モールス信号を暗記する
和尚焼香、兵糧欠乏、乃木東郷
これらをひらがなで表記してみます。
おしょーしょーこー、ひょーろーけつぼー、のぎとーごー
この音を短い音と長い音(・と-)で表現してみます。
・---,--・・-,・・--
これは順番に、
ヲ、ヒ、ノ
をモールス信号にしたものです。
このような覚え方があることをデイリーポータルZの
萌え萌えモールス信号という記事で知りました。
さて、先日のエントリ ゼロに斜線をつけますか? では、
ABCをアルファ、ブラボー、チャーリーと呼ぶことで
認識の相違をなくすのに便利なフォネティックコードというものがあることを紹介しました。
そのフォネティックコードとセットでマスターするものと言えばモールス信号です。
モールス信号というのは、英数字、日本語のひらがな、簡単な記号を
トンとツーの2種類の信号で表現するものです。
極めて単純な信号ですのでノイズなどにも強いですし、
電線に信号を載せるだけでなく、音や光などでも応用が効きます。
特に音で発する場合はその独特のリズム感から
モールス信号の中身など全然知らなくても「モールス信号だ」とわかります。
ためしに携帯の着メロ自作機能で(最近は購入が全盛なためあまり使われていませんね)
長点1つを短点の3倍の長さにし、文字と文字の間に短点1個分の無音を入れてみてください。
何も考えずに適当に作ってもばっちりモールス信号っぽく聞こえます。
私は大学の時にモールス信号をメールの着メロにしていました。
「メールをいちいち開かなくても済むようにモールスにして自動読み上げにしている」
というと意外に信じる人が多かったです。
そんな携帯ありませんが、あったらものすごく欲しいです。
映画「紅の豚」ではマダム・ジーナがモールスを傍受して暗号を解読したり、
飛行機同士で発光信号(モールスを光で伝達する)を使って喧嘩したりとたっぷり出ていました。
モールス信号には、どこか大きなお友達をひきつけてやまない魅力があるようです。
この日本語のモールスと英数字のモールスは同時には使用できません。
たとえば、BILという単語を変換すると
B -・・・
I ・・
L ・-・・
になりますが、うっかり日本語で読むと
バ -・・・ ・・カ ・-・・
になります。注意が必要です。
モールス信号のように、トンとツーという2つの要素だけで
アルファベットや五十音を表現しようとすると、
ツートントントンというように組み合わせを行う必要があります。
アルファベットに関しては、よく出現する文字ほど
モールスで打ちやすいように策定したそうです。
五十音に関してはそのような考慮がされていないため、
送信効率が良くない規格になっているそうです。
基本情報技術者やソフトウェア開発技術者な方は既にご存知の話だと思いますが、
よく出現する文字ほど使用ビット数を減らし、あまり出現しない文字の使用ビット数を
増やす事で全体の電文を2進数化したときの総ビット数を減らす圧縮方法のことを
ハフマン符号化といいます。出現回数が多い文字ほど短く表現できます。
みなさんがよく見ているJPEGファイルはハフマン符号化を利用しています。
ZIPもハフマン符号を利用しています。なので「ZIPでうp」されたものを拾ったときは
2回ハフマン符号化の恩恵に預かっていることになります。
gzipやLZHも同じです。サーバがgzip圧縮転送していたら3回ですかね。
ハフマン氏にお礼を言いましょう。
ハフマン符号化の原理については、理解はしているつもりなんですが
力不足でこれ以上うまく説明できません。
気になる方はwikipedia等をご覧下さい。
(圧縮の効率には限界があります。何度も圧縮したところで効果が出続けるわけではありません)
そういうわけで転送効率が良くないと言われる日本式のモールスですが、
冒頭に挙げたように語呂合わせで暗記するという楽しみがあります。
いくつかのスタイルがあるようですが、よく見かけるものを集めてみました。
イ ・- (伊藤)
ロ ・-・- (路上歩行)
ハ -・・・ (ハーモニカ)
ニ -・-・ (入費増加) 入費(にゅうひ)⇒必要なお金
ホ -・・ (報告)
ヘ ・ (屁)
ト ・・-・・ (特等席)
チ ・・-・ (地価騰貴)
リ --・ (流行地)
ヌ ・・・・ (塗りもの)
ル -・--・ (ルール修正す)
ヲ ・--- (和尚焼香)
ワ -・- (「わー」と言う)
カ ・-・・ (下等席)
ヨ -- (洋行) 洋行(ようこう) ⇒ 欧米へ留学・旅行すること。
タ -・ (タール)
レ --- (礼装用)
ソ ---・ (相当高価)
ツ ・--・ (都合どうか)
ネ --・- (寧猛だろう)
ナ ・-・ (習うた) なろーた
ラ ・・・ (ラムネ)
ム - (ムー) ニュートン、日経サイエンスと並ぶ科学雑誌
ウ ・・- (疑ごう) うたごう
ヰ ・-・・- (威光発揚)
ノ ・・-- (乃木東郷) 私の祖父は乃木大将が自決した日に生まれました。
オ ・-・・・ (思う心)
ク ・・・- (悔しそー)
ヤ ・-- (野球場)
マ -・・- (まあ任そう)
ケ -・-- (経過良好)
フ --・・ (封筒張る)
コ ---- (高等工業)
エ -・--- (英語ABC)
テ ・-・-- (手数な方法)
ア --・-- (あー言うとこー言う)
サ -・-・- (さー行こう行こう)
キ -・-・・ (聞いて報告)
ユ -・・-- (憂国憂壮)
メ -・・・- (名月だろう)
ミ ・・-・- (見せよう見よう)
シ --・-・ (周到な注意)
ヱ ・--・・ (回向冥福) 回向(えこう) ⇒ 亡くなった人の供養をすること
ヒ --・・- (兵糧欠乏)
モ -・・-・ (猛子と孔子)
セ ・---・ (世評良好だ)
ス ---・- (数十丈下降) 10丈 ≒ 30.3030303 メートル
ン ・-・-・ (旨めー旨めーな)
一度完全にマスターしたいとは思っているのですが、
なかなか覚えられません。個人的にはカルタにしたら良いんじゃないかと思っています。
「ツートントントン」というのを聞きながらバシッと札を取りたいです。
1枚だけサンプルで作ってみました。
作りながら、カルタに向かないことに気付きました。
日本語のモールスも英語のモールスもハフマン符号のように作られていないため、
百人一首の1字決まりのような札がありません。
ですので音を最後まで聞かないとお手つき連発になるでしょう。
以上、モールス信号についてでした。
(残るは手旗信号か……)