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久々に日本発の技術の話を

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最近日本を取り巻くニュースは面白くないものが多い。はっきり言って不愉快なものが多い。気分を変えるため、少し気持ちが高揚する話をする。有望な日本発の技術の話だ。この話、しばらくご無沙汰していたが、いつも気に掛けている。9月初め日本に行き、あちこち取材をした。そして電気自動車の急速充電は特に素晴らしいと思った。米国ではTesla社がいち早くスポーツカー タイプの電気自動車を販売しているが、その価格と充電時間(通常8時間、急速でも1時間程度)のために一部の層にしか受け入れられていない。

電気自動車の普及には、バッテリがどれだけ保つか、充電インフラがどの程度あるのかが大きな鍵となる。今朝車にガソリンを入れてきたが、全部でせいぜい10分程度だろう。この辺りでは(多分米国の多くの場所でもそうだろう)殆どセルフサービス形式になっている。待ちがなければ、それ程時間は掛からない。東電が中心になって運営しているチャデモという協会は、急速充電の技術の振興を行っている。完全に空っぽの状態から満タンにするまで大体30分以内というものだ。しかし現実にはバッテリが完全に空になるまで待つことはあまりないし、もし満タンでなく80%程度の充電でもよければ、1015分程度だそうだ。更に5分程度しか時間がなくても、その充電で40kmは走れるそうだ。もちろん、長い時間走れることに越したことはないが、日本ならこれで十分かも知れない。以前に書いた(『EVの時代はいつ来るのか』)ことは多分に米国の状況をベースにしているので、日本には当てはまらないようだ。そのうち、『日本版の電気自動車の時代はひょっとすると思ったより早く来るかもしれない』を書くつもりだ。

日産が電気自動車のリーフの販売をこの秋開始するが、充電時間は通常の100V8時間程度、急速充電も可能だ。気になる急速充電だが、日本では300350Vを必要とし、特別な場所にしかない。日産は全国のディーラーに充電所を設けて対応するという。2000箇所に通常充電所、200箇所に急速充電所を設置するそうだ。一回のフル充電で110120km走る。これはひょっとするとひょっとする。

ところで、急速充電技術を標準化して推進しようとしているのは世界中でこのチャデモの他あまりなく、北欧のどこかでやっている程度だ。米国でもGMがボルトを販売する予定だが、どうもあまり聞こえてこない。日産のリーフに対する期待は大きい。一般的に走行距離が長い米国では、一回の充電での走行距離が伸びないと苦しい。サンフランシスコとサンホゼの間を通う人は多い。片道60km強なので、往復すると120kmだ。今の走行距離だと、一回のフル充電で行って帰って来るのは無理かもしれない。これではやはり不便だ。高速道路の途中に充電所を設けてもやはり面倒なので、よほどの新し物好きでもないと実際に利用しないだろう。

バッテリ技術とこの急速充電をセットにした電気自動車は、日本再生の鍵になるのだろうか。こういった技術にはレアアースが不可欠だという。この資源は非常に偏在しており、今後の資源の確保が一段と困難になると予測される。どこかのTV番組で聞いた話で確認したことではないが、現在の日本の技術陣は、「レアアースが無いなら、最低限の量で何とかしよう」、または「全く違う方法でこういった技術をサポートしよう」という気概に満ちているそうだ。それが本当に可能かどうかは分からないが、日本に資源が無いのは何も今に始まったことではない。もし先人たちが、資源がないから戦えない、もう駄目だと諦めていたら、今の日本はなかった。先人たちに比較してヤワになったとはいえ、まだまだ日本も捨てたものではない。困難が大きい程、技術屋は燃える。専門馬鹿と言われる技術屋さん、今こそ貴方のチャンスです。私は信じる。日本はできる。貴方がやらずに他の誰がやるのか。

追記:読売新聞からですが レアアース、加速する「脱中国」”を参照してください。レアアースは必ずしもいらない様になりそうです。

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