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オルタナブロガーは共通項として今の仕事が好きなんじゃないだろうか

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谷川さんのここで自分の会社のことをPRするブログを書くのはかなり難しいというエントリを読みました。

その中に高橋徹さん、玉川さん、砂子さんの3人の名前があって、

(とおるさん)自身がSunのマシンやソフトウェアの強力なファンだった

(玉川さん)彼もまた、Oracleの製品のことを好きで、いいものだと実感している

(いさごさん)Microsoftのいいところをいままさにビシバシと受け取っている最中であり、その良い部分をなんとか工夫してみんなに伝えようとしている

と、分析しておられました。自分もちょうど似たようなことを感じていました。自分も含めてオルタナブロガーの皆さんは今の仕事が好きなんだなと思うことが多いです。好きだからといって満足しているか、課題感がないか、というと必ずしもそうでないとは思いますが、特にミーティングなどで直接顔を合わせて会話をさせていただくと「夢」や「想い」といった部分に触れることがあります。実際には好きだからこそ見えるマイナスの部分などもあり、それを無視してプラスの部分だけを取り上げる難しさなどが邪魔をしてブログに書くのを難しくさせているのかもしれません。

それでも「夢」や「想い」を語るのがうまい人はたくさんいて、特にそういった思いにさせられたのはやはり高橋徹さんでした。徹さんに会うまで「エバンジェリスト」という仕事がよくわかっていなかった私は、何度かお話をさせていただいているうちにとおるさんを思い浮かべて「ああいうのがエバンジェリストだ」と納得できるようになりました。(実際には当時プリンシパルソリューションアーキテクトだったはず)

谷川さんの言うとおりにとおるさんがSunのマシンやソフトウェアのファンであることは疑いようのない事実であるわけですが、それ以外にも「Sunをやめると社員番号が欠番になる」とか「Sunでは災害時の対応カードが配布されている」とか「Javaの父もXMLの父もSun社員(またはOB)だ」ということを色々と教えてくれて、Sun社自身のエバンジェリストでもあったのではないかと思います。とおるさんとの短いお別れを済ませた後、妹尾さんと2人で「あれだけ『いい会社いい会社』言えるってどんだけえー会社やねん」という話で盛り上がりました。オルタナメンバーの中でSun社のイメージ調査をしたら全国平均より高い自信があります。

さてエバンジェリストとはどんな仕事なのでしょう。各社によって定義は異なると思いますが、私は情報システムの仕事に対して3つのハートを持った人であると定義しています。

  1. 好奇心
  2. 向上心
  3. 良心

1番目の好奇心は、エバンジェリストがその企業の最新の技術を世に広めるのが使命であることからはずせない要素であると思います。率先して良いところ悪いところを把握してポジショニングを明確にしなければ、良い技術もうまく売り込むことができなくなるかもしれません。そして世の中にある様々な現場に対して「どんな仕事をしているのか」という興味を持って取り組むこともまた必要であると思います。興味を持たなくなれば惰性運転になり、惰性は小さな変化を見逃し、いつかそれが累積して大きな歪みを生みます。そういった意味で、固定化されやすいユーザ側システム部門とベンダ側SEとの間に介入して新しい技術を持ち込み、議論を混ぜっ返す人がいてくれることの意味は大きいと思います。ですので新しい技術の案内状などをもらった際に「このセミナーにお客様を案内して”その気”になられたらめんどくさいなー」と思うこともあるかもしれませんが、長期で見れば必要な刺激であることが多いように思います。

2番目の向上心は、その技術をもっと使ってもらうこと、そしてすでに使っている人にもっとすばらしい使い方があること、そして将来的にどんな高みに連れて行くことができるのか夢を語ることであると思います。どんなにすばらしい技術でも、将来の夢があまり高い位置に設定されていないことは技術者としてハートをくすぐられることがありません。Javaを学んでいれば、.NETを学んでいれば、こんなすばらしい未来があるかもしれない、小さい頃から不満だったあんなことを解決できるかもしれない、そういったドキドキやワクワクを体験させてくれそうなオーラがあって欲しいと思います。技術者は自分の人生を技術の選択に委ねざるを得ないところがありますので、迷える子羊を救うためには「俺の背中についてこい」というカリスマ精神が必要とされるところなのかもしれません。

そして最後の良心は、ノルマやしがらみから一歩はなれたところから良心に基づいて技術を薦めたり薦めなかったりして欲しいという思いです。うちの製品もいいですけど、無理に乗り換えるにはリスクが大きいですよ、とか、ミッションクリティカルな度合いが強いのでもう少し枯れるのを待ってもいいかと思います、といったことを正直に話し合える人がいてくれると嬉しいと思います。(ですのでいさごさんのお話、感動いたしました。)

実はこの好奇心、向上心、良心という3つの心は自分が普段から仕事をするにあたって心がけているものだったりします。それがなんだか自分の中のエバンジェリストのイメージにしっくりくるようだったのでここで紹介してみました。

最後に、とおるさんとの会話で思い起こされるものと言えば、世の中からバッチ処理を無くしたいというものです。夜にデータを突っ込んで朝まで待つなんて馬鹿らしい、という話から、それならSOAで再構築すりゃいい、APサーバをたくさん立てて性能に余裕を持たせてサービス連携させればいい、という話になり、Javaでインタフェースを固めればサービス間連携の開発も容易で、しかもその実行基盤にT2000というすごくいいサーバがあってコア数がすごいんだよ。GlassFishというAPサーバもあって、それぞれのサービスをXMLで結んでいくだけ、それをJavaFXで見せたらすごくきれいに見えるし、シンクライアントにしちゃえば家に帰ったって仕事できるんだから、夜間バッチなんて言われたら困るじゃない。もちろんID認証もSunで、ストレージもSunで。うんたらかんたら。で、最後に必ず「ね、すごいでしょ。ふふん。」と。

色々と思い出すことは尽きませんが、この一言以上にエバンジェリストの仕事は表す言葉はないかもしれません。「ね、すごいでしょ。」いつか言いたい、言ってやりたいと思っています。

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