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社会保障と税の一体改革「子ども・子育て新システム」に思うところ

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社会保障と税の一体改革「子ども・子育て新システム」を含む社会保障分野の国会審議が連休明けにやっと始まった。

「子ども・子育て新システム」の検討会議自体は一昨年の9月に始まり、今年の2月に基本制度のとりまとめが発表されている。現在審議入りしているものはその基本制度を法案化したものになるが、今更ながら、各メディア含め様々なところから問題点の指摘や反対意見が出ている。

メディアの取り上げ方も以下のような記事が目につく

・新法案は本当に子育て支援になるのか:日本経済新聞 2012.5.6
・子育て新システムの落とし穴 保育先確保 自己責任化の恐れ:東京新聞 2012.4.12

上の二つの記事はどちらも、財源の問題や新制度(総合子ども園や、公的契約による直接契約化)の問題点や課題について指摘をしているが、そんなことは随分前に分かっていたことで、今更指摘してどうしたいというのだろう?
審議入りしたこの段階でこのような主張をするのであれば、昨年の中間とりまとめの段階で、もっと大きく取り上げて、世論を動かし、子育て当事者も含めて建設的な議論を長い時間をかけて行えばよかったのではないだろうか?

今回の社会保障と税の一体改革や、「子ども・子育て新システム」を含む社会保障改革など、政府が提出する法案や骨子、大綱に関しては、内閣府のワーキングチームや検討会議で検討を進められてきたものがほとんどで、検討会議は事前に申し込みさえすれば、一般の方でも傍聴をすることは可能だし、動画や議事録(発言録)、配布資料に至るまでインターネットで閲覧することが可能だ。

ただ、過程の段階にあっては、消費税増税8%!10%!みたいなインパクトの強い要素だけがメディアに取り上げられ、地味だが重要で喫緊の課題である社会保障のことが取り上げられることは少なかったように思う。

政府や自治体の情報公開、広報・広聴活動自体は、望めば情報を得られる状態であり、パブリックコメントなどの募集を見逃さなければ、意見も述べられるような枠組みにはなっている。ただ、数年前に問題になったタウンミーティング、最近話題になった全国・地方紙の15段全面広告のように費用対効果が疑問視されるものや、そもそもやったという事実だけで、効果がほとんどない(見られていない)ものも少なからずある。

今回の社会保障と税の一体改革に関しても、今年の1月に「社会保障税一体改革情報発信推進室」という組織ができ、各閣僚が全国47都道府県を回って対話をする「『明日の安心』対話集会」 という集会を2月から始めている。集会の模様は、サイトには議事録(発言録)、動画がYoutubeに掲載されており、スケジュールなどはFacebookに公式ページを作って掲載されているなど、新しいサービスや技術を積極的に取り入れているようにも思える。

ただ、私も神奈川(なぜか小田原)で開かれた対話集会(議事録動画)に実際に参加して意見を述べたが、そもそもが参加者に相当のバイアスがかかっている。民主党政権に否定的な意見を持つ声の大きな人や、時間に余裕のあるご高齢の方などが非常に多く、「子ども・子育て新システム」の恩恵を受ける子育て当事者の方は本当に一握りだ。議事録や動画を見ていただければおわかりになるが、意見の内容も増税に対する反対意見を述べる方、増税以外の経済対策の持論を述べる方、自らの政治信条などを滔々と読み上げる方など、あまり建設的な議論はなく、実際の当事者の声を聞けているとはお世辞にもいえない会であった。

ただ、こういう会が悪いといっているわけではない。希望すれば誰でも参加できるわけだし、全国47都道府県でやるというのも、中身はともかくとして、新聞・テレビなどにぶら下がり取材の模様や、会自体が記事として取り上げられてそれなりにパブリシティ効果が無いわけでもない。

しかしながら、もっともっと実効的な広報宣伝活動、伝わるキャンペーンを行う必要が、これだけの制度改革なのだから、やる必要はあるだろうし、そもそもが「子ども・子育て新システム」の当事者である、子育てをしているママ、これから子どもを産みたいと考えている人たちに伝え、その人たちの悩みや想い、希望を汲み上げる努力をするべきなのではないだろうか?

この2月にソーシャルNWの第一人者のAMN徳力さんや、花王のネットマーケの第一人者の本間さんが、政府広報アドバイザーになったと聞いたが、実際にネットマーケティングで結果を出しているこういう方々が、本当に伝わる、かつ、ソーシャルNWサービスなどを活用した双方向で透明性の高い広聴活動を推進してくれることを願っています。

【5/10記事を更新しました】 本日(5/10)、子ども・子育て支援法案(3法案)が審議入り


YouTube: 「明日の安心」対話集会 in 神奈

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