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毎日欠かすことができない作業の一つに、バイラル動画のチェックがある。私の場合、ニュースをチェックする前に、必ずバイラル動画のチェックから始める。気になるウェブサイトやブログから届いたバイラル動画の内容を、一つづつ視聴しながら確認するという結構時間がかかる作業だ。最近はチェックが必要なウェブサイトやブログが増えてきたせいもあって、100は軽くチェックしている。毎日朝4:30に起きて、6:30にオフィスに出社しているのはこの作業をするためだと言ってもいいだろう。

実は、バイラル動画のチェックには、ニュースのチェックと同じような効果がある。バイラル動画チェックしていれば、いま何が起きているのかを大まかに把握することができるから。特に、音楽、映画、ゲームといったエンターティンメント系の情報に関して言えば、バイラル動画をチェックしていればだいたいのトレンドを掴むことができる。中でも、音楽のチェックにはもはや外すことができない。最近のアーティストはCDを出す前にミュージック・ビデオを公開するケースが当たり前になってきていることもあって、 バイラル動画のチェツクほど有効な手段はないからだ。

一方で、悲しい知らせもバイラル動画が届けてくれる。今日の朝がまさにそれだった。朝、いつも通りオフィスに着いてからGoogleリーダに溜まっているバイラル動画をチェックし出したところ、ブルース・スプリングスティーンのバックバンドとして有名な、Eストリート・バンドのサックス奏者クラレンス・クレモンズの動画がバイラル中としてレコメンドされているではないか。クラレンス・クレモンズの動画がバイラルするなんてことは、どう考えてみたってあり得ない。その瞬間、私はクラレンス・クレモンズの死を察知した。

インターネットで検索してみると、クラレンス・クレモンズが米国時間の6月18日午後7:00にフロリダ州の自宅で急逝したという情報でいっぱいだった。享年69歳。クラレンス・クレモンズと言えば、先にも触れたようにブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドのサックス奏者として有名な人で、ブルース・スプリングスティーンの音作りには欠かすことができないほど重要なアーティストだ。

■ Bruce Springsteen w/ REM - Born To Run


ブルース・スプリングスティーンの悲しみは想像を絶するに余りある。40年間も人種の壁を乗り越えて尊敬し合ってきた友達がこの世からいなくなってしまったんだから。

以下は、ブルース・スプリングスティーンがクラレンス・クレモンズ死を知って発表したメッセージ。

「クラレンスは素晴らしい人生を送った。彼には人々を引きつける愛情があった。素晴らしい、大きな家族を作った。サックスを愛し、ファンを愛し、毎晩ステージに上がる度に持っている全ての力を提供してくれた。彼の死は計り知れず、俺たちは彼と知り合えたこと、40年近く彼の側に立つ機会を持てたことを光栄に思い、感謝している。彼は素晴らしい友人でありパートナーで、隣にクラレンスがいると、俺たちは音楽にシンプルに秘められたものよりもずっと深いストーリーを紡ぎ出すことができた。彼の人生、思い出、そして愛は、そういったストーリーや俺たちバンドの中に生き続けることだろう」。

もう一人、クラレンス・クレモンズ死亡の知らせを聞いて悲しみに暮れているアーティストがいる。レディ・ガガだ。レディ・ガガとクラレンス・クレモンズは、アルバム『ボーン・ディス・ウェイ』の中の1曲「The Edge Of Glory」で初共演を果たしている。階段に腰を下ろして、ファンキーな演奏を聴かせてくれているのがクラレンス・クレモンズ。

■ Lady Gaga - The Edge Of Glory


この共演は、レディ・ガガの希望によるものだったと伝えられている。ブルース・スプリングスティーン&ザ・E・ストリート・バンドのアルバムにおけるクラレンス・クレモンズの演奏の大ファンだったレディ・ガガが、マネージャーを通して共演を申込んだということだ。共演が決まった時のレディ・ガガの喜びようは相当なものだったらしく、当日のスタジオ入りする前も大興奮だったらしい。最後に、レディ・ガガにとって、クラレンス・クレモンズがいかに重要な存在だったのかということを証明するエピソードを紹介して終わりにしたい。

「The Edge Of Glory」でレディ・ガガとの共演を果たした後、クラレンス・クレモンズは脳卒中で倒れてしまう。そのニュースを聞いたレディ・ガガは、急遽「Get Well Clarence,Little Monsters」というタイトルで、twitterに「会えなくてとても寂しい。私はいまパリにいて、Xファクターという番組に出演して「The Edge of Glory」を歌ったばかり。あなたと一緒にいてあげたい」とメッセージを投稿する。

このメッセージを見たリトル・モンスターたちが即座に反応する。なんと、リトル・モンスターたちが、クラレンス・クレモンズに向けて次々と応援メッセージを投稿し出したのである。レディ・ガガは、そのメッセージをもとに急遽ビデオ・レターを作成する。それが、6月15日に公開された「Get Well Clarence, ♥ Little Monsters」。クラレンス・クレモンズがこの動画を見ることができたかどうかはわからない。でも、この13分にも及ぶ動画には、レディ・ガガとリトル・モンスターたちの愛情が詰まっている。

この動画の存在を知って、レディ・ガガのことがまずます好きになった。いつか紹介したいと思っていたのだが、まさかこんなかたちで紹介することになるとは思ってもいなかった。

■ Get Well Clarence, ♥ Little Monsters


 

itoman

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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