« 2011年5月29日

2011年5月30日の投稿

2011年5月31日 »

Kitsune(キツネ)をご存知だろうか。いま、ファッション、アート、音楽などに興味がある若者から高い支持を得ているフランスのブランドだ。ファッション・ブランドであると同時に、音楽レーベルでもある面白い企業で、近年様々な活動を繰り広げていることで知られている。本当のブランド表記は、「Kitsune」のeにアキュート・アクセントを付した文字「e」が使用されている。

その「Kitsune」が新たにプロデュースしたロック・バンド、「IS TROPICAL(イズ・トロピカル)」が5月25日に公開した新曲「THE GREEKS」のミュージック・ビデオが、今巷で話題になっている。Viral Video Chartの企業動画広告部門のチャートでも1位を独走中で、すでに50万回以上も視聴されている。

まずは、是非彼らのミュージック・ビデオを視聴してみてほしい。ロック・バンドのミュージック・ビデオとしては、非常に珍しい本人たちが全く出てこない構成になっている。全編を通して、子供たちが戦争をごっこを繰り広げるといったストーリーになっているのだが、CGも効果的に使われていて、完成度の高い何度視聴しても飽きのこない内容のバイラル動画に出来あがっている。

■ 「IS TROPICAL - THE GREEKS」



実はこの「Kitsune」、設立メンバーの一人が日本人だということでも有名だ。マサヤ・クロサキさんと言って、12歳の時に日本からフランスに渡り、現在はファッション部門をメインに担当している。ブランド名がキツネで、設立メンバーの一人が日本人だということもあって、個人的に随分前から注目していたブランドの一つだった。

「Kitsune」は、最初ファッション・ブランドとしてスタートしたのだが、彼らの名前が一躍有名になったのは、作ったスウェットがなんとあのA.P.C.の店舗で取り扱われたからである。当時のA.P.C.は、自社ブランドしか置かないことで有名な店だったのだが、そのA.P.C.がまったく無名のブランドのスウェットを取扱い出したものだから、「Kitsuneって何者?」ということになったわけである。

その後は、2005年にパリで初のコレクションを開催し、またたく間にファンの心を掴み、現在はフランスを中心に、ドイツ、アメリカ、日本、中国と世界名中のセレクトショップで取り扱われるまでになっている。ジャンル的には「ニュークラシック」と呼ばれ、メンズとレディースの両方を展開している。

今ではフランスを代表するファッションブランドとして、知らない者はいないと言われるまでの存在となり、つい最近も、フランスの有名な老舗シューズメーカーであるジェイエムウエストンとコラボーレーションして格好イイシューズを作って話題になったばかりである。

音楽レーベル事業をスタートしたのは2002年で、その歴史は意外に古い。レーベル設立後は、テイ・トーワ(TEI TOWA)、カザルス(Cazals)、アダム・スカイ(Adam Sky)、デジタリズム(Digitalism)など様々なアーティストたちを手がけている。彼らの音楽レーベルを一躍有名にしたのが、「KITSUNE MIDNIGHT」をはじめとした有名アーティストが参加いたコンピレーション・アルバムの大ヒットで、その後は数々の新人アーティストの発掘を行っている。今回紹介した「IS TROPICAL(イズ・トロピカル)」もその一つである。

その「Kitsune」の音楽レーベル事業を担当しているのが、もう一人の設立メンバーであるジルダ・ロエク(Gildas Loaec)という人で。もともとはフランスのハウスシーンのトップアーティスト「ダフト・パンク(Daft Punk)」のマネージャーをしていたらしい。彼の貴重なインタビュー映像も見つけたので是非視聴してみてほしい。

■ Gildas[kitsune] Interview - 『Kitsune Maison Compilation 10 - The Fireworks Issue』



ジルダ・ロエクの音楽に対する考え方を伺い知ることができる非常に貴重なインタービュー映像だ。最後にもう一つ、この動画も個人的に気に入りの動画なので是非。

■ Kitsuné Maison 10 + Kitsuné "Reporter" SS11 collection - teaser



この「Kitsune(キツネ)」、ファッション・ブランドとしても音楽レーベルとしても目が離せない、要注目のクリエイター集団だ。

itoman

« 2011年5月29日

2011年5月30日の投稿

2011年5月31日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のコメント
最近のトラックバック
カレンダー
2012年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
itoman
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ