【シーズン2 第5話】オムニチャネルにはPIM(Drupal、Agility、Hybris)が必須!
特に流通業でオムニチャネルを「人の軸」として捉え、カスタマージャーニーやユーザーシナリオからCX(Customer Experience)を高める施策の数々が、マーケティング部門を中心に実践されていると思います。しかし、オムニチャネルは「人の軸」と「物の軸」(商品情報コンテンツ)を融合して捉えることが必須である、という考えから、今回はPIM(Product Information Management)にフォーカスしてみましょう。
PIMが必要な業種はB2B、B2C問わず、金融業ですと保険商品などの分野、あるいは製造、流通業となります。オムニチャネルの適応は単に流通業だけでなく、コールセンターのチャネルを考えれば保険業にも必要ですし、ショールームや展示場を持ち、セミナーなどを催すグローバル製造業にも必要になります。
そして、流通業では商品情報コンテンツとしてのセンターレポジトリー(PIM)と在庫は連動させ「eコマースの在庫の増減=リアル在庫の増減」とならなければなりません。また、オムニチャネルで重要なローカル在庫広告などと連動できなければ店頭在庫が競争力になりません(経営にまで影響する失敗研究)。
「オムニチャネルは人の軸のCXとモノの軸のPIMが必須となる」
オムニチャネルに必須となるPIMにはどのようなものがあるのでしょう。
自作でPIMデータベースを構築する企業もありますが、拡張性が考慮され俊敏性のあるPIMのパッケージは、安いものから高いものまで出揃って来ました。
- Drupal (with PIMモジュール)
- Agility Multichannel
- SAP Hybris
一般的にCMSにはPIMを内蔵するものと内蔵しないものがあります。例えば、ある企業はCMSへ自作の「製品情報データベース」からコンテンツを配信しています。このような商用CMSはPIMを内蔵していないCMS製品です。また、「エンタープライズCMSをオープンソースCMSに置き換えれるか!?」で紹介したDrupalはそのままではPIMは内蔵していませんが、PIMモジュールを組込むことができます(DrupalのPIMモジュール)し、SAP Hybrisなどの他のPIMと連携することもできます。
逆にPIMでもCMSを内蔵しているものとしていないものがあります。例えば、前述のAgility MultichannelはCMSを内蔵していないので、他のCMSと連携しないとWebサイトに商品コンテンツを配信できません。SAP HybrisはCMSを内蔵していますが、そのCMSだけでなくAcquia(Drupal)とマイクロサービス方式で提携していることは「SAP Hybrisとマイクロサービス方式」で詳しく解説しました。
では、オムニチャネルに必要なCMSの要件を整理してみましょう。
- 顧客毎のパーソナライズ(動的配信など)
- 柔軟なオプティマイゼーション(キャッシュ制御など)
- SKU単位のコンテンツ粒度で管理(カテゴリー管理など)
- マルチ言語(マルチカレンシーなど)
「横糸のグローバルWebと縦糸のランディングページ」で紹介したDrupalのSlideShare(Building a multilingual & multi-country e-commerce site with Drupal7)にはこれらの要素がすべて詰まっています(高価な商用パッケージが上記の 1. 2. 3. 4. を要件として満たしているかは知りませんが...)。
ちなみに、Agility Multichannelは英国の出版社からスピンアウトしてできた製品なので紙の印刷に活用するInDesignとの連携に強い製品です。データベースのPIMを「正」にする活用方法なので、InDesginで赤字校正を行ったものをもう一度PIMに戻すことは行いません(戻しを行うと「正」が何か分からなくなる)。SAP Hybrisはeコマース全体をサポートしているので、それを活用することも可能となります。
● 雑談のネタ【Coffee Break】
https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/
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