2011年、ITのビジネス傾向はどうなる?
歳をとると月日の経つのが早いと言うけれど、まさにその通りだ。スピードを上げて走り続ける乗り物から降りることができずに最終ゴールに向かっているような感じだ。というような愚痴はともかく、2011年のITビジネスはどうなるかという記事が出始めた。今回は、ComputerWorldの編集長の5大予想を筆者のコメントも含めて紹介してみたい。
1. 不景気の影響が薄れる
2008年から始まった不景気のために企業はこのところずっとITへの投資を控えているので、2011年こそITへの投資が増加するというものだ。もう不景気から脱出したと米国政府は発表しているが、周りを見て頷ける材料がない。とは言うものの、データセンターでもサーバは3~5年で交換される。たぶん不景気のため、本来なら取り替えるサーバがまだ走っているだろう。景気の回復(本当かな?)と共にITのハードやソフトを買い替える動きが出ると予想されている。直接関係するかどうか分からないが、MSのWindows 7のSP1がとうとう来年の半ばまでには出るらしい。これもひとつのプラス要因になるかもしれない。
2. 経費を節減できる技術が注目される
早い話、仮想化とクラウドだ。ここで編集長も言っているが、クラウドはハイプの真っ只中。何でもクラウドで解決、クラウドは万能だという議論がまかり通っている。クラウドが何なのか実はまだ誰も分かっていないので、クラウドと唱えるとすべてが解決するというスタンスだ。それでも使用が更に進むだろう。経費節減は使用者側からの話で、パブリック クラウドの提供者は必ずしも経費節減にはならない。なんとなれば、最悪に備えてサーバその他の機器を用意しておかなければなれないからだ。用意しても使うかどうかは分からない。でも、プライベート クラウドだったら、各部門のVMを同じサーバで共有できるという点では節約につながるのだろう。日本は本格的にクラウドに移行するのだろうか。移行するとしても、パブリックよりもオンプレミスのプライベートだろう。
3. モバイルがブレーク
これはあまりにも自明な話だ。iPadの影響か、2010年米国市場では30種類以上のタブレットが販売されたとか。しかしこの傾向、注意が必要だろう。色々なガジェットを社員が持ち込めば、サポートやセキュリティの問題が生じる。安いWiFiのアクセスポイントや私用のPC、その他を持ち込まれると、セキュリティを保証できない。編集長はタブレットをわざわざ取り上げているが、それに何か特別の意味があるのだろうか。個人的には、別にタブレットに限らないと思うが。
4. ソフトが大きな変化を遂げる
要はクラウドとタブレットで、モバイル コンピューティングになって仕事の仕方が変わると言っている。しかしこれって上の2と3の折衷でしょう。タブレット、タブレットと言うけれど、今これを書いているネットブックでもよいのでは。何だかよく分からないカテゴリーだ。既に多くの会社で、PCを持ち運び、社内WiFiアクセスポイントを使って会議をやっている。つまりクラウドになったので、アクセスがネットを介してということなんだろうな。
5. Web 2.0が本格的になる
企業内には、業務用に作成したデータばかりでなく、その他にも山のごとくデータがある。その中からanalyticsで情報を引き出すという話だ。Linkedinはビジネス専用のSNSだが個人専用だ。例えば企業単位のSNSはどうやって行うのだろう。salesforce.comが提供する有料のchatterはそういうためのものらしい。らしいというのは、有料なので筆者は金輪際試さないからだ。
さて筆者の予想はどうかと言うと、ICTの応用分野であるスマートグリッドが相変わらず注目を浴びると思う。しかしスマートメータが設置されても、その後どうなるかまだ定かではない。それでも国家プロジェクトであり、エネルギーの確保は国家の必須である。メータから収集された莫大なデータの統合、解析、格納、クエリ、通信などの分野で進展があると思う。さて、あなたの予想はどうだろうか。