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動画配信サービスの利用方法といえば、PCからウェブサイトにアクセスして、ウェブサイト上に用意されている動画を視聴するといったものが今までは一般的だった。携帯、スマートフォン、iPadアクセスできるデバイスは増えても、利用方法については結局一緒。顔の見えないユーザーのために、企業側はせっせとウェブサイトに動画を用意し続けてきたのである。ところが、最近になって今までとは全く異なる動画配信サービスの利用方法が登場してきた。それがiPadパーソナルサイネージである。

Vsipad

インターネットに接続して利用する

では、iPadパーソナルサイネージとは一体どんな概念を指すのだろうか。実は、仕組みはいたって簡単である。iPadをデジタルサイネージ用のモニターの代わりに利用するのである。違いといえば、従来までののデジタルサイネージがモニターのローカル上にある映像を流すのに対して、iPadパーソナルサイネージはインターネットに接続して動画を配信する点だ。つまり、iPadの持つ場所を選ばずに直ぐにインターネットにつながるという特性を最大限活かしたものが、iPadパーソナルサイネージである

インターネットに接続して利用することで、従来までのデジタルサイネージでは実現が難しかった、最新の動画を配信することが可能になる。デジタルサイネージの場合、ローカルに保存してある映像を流すのが一般的である。新しい映像を流したいと思っても、すべてのモニターの映像を差し替える必要があるので大変である。もっとも、最近ではインターネットに接続できるタイプも見かけるようになってきた

iPadパーソナルサイネージにおいて、なぜインターネットに接続できることが重要なのかというと、実はこの後説明するiPadパーソナルサイネージの使い方に大きく関係している。iPadパーソナルサイネージは、インターネットに接続できないことには何も始まらないのである。

マンツーマンで利用する

従来までのデジタルサイネージは、人がたくさん集まるような場所にモニターを設置して、不特定多数に向けて配信することが前提であった。これに対し、iPadパーソナルサイネージはマンツーマンで利用することが前提になっている。たとえば、こんな使い方が可能だ

量販店のカウンターに来店した、プロバイダー契約の申し込みを希望するお客への対応の際、従業員がiPadを使って動画で契約手続きの説明を行うのである。また、電化製品の説明を求められた場合は、その電化製品の特長を説明してある違う動画を見せることもできる。つまり、iPadサイネージでは、動画を配信する相手を特定することができることから、その相手が必要としている内容の動画を選んで見せることができるのである。

Ipad

iPadパーソナルサイネージは、デジタルサイネージのような不特定多数に対する配信にはあまり向いていない。むしろ、マンツーマンでのパーソナル配信での利用においてこそ効果を発揮するのである。特定の相手に対して相手に最もマッチした内容の動画を選んで見せる。これこそが、iPadパーソナルサイネージ最大のメリットである。

広告配信ではなく営業支援として利用する

不特定多数に対してではなくマンツーマンでの配信に向いているということは、その利用目的もデジタルサイネージとは必然的に異なってくる。デジタルサイネージの用途として一般的に知られているのは、なんといっても映像を使った広告の配信である。人が大勢集まる場所に大型のモニターを設置して広告を配信するデジタルサイネージの事例として良く目にする利用方法だ。ところが、前述した通りiPadパーソナルサイネージはマンツーマンでの利用が前提となっている。不特定多数に対して、動画で広告を配信するといった用途には向いていない。

では、一体どんな利用方法に向いているのか。それは、営業支援のような使い方だ。前述した量販店の事例のように、お客さまに自社の商品やサービスの特長を説明する際のツールとして利用するのである。不特定多数に広告を配信しても、それが実際の売上にどれだけ結びついているのか、かなり疑問である。iPadパーソナルサイネージは、直接売上につながるような場面で力を発揮する。

たとえば、以下のようなシーンでの利用方法が考えられる。

①量販店、携帯ショップ

②アパレル

③結婚式場、ホテル、葬儀場

④美容院、ネイルサロン

⑤金融

他にもまだまだたくさん考えられる。次回は、具体的な利用事例を紹介したい。

 

itoman

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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