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昨日のブログで、iOSやAndroidが搭載されているスマートフォン/タブレットPCが、既存の携帯ゲーム機のシェアを猛烈な勢いで奪いつつあるという調査報告の内容について触れたが、iPhoneについてさらに興味深い調査報告が出ていたので紹介したい。

なんと、iPhoneが写真共有サイトFlickrで、最もよく利用されるカメラ第1位の座に躍り出ようとしているというのだ。今のところは、ニコンのデジタル一眼レフカメラD90が第1位の座を占めているらしいが、D90とiPhoneとの差はもはやほとんどないに等しいということ。iPhoneがD90を追い抜くのは、もはや時間の問題だとされている。

ただ、携帯ゲーム機とはちょっと様子が違っているのも事実で、スマートフォンがカメラ市場のシェアを占有しつつあるといことではないとのこと。米IDC社の調査によれば、世界全体のスチルカメラの売上は、昨年だけで10%も増加しており、販売総台数は1億4100万台。世界最大のカメラメーカーは依然としてキヤノンであり、次に僅差でソニーが続いている状況らしい。

この辺りの事情は、携帯ゲーム機市場よりもまだましかもしれない。ただ、iPhoneがカメラの代用品として高い評価を得ているというのは間違いのない事実なわけで、カメラメーカーにしてみれば心中穏やかではないだろう。

iPhoneの可能性は、この多様性にある。iPhoneは、本来の姿である電話機として以外に、ゲーム機、カメラ、PC、音楽再生プレーヤーなどの顔を持ち、さらにアプリをダウンロードすることで、書籍・雑誌、スケジュール帳、電卓、テレビのリモコンなどの代わりにもなってしまうのだ。過去に、こんなに多くのジョブを実行できるデバイスがあっただろうか。

それでは、iPhoneは既存のゲーム機、カメラ、PCを凌駕してしまったのだろうか。機能的には、個々の専門機と比較すると確かに劣っているかもしれない。しかし、消費者からの支持という面では、既存の専門機を凌駕しつつあるものがいくつか存在している。では、なぜiPhoneが高度な機能を持っている専門機よりも消費者からの支持を得ているのだろうか。

一番の理由は、操作が専門機よりも簡単なことと、機能が専門機よりも少ないことではないだろうか。操作が簡単な上に必要最低限の機能がちゃんと揃っている。それが、専門機よりも人気を博している一番の理由であるような気がしてならない。機能の豊富さよりも使いやすさ。その戦略が消費者の心を掴んだのである。

二番目の理由としてあげたいのは、アプリの存在。専門機に不足している機能はアプリで補完することができる。また、陳腐化しないように頻繁にバージョンアップもしてくれる。専門機は、後継機が出てくるとすぐに時代遅れの化石になってしまうが、iPhoneならアプリが次々に新しい機能を提供してくれるので陳腐化しない。この時代遅れにならない点も、消費者に支持されている大きな理由の一つであると考えられる。

最後に、携帯をスマートフォンに代えようかどうしようかで悩んでいる人にアドバイス。スマートフォンはもはや電話ではないので、買い替えるのではなく別な家電として購入しよう。たまたま電話をかける機能もついている別の電化製品、そう考えるのが自然だ。私もiPhoneで電話をかけることはないし、回りにも同じような使い方をしている人間がたくさんいる。

二つも料金が払えない?そこでキャリアにお願いしたいのが、携帯/スマフォW定額&低額プラン。携帯とスマートフォン両方を利用するユーザ向けに、特別な定額&低額な料金プランを用意し、スマートフォン利用者の促進を図ってどうだろうか。

年内に発売されることが間違いないiPhone5、今度は一体どんな分野の専門機を凌駕してくれるのだろうか。今から楽しみである。

itoman

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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