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障害は会議室で起きているんじゃない、サーバルームで起きているんだ!!

障害対策の1つとしてディスクレスOSは?

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システム運用で手間がかかるが必要な対策として障害対策があります。
「システム=常に稼動して安定しているもの」はシステム利用側にとっては当たり前のことですが、その裏にはシステム運用管理者が多くの苦労していることはあまり意識されないでしょう。しかしシステムが数秒、また数分でも止まると利用者の不満は増してきます。
障害の場を踏むのは貴重な経験にはなるのですが、あまり障害には出くわしたくないのは誰もが思っていることだと思います。

経験上、人為的な障害以外で、もっとも多い障害はハードディスクの障害ではないかと思います。
サーバを構成する部品の中で一番壊れやすい部品ですね。また単純にハードが老朽化するだけでなく、ファイルシステムが壊れたりなどソフト面から発生する障害もあります。
サーバの管理者以外でもクライアントPCなどで、ディスククラッシュした経験や初期化しなければならない事態になった人は多いと思いますが私もPCのハードディスクのクラッシュを2度くらい経験しました。リカバリソフトを利用しても復旧させるのはそれなりに時間がかかりますね。
部品の老朽化に関しては防ぎようがないので、壊れることを前提にシステム運用計画をたてると思います。この辺は組織の環境、要求、世の中の技術の動向を踏まえながら、RAIDやクラスタなどのように待機系のディスクやシステムを確保して連続稼動させたり、部品が2重化されているようなFTサーバを選択したり、3,4時間くらい停止させてバックアップから復旧させる方法をとるなど資産価値とコストに応じて対策が検討されるでしょう。

どんなシステムでも最低限、障害対策の為に毎日アプリケーションデータのバックアップをとり、障害があったときには、OSをインストールしてアプリケーションを設定し、アプリケーションデータをリストアできる計画は基本としてたてていると思います。しかし復旧にはある程度時間がかかってしまうのは考えていきたい課題の一つですね。

そんななか、ディスクレスOSって一つの有力な解にならないかなと考えております。
現在、ディスクレスOS環境を実現するためにはファイバーチャンネルやiSCSIのホストバスアダプターをサーバに取りつけ、外部ストレージシステムのボリュームにOSやアプリケーションなどをインストールします。もちろん外部ストレージシステムはファイバーで構成した場合はSANに対応したストレージでなければならないし、iSCSIの場合はiSCSIのターゲット機能またはターゲット機能を提供してくれるようなスイッチやミドルウェアがなければなりません。その条件が満たせれば、外部のストレージのボリュームから起動することができますのでサーバ内のハードディスクが完全に不要になります。
以前、あるベンダーさんのデモでファイバー環境とiSCSI環境で構築したものを両方見たことがあるのですが、どちらとも全く違和感ないスピードでOSが起動していました。またスナップショットなどができるストレージであれば、数十秒くらいでサーバを複製できたり、一世代前のサーバに簡単に戻すこともできますので非常に魅力的な機能です。これは実際にみると本当に便利な機能です。
しかしその便利さとは裏腹にざっくりコストを聞いたら、...でした。まだ中小規模な環境では難しいかなと感じておりましたらこんなニュースリリースが米マイクロソフトにありました。
http://www.microsoft.com/presspass/press/2006/apr06/04-04SNWPR.mspx
この記事を読むとWindows Storage Server 2003のiSCSIターゲット機能とWindows 2003にiSCSIの技術を利用した、ソフトウェアベースのSANブート機能が提供されるようですので、小中規模な環境でもディスクレスOSの環境が安価に実現できるかもしれません。Windows Storage Server 2003 OSにiSCSIターゲット機能がサポートされることは各メーカが出しているWindows Storage Serverをベースとした比較的低価格なNASにもiSCSIターゲットをサポートしたモデルが間もなく登場することでしょう。このNASの機能にディスクレスOS環境を前提にしたスナップショット機能とその世代管理ツールが備わっていれば非常に魅力的ですね。

ハードディスクがサーバから無くなるのはブレードサーバのような高密度な環境ではスペース、熱などの面からみても非常に大きなメリットになると思います。またストレージでスナップショットの機能が充実していれば簡単にシステムの世代管理ができシステム運用の負担が減りますね。

特にWindowsのサービスパックの適用など、ある程度システムにインパクトのある作業を行うとき、スナップショットで世代管理が簡単にできれば、同じ環境でサービスパック適用後のテストができますので非常に運用管理面においては便利だと思います。問題があれば適用前の世代に簡単に戻すこともできます。

障害対策にかかった時間、テストや検証にかかった時間は非常に大きなコストだと思います。上記にあげた機能が実現できれば時間短縮につながりコスト削減になるかもしれませんね。

今後、このマイクロソフトが提供するiSCSIの機能がどのように市場に展開されていくか楽しみです。

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