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最近、ハンズオン(育成型)投資のありがたみを痛感している。ハンズオン(育成型)投資というのは、その日本語が表すとおり、お金を出して(出資)終わりではなく、一緒に汗をかきながらベンチャー企業を支援してくれる投資の形態。普通、スタートアップからアーリーステージの段階にあるベンチャー企業に適用されるらしい。今回ビムーブは、幸いなことにこのハンズオン投資を受けながらスタートすることができた。

では、実際にどんな支援をしてもらえるのかというと、まずオフィスを借りずにすんだ。先のメールにも書いたとおり、ビムーブのオフィスは青山2丁目にある。このオフィスも、今回出資をしてくれたベンチャー・キャピタルの関連会社が借りているもので、ビムーブが借りているものではない。

家賃もかなり安くしてもらっているのだが、それよりも何よりも助かったのは、最初にかかる保証金の支払が必要なかったことだ。これは本当に助かった。会社を設立してから調べてみてわかったのだが、オフィスを借りる際には保証金なるものが必要で、これが意外に高いのだ。場所にもよるが、軽く百万円単位のお金が消えて行ってしまう。

プリンター、コピー、FAXが一体となった複合機を買わなくてすんだのも大きかった。これもちゃんとしたものを買おうと思えばかなりのお金が出て行ってしまう。結局自分たちで購入したものと言えば、パソコンと動画の撮影に必要なビデオカメラくらいのもの。つまり、ハンズオン投資は出資してもらったお金以上の経済効果をもたらしてくれる。

だけど、ハンズオン投資のメリットは決して経済効果だけではない。今回もう一つ有難かったのは、事業立ち上げに必要な人的なリソース面でも支援してもらえたことだ。スタートアップのベンチャー企業は、当然のことながら組織が脆弱である。ビムーブも同様で、スタート時はとにかく人がいない。特に、営業が手薄な状態。

今回出資をしてくれたベンチャー・キャピタルは、その営業面でもサポートをしてくれる。具体的には、ベンチャー企業の立上げを支援してくれる企業を紹介してくれたり、販売代理店候補を紹介してくれたりとか、我々の立場になって助けてくれる。はじめて起業した新人経営者にしてみれば、こんなに助かることはない。今回は本当にそれを痛感した。

こうしたベンチャー・キャピタルとの良好な関係を継続するために、我々社員は何がなんでも結果を出して、その思いに応えなければならない。肝心の結果が出せないあまり経営状況が悪化し、そのせいでベンチャー・キャピタルとの関係がギクシャクしていくという経験をしているだけに、結果を出すことの重要性については十分わかっているつもりだ。

起業を考えている人や、これから出資を受けようと考えている経営者の方は、ぜひハンズオン投資を検討してみてはどうだろう。スタートアップのベンチャー企業には特にお薦め。日本でも、もっとハンズオン投資をしてくれるベンチャー・キャピタルがあらわれることを願っている。

itoman

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プロフィール

伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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