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IT業界を四半世紀見てきたジャーナリストのこだわりコラム

« 2007年7月19日

2007年10月9日の投稿

2007年11月13日 »

 今年の就職戦線はバブル期以来の売り手市場で、もはや企業のターゲットは再来年の就職予定者に向いているとか。そんなに景気が良くなったのか……。

 確かにIT市場をみると、とくにシステムインテグレーターなどは猫の手も借りたいくらい忙しいところが多い。とはいえ超売り手市場なので、「思うように優秀な人材を集められない」と嘆く企業の人事担当者が少なくない。それに、せっかく入社しても長続きしない新入社員の割合も増えているようだ。

 そこで今回は老婆心ながら、新しく社会人になる人たちに一言。
 まずは、めでたく入社した会社が、あなたにとって学生から社会人になる初めての登竜門。できれば最低3年くらいは、そこでガムシャラにがんばってみてほしい。

 就職は、人生の大きな分岐点の1つだ。最初にやった仕事が、その人のその後のビジネス人生を決めることもある。しかし、だからガムシャラにがんばれ、と言っているのではない。ひょっとしたら最初に入った会社で与えられた仕事が、自分に合ってないかもしれない。「私はこんなことをやるために、入社したんじゃない!」と叫びたくなるかもしれない。

 では、なぜガムシャラにがんばれ、と言うのか。どんな仕事にも共通した「基本」というものがあるからだ。それは礼儀をはじめとした社会人としての心得もあるが、大事なのは「仕事とは何か」を肌で感じることだと思う。何のために仕事をするのか。良い仕事をするとはどういうことなのか。それを学ぶことから「基本」が始まるのではないだろうか。

 さらにここからが核心。「仕事とは何か」を重く考えすぎると、現実の仕事とのギャップに悩み始めてしまう。そこで少々乱暴な言い方になるが、社会人に成り立ての頃は、そんなことすぐにわかるはずはないから、とにかく3年くらいは社員としての経験を積んでほしい。しかも与えられた仕事をガムシャラに。そうすれば「仕事とは何か」が少しずつ見えてくると思う。

 うまくいったことも失敗したことも、とにかく経験してみないと、その喜びや悔しさは本当にわからない。まずは与えられた仕事の中で自分に何ができるか、挑戦してみるがいい。
 新しく社会人になる人たちには、ぜひそうした「気概」をもって挑んでほしい。そうすれば、自ずと違う「景色」が見えてくるはずだ。

Isao Matsuoka

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『ITmedia エグゼクティブ』(アイティメディア発行)編集委員。ビジネスおよびマネジメントの視点に立ったIT活用を追求しています。

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