われますが、それは現場の担当者が個々に自分の業務を効率化してきたことで全体の効率が上がっているからでしょう。そして、長くビジネスを行い、そのビジネスが現在に至るまで続き、成功しているということは、現状を変える必要が無いことを意味しているわけで、変えることには慎重にならざるを得ません。経営層が如何に「改革・改革」と叫んだところで、現場の受け止め方は冷ややかにならざるをえないでしょう。「現場を一番知っているのは自分たちだ」という思いと、「この、究極まで効率化したプロセスを壊されたくない」と考えるのは無理の無い事です。

少し前の丸亀製麺の記事に書いたように、日本の現場のこのような状況は、本質的に「欧米型の」DXには向いていないのでは無いでしょうか。日本の事情に合った「日本型のDX」を考えて行かなければなりません。

 

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