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【43万t】 売る側のエコ、買う側のエコ on Blog Action Day 2009

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 ここにきてエコ減税の効果がものをいい、自動車販売台数が昨年対比でプラスに転じているようですね。

  •  日本自動車販売協会連合会は10月6日、9月の新車乗用車販売台数ランキング(輸入車および軽自動車を除く)を発表した。トップはトヨタ自動車の「プリウス」で販売台数は前年同月比341.5%増の3万1758台で、5月18日の新型発売以来5カ月連続のトップとなった。
  • 販売台数が3万台を超えるのは、2003年3月のホンダ「フィット」(3万2429台)以来6年半ぶりのこと。
  • 9月の新車販売台数は、前年同月比3.5%増の32万1736台。8月に引き続き、前年同月比でプラスとなった。

 クルマの売れ行きは、景気のバロメータのひとつ。原油高騰と金融危機というWパンチで、昨年後半から大幅に減速していた自動車販売が復調してきたというのは、大変明るいニュースです。
 
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 しかし。先日トヨタの辣腕営業・F君に会ったのですが、いつになく浮かない表情でした。彼は窓の外に目をやりながら、こう言いました。

「結局、今やっていることは、受注の先食いなんですよね。本来なら来年あたりに買い換えを考えていた人が、減税があるから今の内に、というのが実感です。プリウスも、今じゃ受注しても納車は来年4月以降。そうなると減税が適用されません。ということになれば、お客さんは急ぐ理由がなくなってしまう。10月以降は秋風が身にしみるかもしれません」
 
 いつになく弱気のF君に、私は少し驚きました。
 
「他の業界と同様に、自動車販売の現場でも、『エコ』がキーワードになっていることは間違いありません。でもこちらが言うエコと、お客さんが考えるエコは、意味合いが違うような気がしますね。地球に優しい、環境負荷が少ないエコカーとしてプリウスを勧めようとしても、お客さんはエコ減税に注目し、燃費がいいからエコですよねと言うんです。なんか噛み合わないんですよね」
 

 売る側のエコはエコロジー、
 買う側のエコはエコノミー。

 
 どうやらこーゆーことらしいです。
 
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 F君によれば、最近プリウスを買ってもらったお客さんから聞く話として一番多いのが、燃費が良くないって話だとか。どうやら38キロも走らないという不満を感じているようなんです。そりゃそうでしょう。38キロ/Lというカタログ掲載数値は、一定条件下ではじき出された、いわば理想値。もちろんウソじゃないけど、この燃費をはじき出すには、条件が揃う必要があります。
 
 「お客様が燃費を気にされるのは当然。でも、あまりにこれ一辺倒だと、正直寂しい。新型プリウスは、他にも話題にしてほしいと思う点がたくさんあるクルマですから」
 
 今の自動車業界は、HV、EV、そして燃料電池車と、エコカー開発にまっしぐらです。同じHVでも、さらなる燃費効率の向上を図るべく、
プラグイン・ハイブリッド車の開発が進んでいます。これは電気で走ることを中心とし、ガソリンエンジンがそれを補完する形になるとか。考え方としては、ホンダのインサイトと真逆ですね。また既存車種、中でもファミリーユースの大衆車に搭載されてくるという噂も聞こえてきます。そうなるとより普及が進むことでしょう。
 
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 さて、
本日10月15日は、世界ブログアクションデー佐川さんから教えていただいたイベントで、世界中のブロガーが同一のテーマでブログ記事を書き、世界中で考えてみようというものです。私も恥ずかしながらエントリーさせていただきました。今年のテーマは、「気候変動(Climate Change)」。私が考えるには余りにも大きすぎるテーマなので、そこは毎度のごとく、身近なエコから考えてみることにしました。
 
 
たとえば、プリウスを買うと、どれくらいCO2排出量の削減に貢献できるのでしょうか
 
 あるユーザーが、燃費13km/Lのクルマから、プリウスに乗り換えたとします。プリウスは燃費38km/L(カタログ値)ですから、年間1万km走行すると仮定すると、ガソリン消費量は、プリウスに乗り換えたことで、
 
 (10,000km÷13km)-(
10,000km÷38km)=506.1L
 
となり、
年間約500リットルものガソリンを節約できる計算になります。1Lのガソリンから排出されるCO2は、2.36kgとされていますので、単純に計算すると、
 
 506.1L×2.36kg=1194.3kg
 
つまり、新型プリウスへの乗り換えにより、年間1.2t弱の
CO2排出量を削減できる計算になります。さらに、広く日本全体で見てみると、新型プリウスは9月に約3万台売れましたので、強引にこのペースで売れ続けるとして、年間で36万台。すると、
 
 1.1943t×36万台=429,948t
 

年間約【43万t】というCO2排出量を、新型プリウス効果で削減できるという計算になります。これがどれほどの価値があるのか。日本のCO2総排出量は、年間で13億トン(2007年度)とされています。また、昨今の土日祝日高速道路1000円化によって、年間CO2排出量が204万トンも増加するという試算があります。こうした数値に比すれば、プリウスがCO2排出削減に貢献する度合いは、ほんのわずかだという見方をされる人もいるでしょう。でも、今後続々とエコカーが世に送り出されてくることを考えると、プリウスが踏み出した一歩は、やっぱり大きなものなんだろうなと思います。
 
 ここまで粗雑な試算におつきあいいただきありがとうございました。

 
  ■Twitter http://twitter.com/akinorin

Comment(2)

コメント

Blog Action Day への参加、私がお礼を言うのもおかしいですが、ありがとうございます。
インターネットの偉大なところって、個人一人一人が踏み出す一歩の重みが、ストレートに実感できることかも知れません。

佐川さん、今回はご紹介をいただきありがとうございました。
 
仰るとおり、貴重な経験をすることができたと実感しています。
何事も、見るのとやるのとは大きな違いがあります。
世の中にとっては小さな一歩ですが、わたしには大きな一歩となりました。
感謝しております。

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