【7分】 マクドナルドのポテト試食サービスは、暴走かクリーンヒットか
先日、うちのカミさんが主婦仲間数人と近所のマクドナルドでお茶してたときのこと。ベテランの店員さんが近づいてきて、「ポテトの試食はいかがですか」と、小袋に入ったフライドポテトを提供されたそうです。時は平日の午後、土日のマックとは違って比較的すいていたようですが、予期せぬ「差し入れ」に、全員が驚き、そして喜んだらしいです。みなさん、こんな経験したことありますか?
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詳しい方なら周知の話だとは思いますが、マクドナルドには元来、【7分】ルール・10分ルールというのがあります。これは作ってからポテトで7分、ハンバーガーで10分を経過すると廃棄するというもの。アルバイトによるオペレーションでも可能な品質管理を徹底する、マクドナルドらしい基準です。もうひとつ、90秒ルールがあります。これは注文を受けてから90秒以内で商品の提供をしようというものです。
しかしこの管理基準を徹底しようとすると、廃棄ロスの発生率が上がります。注文を受けてから90秒以内で商品を提供するためには、ある程度の商品作り置きをする必要が生まれます。いくら厳密に予測を行ったところで、ある程度のロスは避け切れません。
そこで2001年から導入したのが、「メイドフォーユー」という新システム。詳細は割愛しますが、注文から高速調理、商品提供までの行程を秒単位で改善し、作り置きをしなくても迅速に商品提供ができるような工程管理を実現しました。これにより、廃棄ロスは劇的に改善したというわけです。
でも、注文のキャンセルなどによる不可避なロスは発生します。マクドナルドでは、こうした廃棄ロスについても、回収し肥料化・飼料化するシステムの導入を進めているようです。しかし、ここまで考えても、やっぱりロスをゼロにすることはできない。ならば、発想を転換し、ロスはなくならないという前提で、それをロスではなくプロフィットに変える方法はないものかと考えてみる。それが求められているのではないでしょうか。
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話を元に戻しましょう。かみさんがゲットしたポテトサービスは、なぜ行われたのでしょうか。これはまったくの私の推測ですが、
- このままいくと廃棄されてしまうポテトを、7分経過する前に、販促サービスとして店内の顧客に提供した
のではないでしょうか。今回のサービスが、マクドナルド全体の施策なのかどうかは不明です。少し調べた限り、こうした事例を他店舗で見つけることはできませんでした。ことの真偽はともかくとして、私は今回のポテトサービスを、とても柔軟な作戦だと評価したいと思います。ナショナルチェーンで、1店舗が勝手にそんなことしちゃダメでしょ、って言われる方がいらっしゃるかもしれませんが、私なら「ナイスアイデア!」と拍手あげたいですね。
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コンビニチェーンで賞味期限切れの弁当を巡る問題が話題となっています。どう対処するのが適切なのか、いろんな意見があることは承知しています。しかし、大量に発生してしまう廃棄ロスに対し、店として何か打つ手はないものか。関係者なら誰もが考えることです。
捨てるくらいならサービスしてもいいじゃん、と、簡単に論じることができる問題ではないのかもしれません。しかしながら、今回のポテトサービスは、「廃棄ロスをなくすこと」と、「顧客に喜ばれるサービスを提供すること」を、矛盾なく両立させる一つの方法ではないかと思ったわけです。憶測に過ぎない話を、こんなに大風呂敷広げちゃってすみません。
このことをカミさんに話したら、「よくまぁそこまで妄想できるわねぇ」と一笑されました。そうなんですよね、まだ私の妄想でしかないのですが。でも楽しくないですか、こんな妄想なら。
カミさんは、こうも言いました。「あの店に行くなら、午後3時頃がオススメよ」。主婦の口コミは強いですよ~。。。