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コンファレンスでの話し方

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これまでに、コンファレンスでたくさんの発表を聞いてきた。おそらく100150は聞いただろう。ブログを書くようになって、以前よりも注意して聞くようになった。最近はさらにレコーダーやビデオを使って内容を記録するようにしている。以前のように聞き流していると分からなかったことが分かるようになり、それなりに面白い。

ところで、ほとんどのコンファレンスでは、ノートを取らなくても発表のスライドは後で入手できますと言われる。だが、その約束が守られることはまずない。そして、話を聞きながら、ノートはちゃんと取れるものではない。話はレコーダーやビデオでなんとか死守できるが、スライドとなるとそうはいかない。テキストがぎっちり書いてあるもの、複雑な絵があるもの、写真や動画のあるもの、そんなものはとてもノートには取れない。それで筆者はデジカメを駆使してスライドの写真を撮る。今までに文句を言われたことはないので、特にコピーライトの侵害にはならないのだろう。それにもし文句を言われても、アナリストとして情報を正しく収集するためだと言えば通るだろう。大体コンファレンスで話をする人は、自分自身と所属する会社や団体のビジビリティを上げたいから出ているので、カバーされることは歓迎だろう。で、レコーダーをセットしながら(録音時間の残りをチェックしながら)、ビデオをまわす(台がないと持つ手が震える)。そしてスライドが変わるごとにシャッターを切る。このデジカメ、取説をよく読んでいないのが悪いのだろうが、一々設定を聞いてくる。片手でビデオを持ち、もう一方の手でシャッターを切ろうとすると設定の質問、横から見ているとおかしいだろうなと思いながらやっている。

前置きが長くなったが、重要なポイントを確認するために後でセッションを聞き直してみて感じることを書く。どうしたら聞き手が最後まで興味をもって聴いてくれるか、どうしたらこちらの伝えたいことを伝えられるか、良い点は真似をして、悪い点は反面教師として活かせば、今後自分が発表する際にもっと聞き手を引き付ける話ができると思う。

悪い点

1. 声が小さい:まず、声が小さいのは最悪だ。小さな声ではどんなに重要なことを言っても伝わらない。というか、何を言っているのか分からない。蚊の鳴くような声では、商売上の理由で何としても言っていることを聞き取らなければならない人を除けば、皆聞く努力をあまりしないであろう。これはしかし多分に、マイクの使い方を知らないということがあるように思う。マイクに向かって話をしていても、その出力がどの位か確かめない人が結構いる。またピンマイクを使っている場合、振り向いてスライドを見たら、声はピンマイクに届いていないことがある。

2. 論理的に話していない:これは筆者自身の反省だが、話言葉だと少々文になっていなくても非論理的でも、その場の雰囲気で流せることが多い。だがその話を録音して仔細に聞いてみると、非論理的な展開やその場で取ってつけたような発言はすぐに分かる。これは質疑応答の際に多く見られる。さすがに自分が一方的に話をするときは練習もしているだろうからあまりない。パネルでも、一応モデレータがどういう質問をするのかは予め分かっている場合がほとんどだから、ある程度回答を用意しているものだ。しかし思いもかけない質問が聴衆から出た場合に困ることがある。現在、モデレータから出た質問なのに支離滅裂な回答を繰り返すパネリストの話をまとめなければならず、苦戦中だ。

3. スライドの数が多い、あるいは少ない:やたらにスライドの数が多くて、しかも1枚のスライドにぎっちり書いてあれば、それだけでフォローする気が失せる。少なすぎる場合、話がうまくてスライドなしでもフォローできる場合を除き、これも困りものだ。

4. 話が面白くない:話をする能力は個人差があると思うが、同じ題目でも話が面白くないと聞く気がしなくなる。声が小さいのは、これとも関連しているのではなかろうか。ではどうしたら話が面白くなるのか。正直、筆者には分からない。しかし筆者の発表は(日本語の場合)IT漫談だとよく言われる。関西弁の言葉と抑揚が漫談風だというのだ。昔は、いや今もそうかもしれないが、関西なまりというのは恥ずべきものだったらしい。全然そんな風に思っていない筆者に向かって筆者にはそういうなまりがないと一生懸命言ってくれる人がいて、首をひねった経験がある。さすがに関西人以外には露骨な関西弁は使わないが、もし関西弁で発表が面白くなるのなら、それもよいではないか。ただし、関西人以外の方にはお勧めできないが。

良い点

まあ簡単に言えば、上の反対ということだろうか。上の1から3までは努力でなんとかなるものだけど、4の話が面白くないというのはどうなんだろうか。筆者は日本で講演しているとき、必ず1人か2人、寝ている人に出くわす。自分で金を払っているわけではないので別に損と思わず、また寝るのによい条件が整っているということなのだろうか。ここでも筆者は大人気ない。大体、発表する場でじっとしていることはなく歩き回る。可能なら会場の一番後ろまで行くこともある。だから、気持ちよくお休みの方々のすぐ側まで行って大きめの声で話したりもする。話の面白さは講演者の個性にもよるので、こうすればというのは中々示せない。

それよりも、あの蚊の鳴くような声、支離滅裂なセッションのまとめ、どうしよう。。。。

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