« 2010年12月30日

2011年4月15日の投稿

2011年4月16日 »

最近、ソーシャルメディアと簡単に連携できる機能をユーザーに提供した、新しい動画プロモーションの事例を目にする。ただし、ソーシャルメディアと連携するといっても、大そうな仕掛けが必要なわけではない。動画再生プレイヤーの下か横にtwitterfacebookmixiのアイコンを表示させ、そのアイコンから直接サービスにリンクすることができる機能を提供するという非常に簡単なものである。ちょっと前からあるにはあったのだが、ここ最近頻繁に目にするようになった。

たとえば、下の図のユナイテッドアローズのキャプチャー画面を参照してほしい。左から順番にmixifacebooktwitterのアイコンが並んでいるのがわかるだろう。そして、それぞれのアイコンは、各サービスと直接連携できるようになっている。

Unaited

つまり、動画を視聴し終わったユーザが、mixiのアイコンをクリックすればmixiのサービス内にチェックすることができるし、facebookのアイコンをクリックすれば「いいね!」のコメントをfacebook内に書き込むことができるというわけだ。もちろん、twitterのアイコンをクリックすれば動画再生ページのURLをツイートすることもできる。

「なんだ、たったそれだけのこと?」と思われるかもしれないが、たったこれだけのことがユーザにしてみればもの凄く便利なのである。もしもこれらのアイコンがない状態で、このユナイテッドアローズの動画を知り合いに広めるとすると、次のような作業が必要になってくる。

①ウェブサイトのURLをコピーする

②コピーしたURLbittyで短縮する

③短縮したURLを再度コピーする

④コピーしたURLをペーストしてツイートする

少なくとも最低3つのサービスを行き来しなければならないわけで、一度にたくさんの内容をツイートしたい時などは結構面倒である。

そういう意味では、ソーシャルメディアと連携可能なアイコンが存在することの有難味は、実際にソーシャルメディアを利用しているユーザでないとわからないのかもしれない。アイコンのクリック一発で投稿できる機能は、ソーシャルメディアを頻繁に利用しているユーザにとって、もはや欠かすことができない機能の一つになっている。

そもそも、動画とソーシャルメディアを簡単に連携させることができる機能にどんな意味があるのか。それは、動画とソーシャルメディアと簡単に連携させることで、ウェブサイト上で配信している動画のバイラル(感染)効果を期待しているからである。できるだけ大勢のコンシューマに動画を見てもらうために、ソーシャルメディアを最大限活用するという動画プロモーション戦略である。

ただし、ここで注意しておきたいことが一つある。それは、動画とソーシャルメディアを連携させるというこの手法は、あくまでもバイラルすることを期待しているにすぎないという点である。バイラルすることを明確な目的にしているバイラルムービーとは全く異質なものだという点は良く理解しておく必要がある。

というのも、ソーシャルメディアと連携することでバイラルを期待される動画は、制作の時点からバイラルすることを確固たる目的として制作されたバイラルムービーと違って、内容自体にバイラルする力がない場合が多いからである。というよりも、バイラルすることを意識して制作されたムービーではないと言った方が正しいだろう。

バイラルムービーではなくても、ソーシャルメディアの力を活用してバイラル効果を期待する。これが、動画とソーシャルメディアを簡単に連携させることの一番の狙いだ。ちょっと前までだったら、バイラルムービーの一番相応しいステージと言えばYouTube以外には考えられなかった。ところが、ソーシャルメディアの登場が、その固定観念を大きく変えてしまった。

バイラルムービーのステージはもはやYouTubeだけではない。工夫次第では、企業のウェブサイトもバイラルムービーのステージなりえることを、ソーシャルメディアは教えてくれたといえるだろう。

itoman

« 2010年12月30日

2011年4月15日の投稿

2011年4月16日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のコメント
最近のトラックバック
カレンダー
2012年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
itoman
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ