オルタナティブ・ブログ > 中村昭典の気ままな数値解析 >

●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【277,493件】 ITが生み出しているものは、空気なんじゃないか、という仮説

»

 前回、円高についてのエントリーを書きながら、頭の一方で考えていたことがあります。それは、社会人として、ブロガーの端くれとして、父親として、一人の小市民として、何かできることはないのか、ということ。偉そうなことを書いた手前、自分から何かやらんといかんなぁと思ったわけで。

 残念ながらまだ何もアイデアがないのですが、悶々としている中でふと考えたことは、円高だったり株安だったりという現象は、どうして起こるのか、ということです。これまた大きな風呂敷ひろげちゃって〜って感じですが。

 たとえば円高というのは、数値で表れる事実でもって、誰もが「昨日より○円○銭の円高」って共通認識できるんですが、じゃぁなぜ円高になるのかってのが、今ひとつ漠然としてる。「○○長官の発言は、重要度レベル3だから、○○銭円高ね」なーんてルールがあるわけでもない。いってみれば、為替を売り買いする人たちが、先を読んで、エイヤーって決めるわけでしょ。相場がどう動くのかは、もちろん経済の原理原則みたいなこともあるんでしょうが、その通りにならないのが世の常っていわれるくらいで、当てになりませんよね。ならば、何が相場を動かしているのか。思うに、一番大きな要因ってのは、すごく漠然とした「感じ」なんじゃないでしょうか。プロの予感、みたいな。雰囲気っていうか。空気っていうか。

 じゃぁ、そうした「感じ」「空気」はどこからやってくるのか。そりゃプロ諸氏の嗅覚もあるでしょう。いろんな経験もあるでしょう。そこでまた考えたんですが、相場を動かす「感じ」「空気」ってのは、いろんな「情報」から醸成されるものじゃないでしょうか。現代のIT全盛時代には、世界中で起こっている情報が瞬く間に広がります。そうした情報が蓄積され、「感じ」「空気」を生み出しているとは考えられないでしょうか。為替相場に限らず、株式相場に限らず。

 ::: ::: :::

 経済アナリストの方々のコメントをよく見ていると、必ず使われるフレーズってのがありますよね。「…景況感が悪化するという思惑から円が買われ…」「…アメリカ経済の先行き不透明感からNYの株式相場が急落し…」といったやつです。そう、誰もが毎日のように見聞きしているフレーズです。ここには「感」がついてますよね、たいてい。相場は、「感じ」、つまり「空気」で動いているんです。そして、それを生み出しているのが、世にあふれる「情報」なんじゃないかと思うわけです

 こうした「感じ」が先行し、実体が後を追って形成されるというのが、昨今の経済の流れのように思われます。たとえば日銀の短期経済観測を代表例として考えれば判るように、数値としてよく取り上げられる各種指標も、実は「感じ」の集合体だったりします。これは専門家の判断ですが、では一般市民レベルではどうでしょうか。

 Googleのブログ検索で、この1年間(20071201〜20081131指定)で「円高」を検索してみると、【277,493件】、「株価」では452,012件、「為替」では944,815件ものヒットがあります。言うまでもなくブログはビジネスでも様々活用されていますが、多くの一般人が円高・株価・為替をブログで取り上げていることは間違いないわけで、書き手だけでなく読者も含めれば、IT技術の普及により、経済に関する相当数の「情報」が飛び交い、関心を寄せている様が伺えます。こうした「情報」から、社会の中に、「感じ」が形成される。そう言えませんか。

 ::: ::: :::

 ここで、またまたまた考えたのですが、じゃぁITが流す「情報」ってのが、明るいものばっかりだったらどうなるんでしょうか。世の中には明るい「空気」ってのができるんじゃないかなぁ。つまり、辛く暗い時は、意識的に明るい話題をたくさん伝える努力をみんなですれば、ITを媒介に明るい「感じ」が伝わり、「空気」が明るくなるんじゃないかと。ネガティブな批判を繰り返すより、もっとポジティブな提案をするとか。円高で苦しんでいる様を紹介するよりも、円高がプラスに働いている側面をクローズアップするとか。どうも最近は、マスメディアも経済のプロ諸氏の発言も、マイナス面を強調し過ぎている印象がぬぐえないんですよね。

 私は、情報操作をしようと言ってるんじゃないですよ。辛いときこそ笑って、暗いときこそ上を向いて、みたいなことです。そうすれば、ITが世の中の「空気」を変えられるんじゃないかなぁ。これだったら、ブロガーとして何か私にもできるかもしれない。そう思ったんですけど。どうですかね。

 すみません、稚拙な夢話におつきあいいただきありがとうございました。

Comment(3)