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DataflexはNotes以来の成功例となり得るか?

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MicrosoftがTeamsと連携するローコード開発環境のDataflexを発表しました。

マイクロソフトが発表した新ブランド「Dataflex」--その中身と経緯を解説

タイトルにもあるように、これは新技術ではなく新ブランドで、これまでもあったPower PlatformとTeamsを組み合わせてブランディングしたものです。ノーコード/ローコード開発は今盛り上がっていて、GoogleやAWSもサービスを提供していますが、DataflexはコラボレーションツールであるTeamsとの連携を前面に打ち出したところが他と少し違っています。

この記事を読んでいて思い出したのが、かつて一世を風靡したLotus Notesです。コラボレーションツールとローコード開発基盤の組み合わせという点が似ていると感じたのです。

computer_mob_programming.pngノーコード/ローコードは古くて新しい問題

最近流行りのノーコード/ローコード開発ですが、以下の記事にもあるように、別に目新しいものではありません。

グーグルやAWSも参戦、「ローコード開発」はなぜ活況なのか

この記事でも

過去50年、日本で盛り上がっては下火になっていた「自動生成」

とあるように、「楽にソフトウェア開発したい」というのはソフトウェア開発者にとって長年の夢だったようです。

そこで初期に出てきたのが、ソフトウェアを部品化して再利用しようとするソフトウェアコンポーネントという考え方で、Wikipediaによると1960年代からあったようです。ソフトウェアのコンポーネント化は、OSやコンパイラのライブラリといったレベルではうまく機能しましたが、アプリケーションに近づくほど難しくなります。要件が微妙かつ多岐にわたるため、既存のコードの再利用のために時間を使うよりは作ってしまったほうが速かったのでしょう。ただ、この考え方は後のSOAにつながり、今ではWebサービスやマイクロサービスへとつながっています。その後、オブジェクト指向やコードの自動生成といった動きへも繋がりました。

Lotus Notesのマクロ機能は成功した最初のローコード?

冒頭に書きましたが、私は今回の発表を見てLotus Notesを思い出しました。Notesについては以前も書きましたが、

IBMのNotes売却:グループウェアはどうなる?

Notesは世界初のグループウェアであるばかりでなく、非常に強力なマクロ言語を備えていたことが大きな特徴でした。このマクロを使って、社内の業務担当者が自分たちの欲しいアプリ(会議室予約システムや交通費精算システムなど)をどんどん作っていった結果、非常に使いやすいシステムになった半面、Notesから逃げられなくなってしまった、ということです。

これはマクロ言語ですから、作り方は簡単なプログラミングに近く、今でいうローコードとはレベルが違うとも言えますが、とにかく開発の敷居を低くして、エンドユーザーが自分たちで必要なアプリを作ることができる、という状況を実現したことは特筆すべきことであったと言えるでしょう。ユーザーによる業務アプリの開発に先鞭を付け、成功させた最初の開発環境と言えるのではないでしょうか。

Notesは全社で導入する非常に高価なシステムであり、中には詳細な社内の認証権限やレポートラインなど、いわば「組織図」が組み込まれています。そして誰かが常にそれを最新の状態に保っていたため、交通費の承認や稟議(稟議はアメリカにはありませんが)のような「上司の認証の後にそのまた上司に許可を得る」といったシステムを作りやすかったことも重要なポイントだったと思います。

新たなロックインへの道か

IBMがNotesを売却する以前から、Notesユーザーの間では、高額な保守費に音を上げてNotes以外へのマイグレーションを模索する声が高まっていました。しかし、前述のようにユーザーが作りためた膨大な資産を移行する術がなく、Notesにとどまらざるを得ない、というジレンマに陥っているユーザーが多かったと聞きます。実際、グループウェア各社はNotesからの移行ビジネスを狙ってさまざまな提案を行っており、Microsoftも例外ではありませんでした。今回の発表は、同じコンポーネントをパッケージを変えて出してきたもので、コロナ禍でユーザーが急増しているTeamsの人気にあやかろうというものと見ることもできるでしょう。

しかし、DataflexはMicrosoft365のサブスクリプションに含まれ、誰もが使うことができます。そしてMicrosoft365にはAzure ADという認証基盤も含まれており、組織図に沿った認証を必要とするアプリも簡単に作成できることが期待できます。数あるローコード開発ツールの中でもこのあたりがひと味違うもので、何よりNotesの先行事例もあるため、新たなローコード基盤として成功する確率は低くないと考えられます。

これはNotesに代わる新たなロックインへの道とみることもできます。しかし、どのみち企業はOffice365にロックインされているのです。Office365を使う限り、Microsoftからは逃れられません。(Notesを導入した当時も皆そう思ったのかも知れませんが)現時点ではロックインなど気にせず、全部Microsoftに乗っかってしまった方が面倒が少なく、有利なのかも知れません。

 

「?」をそのままにしておかないために

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