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【2/3】 小学校の頃、教科書で習ったこと

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 ロイターが三菱自動車の株主総会でのできごとを報じています。

  • 三菱自動車工業は22日午前、都内のホテルで定時株主総会を開いた。株主からは、前年度に最終赤字となった業績よりも電気自動車への質問が集中した。
  • 総会の席上、前田真人副社長は、この夏に発売される電気自動車『i-MiEV』について、「2010年代半ばまでには(政府の補助金を利用して)顧客の実質負担額で200万円を切る価格を実現させたい」と述べ、電池生産コストなどの低減活動を積極的に進める方針を明らかにしています。

  ※ロイター2009年6月22日付けより一部引用

 この春にはホンダからインサイト、そしてトヨタから新型プリウスが相次いで発売となりました。折しもエコカー減税の追い風を受け、2台のHVが低迷する自動車販売市場を牽引する競争を演じています。世界に目を広げれば、クライスラー・GMという米自動車業界の巨頭が相次いで破綻し、自動車産業を取り巻く環境は世界的に逆風強しといった印象ですが、その中にあってHVは世界市場でも日本が一歩リードして走っており、今や世界中の注目が集まっているようですね。

 そこにたたみかけるように、今年夏、いよいよ三菱自動車から世界初の量産型EV『i-MiEV』が発売となります。

  • 「電気自動車は、『次の100年』で中心的役割を果たす究極のエコカー」。三菱自の益子修社長は5日のアイミーブ発表会でEV(電気自動車)の将来性をアピールした。三菱自は1960年代にEV開発に着手し、経営不振が深まった04〜05年も開発を継続。トヨタ、ホンダがHVを相次いで発売する中でも、あえてEVに集中投資し、真っ先に量産にこぎつけた。

  ※毎日.jpより一部引用

 量産車種とはいえ、400万円を超える車両価格、1回の満充電で160kmという走行距離、充電インフラの不足など、一般販売に向けた課題はまだまだ多く、その意味ではまだ手放しで喜べる状況にはありません。今後の動向を見守っていく必要があるでしょう。

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 EVの量産を発表しているのは、三菱だけではありません。

  • 富士重工業は6月4日、リチウムイオン電池を搭載した電気自動車「スバル プラグイン ステラ」を発表した。同社が直接販売を行い、7月下旬から納入を開始する。
  • スバル プラグインステラは軽乗用車のステラをベースに開発した電気自動車で、最高速度は時速100キロ、完全に充電した状態から走れる距離は90キロ。空の状態から満充電までにかかる時間は、家庭用100Vの交流電源で約8時間、200Vで約5時間。専用の急速充電設備を用いると、バッテリー容量の80%までを15分で充電できる。

  ※Biz誠より一部引用

  • 日産のカルロス・ゴーン社長もEVを次世代市場の主流と見る。日産は2010年にEV販売を開始する方針で、初年度の生産規模を三菱自のアイミーブ(2000台)を大きく上回る年5万台に設定。国内外の政府の手厚い普及支援策も当て込み、「排ガスを出さない『ゼロエミッション』車でリーダーになる」(ゴーン社長)と意気込む。

  ※毎日.jpより一部引用

 富士重工業は昨年末の株主総会で、EVを自ら「切り札」と表現。「3、4年のうちに200万円レベルの価格を実現」(株主総会発表資料より)と強気の発表を行っています。EVは、まだ数年前まで「絵に描いた餅」と言われていましたが、今年はいよいよ昔年の夢が実現にこぎ着けたことになります。

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 日本は工業の国であり、ものづくりで世界をリードしてきた・・・私が小学校の頃、社会の教科書でこんな風に教えられたと思います。全国にいくつもの工業地帯が形成され、電気や自動車などの産業が高度成長期を築いてきたと学んだように記憶しています。

 大学を卒業して就職する頃、私は情報産業を選択しましたが、日本を代表する某メーカーを選択した友人はこう言いました。

「俺はものづくりが好きだから、メーカーに行くよ。でも俺の初任給はお前より2万円以上低いんだ。そしてこれからもその差は開いていく。これじゃ誰もメーカーに行きたいと思わなくなるよな」

 私が就職する頃、若者のメーカー離れはすでに顕著となっており、理系を出て金融業やサービス業に就職する者も多数出ていました。その後も流れは変わることなく、今では日本の全就業者の【2/3】が3次産業に従事するまでに至っています。

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 私は雇用に関わる仕事を長年してきました。ここ東海地区は、自動車を中心とする製造業の集積地。その中で、年々加速する若者の理系離れを憂い、製造現場の職人芸とも言われる生産技術が次世代に伝わらない歯がゆさを感じる毎日でした。時にはメーカーの人事チームとタッグを組んでいっしょに採用PRに力を注ぎ、時には世界に誇れる製造技術を求人情報誌で特集記事として紹介したりと、折に触れてメーカーの採用支援を行ってきました。しかしながら私の微力ではいかんともしがたい現状に、なすすべはありませんでした。ものづくりの現場には、本当に素晴らしい魅力があります。それを肌で感じながら、流れは変えられませんでした。これでいいんだろうか。この国は日本はこれからどうなってしまうんだろうか。大学に移ってからもずっと、この思いは消えることがありませんでした。

 今、HVやEVが世界を一歩リードしつつある現状に、私は本当にワクワクしています。日本はコレで世界を再び牽引できるかもしれない。国内の切磋琢磨が世界をリードしていけば、かつてのものづくり立国が復活する日は遠くないんじゃないかと。

 恥ずかしいほどの大風呂敷を広げて申し訳ありません。でも、ちょっと心が躍っています。やっぱりこの国はこうでなくちゃ、と。あと何年かしたら、小学校社会科の教科書には、「…2009年に初めて量産型EVが発売、日本の製造業が復活…」なんて書かれたりするのかな。その日を心待ちにしたいと思っています。。。

Comment(2)

コメント

K

僕も同じことを思いました。
EVは今後の自動車業界の命運をかける最重要課題です。
各メーカーが競ってこの分野を伸ばしていけば近い将来には僕にも購入できるようなEVが発売されるかもしれませんね。
今はまだ夢の車ですが、この分野に興味を持った若者たちが世界をリードするような技術で日本の基幹産業を支えてくれるといいですね。

Kさん、共感コメントありがとうございます。
 
一歩踏み出したことで、夢がカラーになったような気がします。
1km走るのにかかるコストが、プリウス:EVでも3:1くらいとの試算もあるようですから、
こりゃデッカイ話ですよね。
若者がまたメーカーにどんどん入ってきて、ものづくり2.0時代を作ってくれるといいなぁ。

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