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30年に渡って関わってきた米国のITの出来事、人物、技術について語る。

日本発:地震に備えるITインフラ技術

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生まれも育ちも関西で、日本にいたときはあまり地震を経験しなかったが、シリコンバレーでかなり大きな地震を体験した。1989年のローマプリエータ地震はマグニチュード7.1、会社の天井が一部剥がれ落ちてきた。東京もシリコンバレーもいつ大きな地震が起こってもおかしくない。そしてIT機器は揺れに弱い。地震は大きな脅威だ。勿論地震の規模にもよるだろうが、地震の後IT機器が使用できないと、復旧にも影響が出るだろう。ではどうすればIT機器を地震の揺れから守れるだろうか。地震波をできるだけ忠実に再現して、実際のIT機器やIT機器を格納しているインフラを揺らし、それに対応できる仕組みを開発するしかなかろう。でもそんなことができるのだろうか。2つのコンポーネントがネックだ。ひとつは地震と同じ揺れを起こすハード。もうひとつは測定した実際の地震波を忠実に再現するソフトだ。

5月半ば、NTTファシリティーズの前座で講演した


その後、三鷹にあるNTTファシリティーズの武蔵野研究所で、データセンター関連の最新プロジェクトを3つ見学した。そのうちのひとつが地震のシミュレータだ。これはソフトのシミュレータではなく、実際に揺れを起こす大掛かりなシステムだ。揺れても壊れないIT機器や揺れの衝撃を弱めるキャビネットやラックが開発されれば、地震後の復興が容易になり、復興の時間も短縮される。地震の多い日本ならではのプロジェクトだ。

ではどの位の規模かというと、次の写真、特にそのサイズに注目して見て欲しい。


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写真提供:NTTファシリティーズ

中央にある黒いキャビネットが乗っている鉄の板が、記録されている地震波の情報に応じて縦・横・上・下に動くのだ。地震波は複雑であるため、実際の地震波の情報を利用しないと地震による揺れの影響を減少させる機材は開発できない。

平行と垂直に動かすために、それぞれの方向にアームがある。これは次の写真に示されている。


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写真提供:NTTファシリティーズ

一見簡単に見えるシステムだが、この製造技術はそう簡単に真似できるものではない。またハードだけでなく、地震波を正確にハードに伝達するソフトもピカイチだ。写真の撮影は許可されなかったが、それぞれのコンポーネントをあらゆる角度から写真に撮ったとしても、この装置を製造できる技術を持つ会社はそうたくさんあるまい。ソフトも同様だ。

このブログではNTTファシリティーズを取り上げたが、NTTファシリティーズのコマーシャルを書くのが目的ではない。このところしつこく書いている日本発の技術力の一例として伝えたかったからだ。皆さん、こんな技術が開発されているなんて知ってましたか。少しは日本の技術力に自信を持ちましたか。日本の人が知らないのだから、米国では全然知られていない。

早速英語で2箇所に発信した。

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