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Visible Measuresから、2011年6月第5週(2011/6/27-7/3)の、ソーシャルビデオ視聴結果が公開された。そこで、2011年6月(正確には5月30日~7月3日)全体の、ソーシャルビデオ視聴結果をレポートする。

※2011年5月のレポートはこちらからどうぞ。 ⇒ 2011年5月ソーシャルビデオ視聴レポート

【1】 6月は大きくランキングが変動。TOP20の常連が大きくランキングを下げる

下の表は、Visible Measuresが公開している「Social Video Campaigns(6月27日から7月3日までの)」のデータを集計し、TOP20をランキング形式に整理したものである。ランキングの左は6月、右は5月のランキングをそれぞれ表している。

まず全体を整理してみたいと思う。20位中、5月に引き続きTOP20にランキングしているタイトルは僅か8つしかない。6月は、大きくランキングが変動した月だったと言っていいだろう。たとえば、4月1位、5月2位にランキングされ、2011年度第2四半期のランキングでも1位に輝いたT-モバイル「ロイヤル・ウェディング」の名前が見当たらない。ちなみに、T-モバイルの「ロイヤル・ウェディング」は、6月は33位までランキングが下がってしまっている。

また、T-モバイルが「ロイヤル・ウェディング」の代わりとして、満を持して公開した「Angry Birds」は、結局6月中一度も1位になることなく終わり、6月全体のランキングでも7位と、前評判ほどのビューを記録することができなかった。2タイトル連続でバイラルさせることの難しさなのだろうか。ただ、見方を変えれば、「ロイヤル・ウェディング」の場合は、公開後に本当のロイヤル・ウェディングを控えていたこともあって、公開する時期としてはジャスト・タイミングだったと言える。「ロイヤル・ウェディング」のビューが特別だったと考えた方が、良いのかもしれない。

今月は、多くのTOP20常連組も大きくランクを下げるか、または姿を消してしまっている。圧倒的なビュー(4,480万ビュー)を記録して2011年度第1四半期の1位にランキングされた、フォルクスワーゲンの「The Force」が先月の5位から16位へと大きくランクを下げている。長らくTOP20 を顔を出していたサンドロップの「Sun Drop - Drop It」は、10位からTOP20圏外(21位)に、オールドスパイスの「Old Spice Man is Back」も18位から圏外(37位)に大きくランクを下げてしまった。

一方で、6月は5月に比べて全体のビューが上がっている。強力なタイトルが数多く公開された月だったと言っていいだろう。1位にランキングされたタイトルのビューが、5月はエビアン「ローラー・ベイビーズ」の520万ビューだったものが、6月はダートデビル「ザ・エクソシスト」の1,000ビューと約2倍に増えている。また、5月は100万ビューを達成したタイトルが18本だったのだが、6月は何と29本もある。先程紹介したフォルクスワーゲンの「The Force」も、5月の270万ビューから6月の200万ビューと、ビュー自体はランキングほど下がっていないことがわかる。

以上のことから、6月は、5月よりもレベルの高い争いが繰り広げられた月だったと言っていいだろう。

Top20


【2】 タイトル別の1位はダートデビルの「ザ・エクソシスト」

1位は、文句なしでダートデビルの「ザ・エクソシスト」。5週中3週で1位となり、1,000万ビューを記録したのは凄い。それにしても、最近ダートデビルの「ザ・エクソシスト」ばかり紹介している気がする。「またか」と言われるかもしれないが、6月の月間1位ということになれば紹介しないわけにはいかない。映画エクソシストの続編かと思わせておいて、途中から笑いを誘う上質のコメディ。これだけのビューを記録するのもわかるような気がする。

2位のホットウィール「Fearless at the 500」も730万ビューを記録している。第1週目にいきなり570万ビューを記録したのが大きかったことは間違いないが、2週目以降もそれほど大きくビューが落ちなかったことが今回のランキングにつながっている。3位のエビアン「ローラーベイビーズ」については、説明を省かさせてもらう。詳細については「バイラル動画広告分析レポート:エビアン「ローラーベイビーズ」2年間の軌跡。7月11日、いよいよ国内でもオンエア開始」を読んでいただきたい。

4位にランキングされたトムトムの「Break Free」と、5位にランキングされたハイネケンの「The Date」も平均してビューを集められたことが、今回上位にランキングされたことにつながっていると考えられる。

下のグラフは、TOP5の5週に渡るビューの推移を表したものである。見ての通り、2位にランキングされているホットウィールの「Fearless at the 500」以外は、いずれも安定してビューを記録していることがわかる。

Top5

【3】 ブランド別の1位も「ザ・エクソシスト」のダートデビル

1位と2位は、タイトル別同様「ザ・エクソシスト」のダートデビルと「Fearless at the 500」のホットウィールがそれぞれランキングされた。両ブランドとも、下の表の一番右の項目”タイトル数”が1となっている通り、1つのタイトルしか公開していないものの、その1つが強力なために、複数のタイトルを公開しているブランドを上回ったカタチとなっている。

5月の1位と2位が、複数のタイトルを公開しているT-モバイルとグーグルだったことを考えれば、ダートデビルとホットウィールのビューがいかに凄い数字だったかということがわかる。もう一度下の表を見てほしい。TOP10の内、1タイトルだけでランキング入りしているブランドは僅か4ブランドしかない。いかに1タイトルだけで、ブランド別TOP10に入ることが難しいかということを、この表は教えてくれている。

それにしても、ソフトウェア産業を代表するマイクロソフトとグーグルが、共に二桁のタイトルを公開している点は興味深い。同時期に複数のタイトルを公開するというアプローチは、それ相当のノウハウが必要なだけに、逆の見方をすれば、マイクロソフトやグーグルのような体力のあるブランドでなければ、実行できないアプローチであるとも考えられる。

Top10

【4】 産業別の1位はダートデビルとブレンドテックが揃った家庭用品

産業別の1位は、ダートデビルとブレンドテックという強力な2トップが揃った家庭用品。前月5位からの大幅なランクアップとなった。ビューも、1,630万ビューと、前月1位だった健康・美容の1,160万ビューを大幅に上回っている。特長的なのは、タイトルの数だ。なんと、TOP5の中で最小の4タイトルだけで1,630万ビューも稼いだことになる。39タイトルで1,370万ビューのアパレルとは全く対照的だ。

産業別のランキングは、タイトルやブランド別のランキングと違って、ランキングの順位こそ変動があるものの、ほぼ顔ぶれが固定している。広告にある程度の予算を投入できる産業が、ほぼ決まっているということだろう。変化があるとすれば、これに通信や自動車が加わるくらいのものである。

Top5_2

【5】 6月度のまとめ

最後に、もう一度情報を整理して終わりにしたい。

① 6月はランキングが変動した月であった、TOP20の常連が大きくランキングを下げたり、ランク外となってしまったタイトルが目立った。

② タイトル別では、ダートデビルのパロディ動画広告「ザ・エクソシスト」が圧倒的な強さで1位になった。

③ 6月は、5月に比べると全体のビューが増えており、レベルの高い作品が多かった月だっと言える。

次回は、2011年度第2四半期の結果が発表されているので、その結果をレポートしたいと思う。お楽しみに。

itoman

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プロフィール

伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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