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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

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今年の5月17日、ガートナー・ジャパン株式会社が、ニュースリリースとして、「世界のIT投資マインド、1位インド、日本最下位(日本は将来もIT先進国でいられるか?)」という題名の発表をされた。もう2ヶ月も前のリリースであり、このレポートを見て問題視する意見が活発化した訳ではない。しかし、私には頭に引っかかってしかたがない。

日本のITって、進み方を間違えたんじゃないか。

ずっと昔から思っていたことが、たまに頭をよぎる。まあ、こんなこと、私しか考えていないようだし、誰も問題視していないのだから、たぶん、私が勘違いしているだけだ、と思うが。

■■■
5月17日のガートナーさんのニュースリリースは、ガートナー・ジャパンが世界21カ国の企業にリサーチをかけた結果のまとめだ。引用させていただくが、ガートナー・ジャパンは以下の7つの項目をIT投資マインドの項目としてあげている。

  • 2007年度のIT投資増加率
  • IT予算の対年商比率
  • CIOを設置している比率
  • 経営陣がITの重要性を十分理解している比率
  • 攻めのIT投資(競争優位の獲得を目的としたIT投資)
  • 守りのIT投資(業務プロセスの改善を目的としたIT投資)
  • 新規技術への投資の積極性

それぞれの項目の得点を総合したものが、総合ランキングとなり、IT投資マインドの高い3国は、1位インド(100)、2位シンガポール(82)、3位スペイン・ポルトガル(74)、という結果。一番低い国は、14位オランダ・ベルギー(45)、15位イタリア(43)、16位日本(13)であった( ()内得点 )。

13という得点は、書き写しの間違いではない。日本で得点として大きかったのは、「守りのIT投資」の部分だという。このリリースは、

今回の調査結果は、世界と日本のIT投資に対する意識の格差を際立たせるばかりでなく、5年後に果たして日本がIT先進国でいられるかどうか、大きな疑問を投げかけています。

という文で終わっている。

■■■
この調査内容は「IT投資動向報告書2007年 - 日本と世界」に詳細がある。これは、別途ガートナーから購入しなければならないが、内容の目次やサンプルなどが、このページにある

このページのサンプルというグラフに注目していただきたい。「IT投資・内訳比率における国際比較(平均値)2006年」である。日本、北米、欧州、アジア・パシフィックでの、IT部門の投資比率だが、日本が他の地域と比べて特出しているのは

ソフトウェアへの投資が少ない
ITサービスへの投資が多い

ということだ。「ITサービス」とはシステム・インテグレーションなどの意味だろうか。システム・インテグレーションが多いのは、自分の会社専用仕様が欲しい、というより、実際のエンドユーザの要求(要件と呼ぶものなのか)に従順すぎて、エンドユーザの仕事の仕方を変更させるところまで行っていない、とにかく、トラブラないシステムに仕上げたい、からなのか?

■■■
また「ソフトウェアへの投資が少ない」については、私は特に実感している。どうも、お客様の中には、

「ソフトウェアの値段が、ハードウェアより高くなることはない」
もっと大胆なのは
「ソフトウェアとコンサルテーションはタダ(なんか、水と安全みたいだ)」

といった固定観念を持たれている方が、まだいらっしゃるように思えるからだ。

いまソフトウェア・ビジネスの中心は、OSや本来の基盤ソフトウェアから、ミドルウェアかミドルウェアよりも上位で、個々のアプリケーションと連携する、「サービス・ソリューション型」のソフトウェアに移動している。Solarisなどの基幹OSすら無償なのは、もうあたりまえ。サンのアプリケーション・サーバもGlassFishというオープンソースとなり、無償だ。いまどき、アプリケーションサーバに大きな費用をかけるのか?GlassFishは他社商用アプリケーションサーバと性能、能力に差はぜんぜーんない。

逆に「サービス・ソリューション型」のソフトウェアは、極めて複雑かつ様々なアプリケーションとの連携をサポートし、なおかつ、統一化された管理機能を持つもので、当然高価になる。ハードウェアは逆に、最近のマルチコアチップの登場で、ハードウェアの価格が比較的低くても、充分なスループットが得られる。さらに、ハード・ソフトをその企業に導入するためのSIやコンサルテーション費は、専門性がさらに求められるようになったため、たいへんに高価となる。


すると大胆にかつたいへん大雑把なイメージで、ある程度大きなプロジェクトの場合の適正価格を想像してみると、たとえばだが、ハードウェアが3000万円、ソフトウェアが7000万円、導入SIとコンサル代が1億円ぐらいになるだろうか。計2億円。メインフレーム時代では考えられないほど、お安い。保守は、ハード・ソフト両方で、年間2000万円。極めて典型的な感じだ。しかし、まあこんな構成で、お客様先に持っていくと、

「えぇぇーっ???なにこれぇー。」

とか、言われてしまい、「3つを3000万づつにしてね。」とか、「コンサル費、高すぎだから、これは半額。ソフトは1000万円ね、バイナリーコピーするだけでしょ。ふっかけるなよ。ハードってこんなんででいいの、不安!」とか言われるだろうなぁ。

「(世の中の常識は変わっているのに・・・。ぶつぶつぶつ。)いいっすよ、いまいま、買ってくれんなら!」

 

たぶん、このプロジェクトは頓挫する・・・・・。

 

お客さんに逆らえない私も、同罪だな。おっかしくないかなぁ、日本のIT?

とおる

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高橋徹

現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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