オルタナティブ・ブログ > IT大捜査線 THE BLOG >

障害は会議室で起きているんじゃない、サーバルームで起きているんだ!!

ブレードサーバを選ぶ

»

HP、IBMのブレードのテレビCMを目にした人は結構いるのではないでしょうか。
最近、特にHPのCMを目にする機会が多いですがブレードサーバをテレビCMで宣伝する意図はどうゆうものか興味があるところです。
逆にインフラに関わったことや興味のある人から見ると、テレビCMをすることで「なぜブレードがテレビCMで」と思って逆にインパクトがあるのかもしれないですね。

さてそのブレードって導入する時にどんなメリットがあるのでしょう?
管理が楽?電源費用が抑えられる?
実際にHP、NECのブレードを見た経験でブレードがもたらすメリット、デメリットを感じたまま書いてみました。

私がサーバ運用で一番気になるのは管理面です。サーバ台数が多くなり、冗長性を高めるために構成が複雑になることはよくあります。
物理的な構成から見てもケーブルが煩雑になり、どの機器がどのように接続されているのか、そしてケーブルをたどりながらメンテナンスをするケースはよくあります。
複雑な環境でシステムを増設したり、また逆に縮小したりする場合に、間違ってケーブルを抜いてしまったり、接続先を間違えて、システムが思うように稼動しなかったりと、人為的なミスによるトラブルが発生しやすい環境でもあります。
非常にどきどきする世界です。

この点に関してはブレードを利用することである程度、解決してくれる点が多くあるのではないかと思います。ブレードはエンクロージャーと呼ばれる、電源部分やスイッチなど共有化された箱で収納されています。
つまり物理的なケーブルではなくエンクロージャー内のチップで各ブレードが接続できるので物理的に非常にすっきりした構成ができます。

またほとんどの作業が机上からできてしまう機能を提供している点も見逃せません。
KVMスイッチを買わなくても同様のものが付属されているのでWindowsのブルースクリーンやLinuxのカーネルパニックなどのように画面の前でなければ確認できないようなことでも、遠隔から確認できます。またマスタースイッチのような機能もあるので各ブレードを遠隔からリセットすることができ、OSがハングアップしても電源を入れなおすことができます。さらにローカルPCのCDドライブをブレードサーバのCDドライブとして見せることができるので遠隔からアプリケーションをインストールすることもできます。

ここまでは各社共通のブレードのメリットではないでしょうか。

しかし、サーバ集積から見ると、力を入れているのはNECではないかと思います。3Uの高さのエンクロージャーに20台のブレードが入るモデルがあります。消費電力も他社のブレードよりも低く、100Vの電源で良いところが大きな特徴です。
他社のブレードは200Vの電源が必要なので一般のオフィースでは200Vの電源が供給できるように電源工事が必要です。またNECのブレードサーバは比較的、軽量な方ですが通常はブレードサーバに全てのブレードを導入すると非常に重さがありますので、ラックに複数台のエンクロージャーを配置する場合はオフィースの床に問題がないか、ビル管理会社に確認をとる必要があるでしょう。コンパクト、集積、軽量という観点から見るとNECがその特徴が強いですね。

管理面でみた場合、ブレードサーバの状態や、OSのインストールからみても各社ツールの揃え具合により異なります。その点で見るとHPはOSのインストールが簡単にできるようにイメージ(インストールしたOSの状態をとり簡単に別のシステムにコピーできるようなファイル)が作成でき、複数同じOSをインストールする場合に非常に役に立つツールであります。また障害復旧もアプリケーションをインストールして設定した状態でイメージをとればインストールして設定する時間を省けるので非常に効率的な復旧ができます。さらに最近話題のサーバ仮想化技術を利用した場合、ブレード内の仮想化サーバも統合管理ソフトで1つの物理サーバと同じように管理できるツールも提供されています。

サーバの集積、管理面で特徴を挙げましたが、利用用途に応じてどのブレードが最適なのか各社製品の特徴を捉えて入念に検討したほうがよいですね。

最後に、ブレードを導入する上で頭にいれておいてほしいことがあります。
ブレードのエンクロージャーは各社共通ではないので、ブレードのスロットが有効に使えるか、また将来的、どのくらいシステムを拡張する可能性があるのか検討したほうがよいです。ある意味、メーカに縄張りを張られている状態でもあります。
もし各社共通化された仕様のブレード、エンクロージャーがでれば、気軽に乗り換えることができるのですがそれは難しいでしょうね。
余談ですがブレードの特許って、IBMとかHPとかDell、NECなどのような大手メーカとか海外のベンチャー企業ではなく、トラストガードという日本の会社が取っているのは非常に面白いですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0407/07/news042.html

Comment(2)