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猛暑が続いていますが、このウルトラ暑い夏にお薦めしたい取っておきのアルバムがあります。カルロス・リラの「Grabado No Mexico」。そうです、現在公開中のドキュメンタリー映画『This is Bossa Nova』でナビゲーター役を務めている、あのカルロス・リラが1968年に録音した名盤です。
この「Grabado No Mexico」はタイトルからもわかるように、カルロス・リラがメキシコで地元ジャズ・ミュージシャンをバックに録音した作品です。心地よいアレンジをバックに、カルロス・リラのボーカルとガット・ギターが冴え渡りまくっている彼の代表作です。
ちなみに、ブラジル音楽とメキシコとは切っても切れない縁で結ばれています。この「Grabado No Mexico」以外に、ジョアン・ジルベルトの「EN MEXICO」など、メキシコで録音されたアルバムはどれも名盤揃いです。このことから"メキシコ録音盤に駄作なし"という神話が生まれているほどです。
でも、どうしてこんな凄い演奏が、わざわざメキシコで録音されなければならなかったのか。実は、そこには当時のブラジルの政治情勢が複雑に絡んでいます。ご存知の方も多いかと思いますが、1960年代後半ブラジルは軍事政権下にあり、音楽どころの話ではなかったのです。
多くのアーティストが自由を求めて祖国ブラジルを離れることになったわけですが、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルらの若手はロンドン、ジョアン・ジルベルト、ルイス・エサ、カルロス・リラをはじめとした第一線で活躍中組はメキシコへと活躍の場を求めたわけです。
そんな政治的な背景が、この「Grabado No Mexico」誕生の裏には隠されていたわけです。そんな背景があったせいでしょうか、カルロス・リラの演奏にも並々ならぬ迫力を感じます。少なくても、メキシコで録音したからこそ生まれた名盤であることだけは、間違いのないところです。
ゆったりと大人の時間を楽しみたい時にピッタリの1枚です。それにしても、カルロス・リラって本当に男前です。若い時は相当メキシコのキャバクラでぶいぶい言わしたらしいです。
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