デジタルサイネージに対する期待と課題を考える
最近デジタルサイネージという言葉を耳にする機会が増えている。
デジタルサイネージとは、屋外や店頭、交通機関など一般家庭以外の
場所においてディスプレーなどの電子的な表示機能を使って発信
するものと、デジタルサイネージコンソーシアムでは定義している
(参考資料1ページ)。
デジタルサイネージが提供するものとして大きく以下の機能がある。
● デジタルサイネージの機能
・ 販売促進機能
・ 広告機能
デジタルサイネージの市場規模について、矢野経済研究所では、
296億7500万円(2007年実績)から、2010年には500億円まで拡大
すると予想している(参考記事、参考資料2ページ)。
最近では、ソニー、電通、NTTなど大手の広告代理店や機器・
ネットワーク事業者が市場への本格参入を表明している。
デジタルサイネージの効果測定についても、米国のtruemedia社が
小型カメラを用いて、見ている人の顔を認識する技術を開発するなど、
広告/プロモーションから効果測定まで一通りのサービスを提供
できる環境が整いつつある。
では、デジタルサイネージ市場が今後順調に伸びていくのか。
そこには、『視認』という大きな課題がある。
【デジタルサイネージの課題 】
矢野経済研究所が2008年9月に男女354人に対して行った調査によると、
デジタルサイネージの接触場所と印象について、『デジタルサイネージの
接触機会が多く、コンテンツもよく知っている』を選択した対象者は
最も多い交通広告でも28.5%と『コンテンツまであまり意識していない』、
『(コンテンツを)みたことがある程度)』を選択した対象者の比率よりも
少ない(参考資料3ページ)。
実際の日常生活を像してみても、映像広告をはじめ、屋外で広告に接触
する機会は多く、無意識に広告を見ている場合が多いのではないだろうか。
私自身も、渋谷/新宿などターミナル駅の駅近郊、屋内ではスーパーや
ドラックストアなどの小売店舗、他にもレストラン、ビデオレンタル屋
など例を挙げればきりがないが、デジタルサイネージやその他にも多様な
広告を目にする機会が多い。しかしながら『では今日どんな広告を見たか』
と尋ねられたら、なかなか頭には思い浮かばない。
私の仕事上においても、プロモーション/広告ツールに関する効果測定を行う
機会があるが、屋外等では他の広告のノイズが多く、なかなか商品の『認知』、
『理解』につなげるのは難しい印象を持っている(もちろんデジタルサイネージも
同様である)。
『デジタルサイネージ』自体で商品の認知や理解を促進させる事を期待するのでは
なく、『商品の興味を更に持ってもらう補足的なツールの一つ』としてデジタル
サイネージを利用することの方が、より効果をもたらせるせるのではないだろうか。
●参考
・ ITメディア関連記事:デジタルサイネージが広告ビジネス・セールスプロモーション戦略に変革をもたらす
・デジタルサイネージコンソーシアム
・湯川鶴章のIT潮流
・矢野経済研究所調査データ:デジタルサイネージに関する調査データ2008
・矢野経済研究所調査データ:デジタルサイネージに関する意識調査
過去関係ブログエントリー:『広告効果測定』 本当に大切なのは何か!?