【24.7%】 団塊世代をマーケティング的にとらえたイベント「アクティブシニア・フェア」
マーケティングのスタンダードな手法として、世代毎の特性をとらえて商品・サービス開発を行うというのがありますよね。大胆にも、「アクティブシニア・フェア2008」というダイレクトな名称で世代を限定したイベントが、4/10~13、名古屋ドームで開催されています。その名称からも容易に想像できるとおり、いわゆる団塊世代を含むシニア層を対象に、様々な商品やサービスを紹介する見本市形式のイベントです。昨年第1回が開催され、入場料1,000円が必要な有料イベントながら、会期4日間で12万人を動員したといいますから、結構すごい集客力だと思います。
会場では、華やかな展示とステージが連日繰り広げられており、今年も多数の来場者が足を運んでいるようです。トヨタ自動車が快適・安全なカーライフを紹介するブースのとなりでは、ダイワハウスが免震装置を設置して地震体験サービスを提供し、また東京三菱UFJ銀行は老後資金の運用相談を引き受ける、といった具合。ステージでは演歌歌手の八代亜紀さん、失楽園・鈍感力作家の渡辺淳一さんが来場者を楽しませ、懐かしの名車展示やスポーツ健康ゾーン、グルメゾーンと、1日楽しめる仕掛けがいっぱい用意されています。それこそ“アクティブ”な“シニア”は、自分たちをシニアと表現されることに抵抗感を示すと思っていましたが、そんな危惧は無用のようで、実に元気よく会場内を歩き回っています。そんな姿を見るにつけ、今回のフェアの仕掛けの中に、団塊世代を含むシニア世代を引きつけるヒントがあると考えるのは自然なことでしょう。
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このイベントには、私も仕事で協力しています。私が在籍する中部大学を含め、愛知県下11大学が協力し、「生涯学習インフォメーション」というコーナーを主催者ゾーンの中に設置。来場者に対して、さまざまな生涯学習情報の提供と相談に応じています。このコーナー開設に至った背景には、昨年度の来場者マーケティング結果が色濃く反映されています。
アクティブシニアフェアの出展企業誘致用パンフレットの中には、昨年度のフェアの来場者アンケート結果が掲載されており、そこにはシニア世代が何を求めているのかが端的に示されています。
■今まで以上に時間をかけたいことは何ですか?
1位 スポーツ・運動 41.6%
2位 夫婦の時間 28.0%
3位 生涯教育 【24.7%】
4位 読書 23.7%
5位 映画鑑賞 20.7%
(アクティブシニア・フェア2007来場者アンケート・有効回答2,715名より)
来場者の約1/4が“学び”の情報を求めている…この結果をふまえて、イベント主催者である中日新聞社と協議を繰り返し、生涯学習情報を提供するコーナーを開設することになったわけです。コーナーの運営は、愛知県下の11大学が加盟する、あいち生涯学習・エクステンション研究会(通称ALLEX)と、名古屋市教育委員会の生涯学習推進センターが行っています。今日までに多数の来場者がコーナーに立ち寄り、資料片手に相談に訪れています。この光景を目にすれば、今のシニア世代がいかに元気なのか、よくわかります。健康に問題さえなければ、時間とお金に余裕があるシニア世代のパワーは、若者たちをしのぐのかもしれません。
個人的には、世代で商品やサービスを考える、いわゆる世代別マーケティングという手法には無理があるのではと思っていますが、今回のベタなイベントが大盛況である現実を見る限り、スタンダード・マーケティングは健在という印象です。シニア世代に商品やサービスを売りたい企業が“手ぐすね引いて待ち受ける”会場に、“そんなの関係ねぇ”といわんばかりに、シニア世代が押しかけて元気に歩き回る…さてこの勝負、どちらの勝ちでしょうか。。。