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国内大企業の44%がいまだPoC段階!? ~DXはどうなる?

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先々週、DXについて書いたばかりですが、今週はちょっとショッキングな記事が飛び込んできました。PC/サーバーメーカーのDellが1000人以上の従業員を持つ企業479社を調査した結果です。

国内大企業の44%がいまだPoC段階......大規模調査で判明したDX推進の「本当の障壁」とは?

「ショッキング」と書きましたが、私個人としては、前回の電通デジタルの調査結果よりは、今回の方が納得できます。記事からいくつか数値を拾ってみましょう。

  • PoCのフェーズにある企業が44.1%
  • DXが自社で「具体的な効果を上げている」と回答し「競合企業との優位性が強くなった」企業が約14%
  • 「DX推進により財務的な貢献ができている」とした企業はわずか5.9%

電通デジタルの調査ではDX「完了済み」と回答した企業が8%でしたが、この部分は「DXの成果が出ていると自信を持って言える」と解釈すれば、上の結果ともだいたい合っていると言えます。また電通デジタルの調査では、「一部の領域で取組中」が23%、「複数の領域で取組中」が32%なので、合わせて55%。これがPoCを意味しているのであれば、10ポイントの開きはありますが、まあそんなもんでしょう。電通デジタルの調査について私は「RPAが相当数入っているのではないか」と書きましたが、ほとんどはPoCだったということなのかも知れません。

job_it_dokata.png肌感覚に一致

私が「納得できる」と思ったのは、ITソリューション塾にご参加頂いているSIerの営業担当者の方々やユーザー企業の情シスの方々、お付き合いのあるITベンダーさんとの会話など、現場の声を伺っている限りでは、こちらのほうが近いからです。「PoCばっかりで全然前に進みません」とか、「DXなんて他の星の話ですよ」といった声が多いのです。

しかし電通デジタルの別の質問では、DXで「非常に成果有り」が3%、「成果有り」が18%、「ある程度成果有り」が35%で、全体の56%がなんらかの形で成果があったことになっています。これはどういうことか。「成果」の捉え方がいろいろあるのかも知れませんね。「PoCは一応成功した」ということで「成果有り」とか、ありそうです。しつこいですが、やはりRPAも結構入っているのかも。こういう調査は難しいですね。

最も気になる点は?

さて。今回の記事で私が最も気になったのは、この部分です。

DXによる貢献が具体的に可視化されている企業は14%にとどまり、DXで実現したいテーマも「破壊的変革」より「現実的改善」が上回った。

何度も書いていますが、

「現実的改善」はDX(変革)じゃないの!

ステップとしては良いと思いますが、目指すのはやはり「破壊的変革」でないといけません。最初から改善に目標を置いておいたら、変革などできないのではないでしょうか。

「本調査の対象者は(社内の)DX担当者に限定していない」ということなので、戦略的な立場で無い方の回答も入っている可能性があるのかも知れませんが、逆に「建前」でなく「本音」であるのかも知れず、気になるところです。

 

「?」をそのままにしておかないために

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