5G はスマホにはまだ早い?
今月にも発表されると言われているiPhone 12の下位機種で5Gがサポートされないかも知れない、というニュースが流れて、私のTL界隈でもちょっとした話題になっていました。
このニュースを見て、私は残念というよりは、「Appleさすが」と思いました。というのも、先月書いたエントリで5Gについて書いたように、5Gはまだスマホにとってはあまりメリットが無いと思うからです。
この記事の最後に書いたのですが、
現状ではカバーできるエリアが絶望的に狭い、ということももちろんあるのですが、それ以前に今は4Gのネットワークに5Gを「接ぎ木」しているような状態であり、これが「完全な5G」に移行できるまでにはまだ数年かかる、ということなのです。
ということで、急いで5Gスマホを手に入れても、今のところ(ここ数年)は4Gと同じ通信速度しか使えず、高速な5G通信を使えるエリアは限定され、電波も飛ばないことからエリアの拡張にも時間がかかりそう、ということになります。それであれば、マーケティングのためだけに無理をして5Gに対応する必要は薄いとも言えます。
電力を大量に消費
さらに、「高速大容量」ということは、必然的に電力を大量に消費します。通信速度が10倍になって、これまでの10倍のデータをやりとりするようになったら、今ですら1日持つかどうかというバッテリーは数時間で無くなるでしょう。(もちろん、効率化などいろいろ考えられているとは思いますが)昨年発売された5G版の「Galaxy S10 X」には5,000mAhのバッテリーが搭載されているということで、これは同じS10シリーズの4Gモデルである「S10/Lite」の3,100mAhの1.6倍以上です。
上にも書いたように、すぐにはこの容量をフルに使い切るような環境にはならないでしょうし、4Gで通信している限りは従来機種よりも利用時間は増えるはずです。しかし、5G通信に備えてバッテリーを強化していることは間違い無いでしょう。ちなみに最新のS20では容量は若干減っているようですが、それでもハイエンド機種では4,500mAhです。iPhone12では逆にバッテリー容量が減少するとも予想されています(Pro Maxで3687mAh)。AppleはiPhoneが大きく重くなることを嫌っていると思えますので、その点からも5Gには対応しづらいでしょう。
Appleは5Gの部品戦略で失敗し、競合他社に比べて準備が遅れていると伝えられてきましたので、5Gの見送りはこれが大きな原因と考えることもできます。
しかし、上に書いたように、無理をしてまで5G対応しなくても良い、と判断できる状況でもあるわけです。
スマホの機能強化は飽和状態にあり、5Gというのは数少ないアピールポイントです。5G対応かどうかというのはマーケティング的には大きな違いがあるとは思いますが、その一方で5Gであることの実質的なメリットがそれほど大きくも無く、無理をして対応しても出荷の遅れや不具合の原因になるかも知れません。Appleの首脳は、そこに拘る必要は無い、と考えたのでは無いでしょうか。
やはり当面はローカル5Gがターゲットか
スマホで5Gがまったくメリットが無いとは言いませんが、やはり現下の状況では、高速通信と言うよりは同時大量接続(データ量は少なめ)を活かしたIoT用途になるのでは無いでしょうか。
むしろ私としては、冒頭のForbesの記事にあった、こちらのニュースの方がよほど嬉しいです。
4G通信のみに対応する廉価版のiPhone 12 Proが、来年初めに発売される
これを買って、次に買い替えようと思う頃に、やっと5Gが普及している、というくらいではないでしょうか。
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