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月が変わって今日から6月。ということで、今日は毎週日曜日に更新している、Viral Video Chartの月間ランキングTOP20について報告したいと思う。2011年5月にソーシャルメディアで一番シェアされた動画広告TOP20 を紹介したい。
本題に入る前に、先に確認しておきたいことが一つある。ここで紹介しているランキングは、あくまでもソーシャルメディアでシェアされた回数の多い順番であって、動画が視聴された回数の多い順番ではないということ。
米国には、バイラル動画の視聴回数やソーシャルメディアにシェアされた回数を計測し、その結果をチャート形式で参照することができる、非常に有益なウェブサイトがいくつかある。その中で、私が毎日チェックを欠かさないチャートが次の2つ。バイラル・ビデオ・チャート(Viral Video Chart)とビジブル・メジャーズ(Visible Measures)だ。簡単に二つのチャートの特長について説明しておくことにする。
■ バイラル・ビデオ・チャート(Viral Video Chart)について
バイラル・ビデオ・チャートは、ソーシャルメディアにシェアされた回数のランキングがわかるチャートで、facebook、twitter、blog毎のデータがわかる点が非常に便利である。1日、1週間、1ヶ月、1年間、総合計といった期間別に集計されている点も、利用する側からすれば非常に嬉しい機能だ。更新頻度が多く、直近のランキングがすぐにわかるので、利用する頻度もついつい多くなる。
欠点は、シェア回数のみのランキングしかわからない点である。視聴回数のランキングを知りたくても、ソートする機能がないため、自分でデータをコピーして集計しなければならない。また、動画ファイル単位で集計されているため、オリジナルの動画ファイルとユーザーがコピーした動画ファイルの合計のデータがわからない点も不便だ。
■ ビジブル・メジャーズ(Visible Measures)について
ビジブル・メジャーズは、バイラル・ビデオ・チャートと反対に動画の視聴回数のランキングがわかるチャートで、最大の特長は”リアル・リーチ”と呼ばれる、オリジナルの動画ファイル以外の、コピーされた動画ファイルも全て対象にしている点である。バイラル動画の本当の視聴回数を調査したい時などに良く利用する。また、動画広告だけのランキングや1億回視聴された動画のランキングなど、いろいろな角度から集計できる点も優れている。
欠点は、更新頻度が少ない点である。動画広告のランキングは1週間、1億回視聴された動画のランキングは1年も待たなければならない。直近のデータを知りたい時などは、正直言って使えない。よって、どうしてもバイラル・ビデオ・チャートよりは利用頻度が低くなってしまう。
以上のことから、どちらもメリットとデメリットがあるため、本当に必要なデータはある程度手を加えて自分で作成する必要がある。今回も、バイラル・ビデオ・チャートのデータに少し手を加えて、2011年5月の月間TOP20を作成してみた。一番下に用意してあるので、是非参照してみてほしい。
■ 第1位は予想通り「Dear 16-year-old Me」
第1位は、予想通り皮膚がんの撲滅を訴えるハードな内容の「Dear 16-year-old Me」だった。ただ、2位にランキングされているゲームの予告編動画「Call of Duty: Modern Warfare 3 Reveal Trailer」が、5月23日に公開されたばかりだというのにすでに22万回もシェアされているため、その差は微々たるものだった。もう2、3日「Call of Duty: Modern Warfare 3 Reveal Trailer」の公開が早ければ、1位が入れ替わっていたかもしれない。1位と2位が20万台だったのに比べ、3位がいきなり9万台に下がってしまうことから、上位2強の強さが目立つ結果となった。
ここで一つ気になったのが、「Dear 16-year-old Me」の視聴回数が少ない点である。2位の「Call of Duty: Modern Warfare 3 Reveal と比べてもらえれば一目瞭然で、どちらも20万回以上シェアされているのに、「Call of Duty: Modern Warfare 3 Reveal の視聴回数は10倍近くもある。同じ頃に公開された5位の「Osama's watery grave captured」でさえ270万回も視聴されていることを考えれば、「Dear 16-year-old Me」の180万回という視聴回数はやはり少ない。
理由を考えてみたのだが、一番は再生時間が長いために、シェア回数ほど視聴回数が伸びなかったのではないかと考えられる。以下の表は、TOP20の再生時間を調査し表にまとめたものである。映画などを除けば、「Dear 16-year-old Me」の5分4秒という再生時間は、動画広告としてはやはり長い。もう少し短く編集されていれば、視聴回数もシェア回数に比例してもっと増えたのではないだろうか。
■ 直近に公開された動画広告が過半数を占める
下の図は、TOP20を公開月別に分析したものである。週間チャートでも見られた傾向だったのである程度予想はできていたが、直近の5月に公開された動画広告が55%を占める結果となった。さらに4月が25%と続き、2011年では全体の85%を占めるほどである。つまり、6ケ月以内に85%が入れ替わってしまうということだ。
10位にランキングされているエビアンの「Evian Roller Babies international version」のように、数年経ってもTOP20に残っているようなバイラル動画は本当にまれだということが、この図から読み取ることができる。
■ シェアされるメディアはfacebookが圧倒的
下の図は、TOP20のソーシャルメディア全体にシェアされた回数をfacebook、twitter、blog別に分析したものである。ソーシャルメディア全体では1,412,176回シェアされ、それぞれの内訳はfacebookが1,334,180回、twitterが73,278回、blogが4,718回となっており、facebookが圧倒的に利用されているということがわかる。
米国におけるfacebookの強さを物語る結果となっているわけだが、機能的にもfacebookは動画をシェアするのに非常に適している。一番の理由は、なんと言ってもURLと一緒にサムネイルも送れることだ。動画の場合、サムネイルの有無によって、視聴される回数が大きく変わってくる。URLと一緒にサムネイルも送れるfacebookは、動画をシェアするツールとして非常に理にかなっていると言えるだろう。
■ Google Chromeは3つ全てがランクイン
5月に公開された、Google Chromeの動画広告が3つとも全てランキング入りしているのが目につく。週間ランキングでは上位に入ってくることはあまりなかったのだが、月間ランキングで3つともちゃんとランキング入りしてくるあたりはさすがである。3つともそれぞれ印象に残る内容ではあったが、やはり11位の「Google Chrome: Lady Gaga」は衝撃的だった。
3つとも視聴回数も100万回を超えており、1位の「Dear 16-year-old Me」とは反対に、シェア回数はさほど多くなくても、視聴回数が多いのが特長である。グーグルは6月も5月と同様に数本の動画広告を出してくるのだろうか。もし出してくるとすれば、どんなバイラル動画を見せてくれるのか、今から楽しみでしかたがない。
今後も継続的に月間ランキングについてもレポートして行く予定である。データが6ケ月、12ヶ月と蓄積されていくに従って、バイラル動画とソーシャルメ ディアの関係について何か新しい事実が見つかるかもしれない。また、このレポートについて質問や意見があれば遠慮なく連絡をいただきたい。
参考までに、ミュージック・ビデオを中心とした全体の月間ランキングも是非確認してみてほしい。ジェニファー・ロペスの「Jennifer Lopez - On The Floor ft. Pitbull」が1,833,785回という数字で1位、レディ・ガガの「Lady Gaga - Judas」は1,187,277回で4位だった。
※ Viral Video Chart [ALL] 月間TOP20
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