SNSビジネスで思うこと -mixi型ビジネスは正しいのか-
昨今SNSビジネスが注目されている。インターネットヘビーユーザーはネットレーティング
の調査によると3,000万人を超えているのに対して、直近総務省が公表したSNS利用者は
800万人を超えており、ヘビーユーザーの3人に1人はSNSを利用している計算になる。
BtoC型のSNSでは会員数500万人と圧倒しており、上記単純計算から市場シェア60%を
超えているmixiには特に注目が集まっている。株式公開もいよいよ9月14日に迫っており、
株価の動向には注目される。
SNSはその集客力、またここ数年注目されているWeb2.0を代表するようなビジネスで
あることからすごいというイメージが先行するが、ここでふと疑問が浮かぶ。
『SNSの収益モデルはなんだろう?』
mixiのSNSの収益源を見ると広告が主なものである。しかしながらリーチできる会員が
500万人いるにも関わらず、2006年3月期のインターネットメディア関連(主に広告と考えら
れる)売上は6億程度である。人と人とをつなぐツールとしてSNSは有効なものであるが、
SNS自体を単体のビジネスとして捉えるのは難しいのではと考える。
平成18年8月にオプトとクロス・マーケティングがブログ・SNSについて調査したレポート
がある(調査資料)。
これによるとSNSを利用するなかで広告をクリックしたことがないユーザーは60%近くに
のぼり、mixiの広告売上、また利用者の状況を鑑みると広告ビジネスで収益を上げると
いうビジネスモデルは決して得策ではないと考える。
ツールとしては便利だが、営利目的としてはSNS自体をビジネスとして捉えるのは難しい
と考える。
ではSNSビジネスを考えた場合、どのようなビジネスモデルが良いのだろうか?
その問いには先ほど紹介したオプト・クロスマーケティングが行った調査に答えがあると
考える。
TV、雑誌などの既存媒体は商品を知る、理解するために利用される。一方SNSは
購入した商品の評価を他社に伝えるバズマーケティング的な目的で活用されるケース
が多い。以上のことを踏まえると企業が自社の顧客属性を把握し的確なプロモーションを
行うためのマーケティングツール的(リサーチ・リサーチに基づく企画・プロモーションまで
含む)な目的として利用も考えられるのではないだろうか。
例えば、エイベック研究所という企業があるが、同社はSNS的なサービスをクライアント
に対して、マーケティングサービスとして提供しており、71社に対しての導入事例がある。
また、マーケティング的な目的で導入されているかは定かではないが、ドリコムのような
SNSツールを担ぐSIerも増加しており、今後はmixiのような『BtoC』型のビジネスモデルも
さることながら『BtoBtoC』型のビジネスモデルとしてのSNSビジネスが成功するのでは
ないだろうか?
現在Web2.0というと収益モデルを『広告』と結びつけてしまう傾向があるように思えるが、
それは本当に正しいのだろうか。単にWeb2.0という言葉先行のビジネスより、ビジネス
モデル、収益モデルをより深く考える必要があるのではないかなと感じます。
参考文献・データ
○『ブログ・SNS利用状況調査』 オプト・クロスマーケティング調査(2006年8月リリース)
○『インターネット白書2006年版』 インプレス発行
○『企業向けブログ・SNSはいつ頃ブレイクするか』 ITメディア 藤巻氏ブログ
URL:http://blogs.itmedia.co.jp/nobu/
○エイベック研究所ホームページ
○『広告モデルはカネを産むか?』 ITメディア 内田 隆平 氏ブログ
URL:http://blogs.itmedia.co.jp/ruchida/2006/09/post_c3d1.html#comment-661461