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図書館の「件名」に学ぶ

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全国にある都道府県立図書館のうち、岡山県立図書館の入館者数と貸出冊数が2年連続で日本一になったそうです。2位が東京都、3位が大阪府ということですので、岡山県は大都市圏を相手にしての大勝利です。

もっとも、東京の来館者数が減った理由は、『来館して本を探す人がインターネットを利用するようになり来館頻度が減った』ということが考えられるそうです。東京都のインターネットの蔵書検索では、23区内の各図書館の横断検索をすることができます。どの図書館を対象にするか選択して書名などを入力すれば、どの図書館が所蔵しているかを調べる事ができて便利です。

岡山県立図書館でも、私の家の最寄の図書館でも、「件名による検索」というのが実行できます。これはタイトルによる検索とは少し違ったものです。また、分類法による検索とも違います。はてなブックマークを利用した事がある人であれば、タグによる検索をしたことがあると思います。件名による検索はそちらに近いものです。岡山県立図書館のサイトを例えにして件名による検索をしてみたいと思います。

岡山県立図書館の蔵書検索システム

目標⇒システムアナリストの試験に関する書籍を探したい

(1)現時点で、何を探したらよいのかわかりません。そこで、書名(タイトル)にシステムアナリストと入力してみます。

書名による検索

(2)結果がこのように表示されます。1件しか表示されませんでした。

書名による検索結果

(3)存在感を増す桃のキャラクターに突っ込みたい気持ちをこらえ、検索結果にある図書の詳細画面を開きます。

書名による検索結果から詳細画面へ

(4)件名を探します。この場合は「システム分析」でした。

件名を特定

(5)検索画面の件名入力欄に「システム分析」を入力して検索します。

件名による検索

(6)検索結果が増えました。この中からまた気になる本を選び、その本の件名に違うものが含まれていたらその件名で再度検索すると対象が広がっていきます。

件名による検索結果

(7)なお、分類で検索してみた結果はこちらです。かなり広い範囲で検索されました。こちらが便利であることも多々ありますので使い分けると良いと思います。なお、分類検索で使用した007.63*は「コンピュータ システム.ソフトウェア」だそうです。

分類による検索結果

この分類に使用する007というようなコードは、社団法人日本図書館協会が作成したNDC(日本十進分類法)という分類法に則っています。これは、Yahoo!のディレクトリ検索に似たものです。Yahoo!のディレクトリ検索で使用する構造は利用者が勝手に変更する事ができません。Yahoo!社の社員が作成して運用しているものです。ウェブサイトはYahoo!が定めたディレクトリに格納されていきます。

一方、図書に件名を割り当てる作業は、基本件名標目表などと言われるリストに掲載された単語を中心に行われます。ただしこれらの件名はあくまで基本的なものであるため、例えばIT図書館などのような専門的な図書館では自作で詳細な件名を作成する必要があります。岡山県立図書館ではシステム分析という件名があれば十分ですが、IT図書館であればシステムの何を分析するのかについて、収益性、セキュリティなど詳細な件名が必要になってくるでしょう。

なお、Yahoo!では1つのウェブサイトが複数のディレクトリに所属することがありますが、図書館では1書籍は1分類に所属します。これは、多くの図書館では分類に従って図書を書架に並べることから、複数の分類を許すと同じ図書を複数冊購入してそれぞれの分類の本棚に並べる必要があるからです。例えばコンサルに関する本で経営とITの両方に並べたいと思っても、2冊買うのが無理なのでどちらかに分類してしまう、ということです。

これでは不便ですので、1書籍には複数の件名をつけます。ただし件名ごとに本を並べるということはしません。かわりに書籍1冊につき何枚か同じカードを作成します。そこに書籍の情報を記載し、どの本棚を見れば見つかるかを書き込みます。そして件名ごとにそのカードを集めます。例えば「経営」という件名がついたカードを入れる箱と、ITという件名がついたカードを入れる箱があれば、その両方に1枚ずつ同じカードを入れることになります。ある人が、『コンサル』の本を探そうとしたとき、ITという件名の箱を探すと目的の書籍のカードを見つけることができます。その人が経営という件名の箱から探しても目的のカードを見つけられます。それぞれのカードには書籍の在り処が書いてありますので、目的の書籍に行き当たることができます。

件名カードから図書を検索 

と言っておきながらも、このあたりは実際の図書館でどのように運用されているか存じ上げません。最近めっきり件名カードが入ったボックスから見当をつけることもなくなり、図書館の検索端末の検索で探すか、amazonの「おすすめ」で見当をつけてOPACで検索し、目的の図書館に行くということをしています。例えば一冊一冊本を読んで件名を考えているのか、それとも出版社側からの「これはこういう件名で分類をお願いします」という要望に基づいて分類しているのかなど、知らない事がたくさんあります。それはそれとして、この仕組そのものはシステムを作る上で参考になるところが多いように感じます。これからも勉強していきたいと思います。

(関連エントリ)
はてブのNDCタグってなんだ - 一般システムエンジニアの刻苦勉励

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