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オンラインビデオが、高いコンバージョンレートをもたらすことが可能な最高のコンテンツであるということを理解できたとしても、いきなりザッポスのように5万本以上のプロダクトビデオを用意することは不可能だ。そこで今回は、イーコマース事業者が最初に取り組むべき、速攻性の高いオンラインビデオ戦略について解説する。

今回のレポートは、以下のような課題を抱えているイーコマース事業者に読んでもらいたい。

 ①イーコマースサイトにオンラインビデオを導入してコンバージョンレートを高めたい 

 ②だけど、予算の関係上大量のビデオを用意するのが難しい

 ③そして、そもそも何から始めたら良いのかわからない


<ステップ1> 1つの製品カテゴリに集中する

自社のイーコマースサイトに、オンラインビデオを導入してコンバージョンレートを高めたいのだが、予算の関係上、全ての製品にビデオを用意することは難しい。最近、イーコマースサイトや通販サイトを運営する事業者の担当者から、そんな悩みを良く受ける。

取り扱っている全ての製品に対してプロダクトビデオが用意されていることが理想ではあるものの、最初からそれを実現することは困難だ。最初の頃は、用意できるプロダクトビデオの数にも限りがあって当然である。このような、オンラインビデオ導入の初期の段階で犯しやすい間違いの1つが、全てのカテゴリの製品に1つか2つくらいのプロダクトビデオを用意してしまう方法。実は、このような全てのカテゴリの製品に、少量のビデオを散在するような導入方法は逆効果だ。

もしも、限られた量のビデオしか用意できないのであれば、全てのカテゴリの製品に少量のビデオを用意するのではなく、1つのカテゴリに集中して用意するべきである。例えば、アパレル専門のイーコマースサイトで、トップス、ボトム、アウター、スカート、シューズ、小物などのカテゴリに分かれているとしよう。このような場合であれば、例えばトップスだけに集中してビデオを用意するのが望ましい。

ビデオを1つのカテゴリに集中して用意するのには、大きく2つの理由がある。1つは、複数のカテゴリにビデオが散在していると、買い物客がビデオを見つける確率が低くなってしまう。そして、当然のことながらビデオの視聴回数も期待していたほど伸びない。必ずビデオが見つかるカテゴリを作ってしまうことで、買い物客にビデオをすぐに見つけてもらうことが可能になる。

2つ目の理由は、ビデオを1つのカテゴリに集中することで、ビデオの効果測定が可能になる。ビデオを用意したカテゴリと、用意していないカテゴリのコンバージョンレートを比較するだけですむので、正確な効果測定が比較的簡単に実現できてしまう。ビデオ導入初期の段階でしか入手できないデータだということもあって、必ず実行しておきたい戦略の一つであると言っていいだろう。


<ステップ2> ビデオを用意する製品を選択する

ビデオを用意するカテゴリを決めたら、本来であれば、その決めた製品カテゴリに登録されている全ての製品にビデオを用意することが望ましい。しかし、そのカテゴリに登録されている製品の数が、何百も何千もある場合は、やはり全ての製品にビデオを用意することは現実的ではない。このような場合は、以下の判断基準を設けて、ビデオを用意する製品を選択することが必要になる。

①複雑な製品

高度な機能や特長を持っている複雑な製品ほどビデオを必要としている。例えば、電化製品、コンピュータ機器などがこれに該当する。また、組立てるのが難しいオフィス家具なども、やはり複雑な製品に分類される。

このような複雑な製品に用意されているビデオは、視聴される確率が高いとされている。また、ビデオを用意してある複雑な製品は、コンバージョンレートも一般的な製品に比べて高いという調査結果も出ている。よって、複雑な製品ほどビデオを用意するべきである。

②人気のある製品

用意したビデオを多くの買い物客に見てもらうためには、人気のある製品に用意しておくことが必要になる。人気のない製品にいくらビデオを用意しても、買い物客がそのビデオを見る確率は低い。人気のある製品にビデオを用意することで、その製品のコンバージョンレートがさらに高くなる可能性が出てくる。

③利益率の高い製品

投資対効果を期待するのであれば、高額な製品や利益率の高い製品にビデオを用意する必要がある。ビデオは、確実にコンバージョンレートを高めてくれるため、高額な製品や利益率の高い製品にビデオを用意することは、最大限の投資対効果を得るという意味においても重要である。


<ステップ3> 製品紹介ページではなくカテゴリページにビデオを用意する

今回の記事で、最も重要な戦略がこのステップ3だ。従来まで、プロダクトビデオは、製品紹介ページに用意するのが良いとされてきた。私がこのブログで紹介してきたプロダクトビデオの活用事例も、ほとんどが製品紹介ページにプロダクトビデオを用意していたイーコマースサイトばかりだった。その代表的な例が、ザッポス、アマゾン、オーバーストック・ドットコム。

 ■ ザッポス

   ※ 製品紹介ページの上部にプロダクトビデオが用意されている

   ⇒ ザッポスの製品紹介ページ

ザッポスのような、製品紹介ページにプロダクトビデオを用意するスタイルの最大の欠点は、複数の商品のプロダクトビデオを見比べながら検討したい場合に、毎回製品カテゴリページに戻らなくてはならない点である。靴や洋服などの商品ではあまりニーズがないのかもしれないが、機能や特長が複雑な製品の場合は、比較する対象は多ければ多いほど良い。できれば、毎回カテゴリページを戻ることなく、複数のプロダクトビデオを視聴できることが望ましい。

では、一体どうしたら良いのだろうか。今までのような製品紹介ページではなく、その前に存在するカテゴリページにプロダクトビデオを用意する。プロダクトビデオは、単なる飾り物ではなく、買い物客の購買意欲を促進させ、コンバージョンレートを高めるために存在している。よって、なるべくなら購入しようかどうしようか悩んでいる段階で見せるべきであるという戦略だ。買い物客にとっても、毎回製品紹介ページに誘導されることなく、じっくり商品を比較・検討できるのでメリットは大きい。

米国では、製品紹介ページではなく、カテゴリページにプロダクトビデオを用意しているイーコマースサイトがいくつか現れている。例えば、オフィス家具のイーコマースサイト、オフィスビズ・ドットコム。以下のオフィス用チェアのカテゴリページにアクセスしてみてほしい。椅子のサムネイルの右上に、「VIDEO」と書かれたアイコンがある。その「VIDEO」アイコンをクリックすると、プロダクトビデオが再生されるという仕組みである。

 ■ オフィスビズ・ドットコム

   ⇒ オフィスビズ・ドットコムの製品カテゴリページ

カテゴリページに留まりながら、他の製品のプロダクトビデオを見て比較・検討することを可能にしている。家庭用品のイーコマースサイト、ホームデポも同じような操作性を実現している。こちらは、カテゴリページではないが、「サイバー・マンディー」と名付けられたキャンペーンページを開設し、複数の製品のプロダクトをビデオが再生可能になっている。

 ■ ホームデポ・ドットコム

   ⇒ ホームデポの「サイバー・マンディー」ページ 


<今回のまとめ>

日本では、製品紹介ページにさえ、プロダクトビデオを用意してあるイーコマースサイトがまだまだ少ないのが現状である。それを考えると、米国のイーコマースサイトのビデオ活用はかなり先を行っていると考えて良いだろう。

今回紹介した、製品紹介ページではなく、1つのカテゴリページに集中してプロダクトビデオを用意するという戦略は、プロダクトビデオの導入を検討しているイーコマース事業者の参考になるはずである。ザッポスのように、全ての製品にプロダクトビデオを用意する必要がないため、精神的にも経済的にも負担感は少ないはずだ。

itoman

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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