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もうすぐウィンブルドンが開催されるが、ソニーがウィンブルドンの開幕に合わせて「Wimbledon as you've never seen it before 」というバイラル動画広告を公開した。この「Wimbledon as you've never seen it before 」、ソニーの最新3D技術のPRと、ウィンブルドンの開幕を祝うために作られたバイラル動画広告で、専用のウェブサイトも用意されている。面白いゲームで遊ぶこともできるので、是非こちらのウェブサイトにもアクセスしてみてほしい。
※ http://bounc3d.com/

■ Wimbledon as you've never seen it before


【1】 スーパーボールがテニスボールになって「Bouncy Balls」が帰って来た

「Wimbledon as you've never seen it before 」は、見てもらえればわかる通り、街の中を無数のテニスボールがバウンドしながら転がって行くという、美しい映像技術がいかんなく発揮されたソニーらしいバイラル動画広告に出来上がっている。そして、テニスボールが街の中をバウンドしながら転がって行くシーンを見て、「あれっ、どこかで見たことがあるな」と思われた方もいたのではないだろうか

そう、2006年の2月24日に公開された、ソニーのバイラル動画広告としてあまりにも有名な「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」でも同じシーンが使われていた。最も、「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」で街の中をバウンドしながら転がっていたのは、テニスボールではなくカラフルなスーパーボールだったが。

■ Sony Bravia (Bouncy Balls)

改めて「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」を見直してみると、スケール感はやはり「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」の方が「Wimbledon as you've never seen it before」よりも勝っているように思える。映像の美しさは、最新技術を使って撮影された新作の方が上だろうか。

それにしても、いま見ても全く古さを感じさせない素晴らしいバイラル動画広告だ。この「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」、CGではなく実写だというから驚きである。実際に撮影されたのは2005年7月で、サンフランシスコの1ブロックを全部閉鎖して撮影されたそうだ。特殊な圧縮空気砲を使って25万個のスーパーボールを一気に発射し、バウンドするボールを23人のカメラマンがソニーの高速カメラを使って撮影したとのこと。当時、日本ではなぜか放映されず、ヨーロッパの一部とアメリカのみで放映。最終的にカンヌ国際広告祭で金賞も受賞している。

「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」が、カンヌ国際広告祭で金賞を受賞した凄いバイラル動画広告であることは疑いようのない事実だ。しかし、「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」の本当の凄さは、もっと別のところにある。それは、「Sony Bravia (Bouncy Balls) 」が大きな波及効果をもたらしたという点である。


【2】 「Bouncy Balls」がもたらした波及効果

「Bouncy Balls」がもたらした最大の波及効果は、「Bouncy Balls」に触発されて数多くのバイラル動画広告(パロディも含む)が制作されたということにつきる。たとえば、イギリスの清涼飲料水メーカーのタンゴ社は、スーパーボールの代わりにいろんなフルーツが転がるバイラル動画広告を公開して話題になった。

■ TANGO Balls Commercial (no, it's not the Sony Bravia Spot)


ここまで似ていると、もうお見事と言うしかない。また、チーズで有名なドリトス社は、スーパーボールの代わりにチーズを使っている。スーパーボールと違って、回りに迷惑をかけてしまうあたりがコミカルでいい。

■ Doritos Lots Of Cheese


これは完全なパロディ。「バトルフィールド2」というコンバット・ゲームが、スーパーボールの代わりにコンバットをバウンドさせている。これも非常に完成度の高いバイラル動画広告に出来上がっている。

■ Sony bravia ad spoof battlefield 2


「Bouncy Balls」のパロディは、一般のユーザも含めるとかなりの数が公開されている。時間があればYouTubeで探してみるのも面白いだろう。


【3】 「Bouncy Balls」以降のバイラル動画広告

「Bouncy Balls」の波及効果として、「Bouncy Balls」に触発されて数多くのバイラル動画広告が制作されたことについて触れたが、実は「Bouncy Balls」に触発されたのはタンゴ社やドリトス社ばかりではない。ソニー自身も「Bouncy Balls」に触発され、その後も素晴らしいバイラル動画広告を数多く発表し続けて行くことになる。

まずは、”colour”というコンセプトを引き継ぐかたちで、10月17日に「Sony Bravia Paint Ad 」というバイラル動画広告が公開される。この作品は、ビルからペンキが噴き出すという、スケール感では「Bouncy Balls」以上のバイラル動画広告だと言っていいだろう。

■ Sony Bravia Paint Ad


この「Sony Bravia Paint Ad」も数多くのパロディを生み出している。どれも面白い作品ばかりだ。

■ PAINT ADVERT SPOOF


また、2007年の10月4日には、ニューヨーク市内をスーパーボールの代わりに可愛いウサギの人形が走り回るというバイラル動画広告が公開され話題になった。この作品もコンセプトは”colour”だ。

■ sony bravia


2008年の10月16日には、インドの街をカラフルな巨大ドミノが倒れながら進んでいくというバイラル動画広告が公開されている。スケールの大きさでは”colour”シリーズで一番かもしれない。

■ Sony Bravia - Domino City


このシリーズは、いずれの作品も、綿密な計画と莫大な予算の下で制作されている。そういう意味では、当時のソニーでなければ成し得なかったバイラル動画広告だったと言っていいかもしれない。


【4】 まとめ

ソニーの面白いバイラル動画広告は、2006~2008年くらいに集中している。2008年以降のバイラル動画広告も探してみたのだが、これと言って紹介したくなるような作品が見つからなかった。ロック・スターのアリス・クーパーを起用した、個人的にお気入りの作品はいくつかあるが、ここで紹介するまでの内容でもない。「Wimbledon as you've never seen it before 」をきっかけに、かつてのソニーらしいバイラル動画広告をまたたくさん公開してくれることを期待している。

また、今回紹介したバイラル動画広告を見てわかる通り、海外向けに放映されている作品の方がはるかに面白い。日本国内にバイラル動画広告を広めるという意味でも、国内向けにもっとバイラル動画広告を公開してほしいものである。最後に、「Bouncy Balls」のメイキングも公開されていたので紹介する。本当に実写で制作されたことがわかる非常に興味深い内容。

■ Sony Bravia LCD TV Advert (Bouncy Balls) & "The Making of"


itoman

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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