ブログを読むのに使われる総時間
今週の週刊ダイヤモンドに「35ジャンル別人気ブログリスト」が掲載されていました。知っているブログが数多く掲載されており、その中にはオルタナティブブログからシロクマ日報の小林さんの名前も。なんと1つの重複も含めて2ブログ3箇所の掲載でした。すごい。
けんじろうさんもアルファブロガーアウォード大賞に選ばれたということでオルタナティブブログも素晴らしい盛り上がりぶりを……と言いたいところなのですが、やや気になる傾向も出てきております。
これはオルタナティブブログだけでなく全体に言えることと思いますが、インターネット利用者の総閲覧時間におけるブログの占める割合が減りつつあるのではないか、ということです。
回線インフラやWeb技術の発達により、ニコニコ動画や企業サイトなど「時間をかけてリッチなコンテンツを楽しむ」という機会が増えてきています。ぼーっと画面を見てマウスもキーボードも触らないまま30分が過ぎる、という経験はこれまで主流ではありませんでした。そういったことはDVDを観たり音楽を聴いたりという時間ならではのことであり、ネットと言えば何かを書いたり読んだりしてマウスやキーボードをいじることと同義であったと思います。個人レベルで、また全体レベルで見たときにブログが読まれる時間はこれから現象するのではないか、そのように思います。
また、ブログ界隈の全体を考えてみた場合、ブログの数の増加ということが考えられます。ブログの供給が増え、ブログに対する需要が変わらなければ単純に考えてひとつのブログが集められる読者は減少するでしょう。アクセス数が減少することにつながると思います。
そうした場合に、例えばマスコミの過熱報道の原理と同じく「よりおもしろそうなこと」や「より過激なこと」に流れてしまうとブログ全体の品質が低下しかねません。ひいては影響力の大きな一部のブログに人が集まり、その他のブログはアルファブロガーの発言に賛成や反対を述べるだけというヒエラルキーが形成されてしまうかもしれません。
今やブログを書くのは個人だけでなく、多くの企業で企業ブログが始められています。担当者の思い付きによる趣味の世界でなく、広報戦略における要と位置づけられてSEOやSEMなどの要素も考慮され、かつ商売っ気をあまり感じさせず、商売でありつつ読む人を十分に楽しませるブログが増えてくると思われます。
そういったインターネットの中での綱引きだけでなく、本格的に地上デジタル放送がスタートしてテレビ各局がアナログとデジタルの二重投資から解放され、デジタル設備へ100%の力を注げるようになった場合、今のテレビ離れが解消されるかもしれません。新聞がインターネットへの記事配信だけでなく、無料過去記事検索DBの提供や報道写真の未使用カットの開放に向かうかもしれません。
また今晩はえらくポンドが高騰して140円に達するかという勢いですが、最近までのポンド安と日本から見ればおそろしく低めに設定されたDVD価格によりamazon.co.ukで日本製アニメが売れまくるという件がありました。これを通しイギリスのいくつかの企業に「日本ではDVDが高いのでイギリスのディスクを日本に発送したら商売になる」ということが伝わったことでしょう。日本での販売権が既に押さえられているものはイギリスから売り込むということは難しいでしょうが、日本では知られていない映像作品があればもっと積極的に販売に乗り出してきても不思議ではありません。願わくばそれで日本のDVDの値段が下がってくれたら良いのですが。それはともかく、そういった海外の圧力によりネットの時間がDVDなどに取って変わられてしまうことも考えられます。
最後に、今のところ日本人の多くは日本語のブログを読みますので日本人同士でのコンテンツを需要・供給し合っています。もし各国語の自動変換の精度が上がったり、日本語に詳しい人がたくさんでてきたらどうでしょうか。梅田望夫氏の「Web進化論」でも指摘されていましたが、日本よりも相当に貧しい国の人が日本語を勉強し、なんとかネット環境を手に入れてブログを書いたらどうでしょう。その生活が日本人の興味を引くような、例えば大草原の小さな家だったりDASH村を思わせるような内容だった場合は多くのアクセスを集めるでしょうし、貧しい国の給与水準からしたら大きな金額を得ることができるようになるでしょう。ひょっとしたら日本のブロガーは近い未来、そういったブロガーとも競争関係に入るかもしれません。
そうなったとき自分のブログはどんな人に読まれるのだろうか、と考えるとわくわくします。