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ゼロに斜線をつけますか?

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こちらを見ていただけば一目瞭然です。

HPの覗き見防止フィルターつき

携帯のフォントをよく見ると、なぜかゼロに斜線がついています。
これはゼロとオーの違いを見分けるために用いられる方法です。

肉筆だと書き分けが難しいですので、
下のような書き分け方法がよく用いられるかと思います。
なお、私の印象で作ったものですので会社の風習によっては
全然違う事もあるかと思います。その点、ご容赦下さい。

ボデーのデー

追加

  • D (ディー)はゼロやオーと見間違う恐れがありますので、縦線に印をつけます。
  • O (オー)は大文字も小文字もゼロと見間違いやすいですので、
    大文字の場合は上にバーを引き、小文字の場合は下にバーを引くことがあります。
  • C (シー)は大文字と小文字が分りづらいです。
    どちらかの書き始めの部分に大きな印をつけます。
  • P (ピー)も大文字と小文字が分りづらいです。
    大文字のほうに下線を強調してつけます。
  • I (アイ)はイチやエルと間違えやすいです。
    大文字の上下の横線を書きますが、やりすぎるとカタカナのエと間違いやすいです。
    小文字のアイは点を強調して書きます。
    大文字と小文字を区別する必要がない場合は、小文字のアイを使うとよいです。
  • L (エル)は、小文字の場合のみイチやアイと見分けづらいです。
    筆記体っぽく書くのがポイントです。
    大文字と小文字を区別する必要がない場合は、大文字のエルを使うとよいです。
  • Z (ゼット)は2と間違えないように斜線に斜線をクロスさせます。
  • φ (ファイ)はゼロに斜線をつけたものと間違えやすいです。
    縦線を長く引くとか円を小さく書くことが必要かと思います。
    この記号は図面で円の径などを表すのによく用いられますので注意が必要です。

# 2007.07.02 Zとφを追加しました。

私の父は建築士でした。思い通りの建物を建てるには、
正確に図面を伝達することが重要です。
私はあまり詳しくは知りませんが、図面で用いられる線の意味や
数字の書き方や長さの単位のつけ方などはJIS等で決まっているそうです。
ホームセンターの材木コーナーに行くと
板や角材は1200*800*30などと表示されているはずです。
何もついていない数字はミリメートルという意味です。
これはそっちの世界の人にとっては常識中の常識ですので、
日曜大工のためにお店で材木カットサービスを頼む時は

「30センチに切ってください」と言うよりも

「300取ってください」と言うほうが通っぽい感じがします。
私の経験からするとそれで聞き返されたり、300センチだと誤解された事はありません。

一方、システムの仕様書には業界の全体に影響力を及ぼすような
強力なルールがありません。建設業界を見習うべきポイントであるかと思います。
もちろん、社内ルールというのはどこでもありますし、
開発を委託する際などはそのルールを共有して進めることになります。
しかしごく身近なところでも、キロバイトのKというのですら
1000のつもりで使う事もあれば1024のつもりで使う事もあったりします。
ネットワークの世界では小文字のkを用いて10**3=1000倍の意味で使います。
ディスクの世界では大文字のKを用いて2**10=1024倍の意味で使います。
これが標準ではありますが、必ずしも完全に徹底されているとは
言い切れませんので注意が必要です。

建物の寸法を間違えてしまっては大変なことになりますが、
システムを作るに当たっての仕様書や設計書でも上のような認識間違いは大変な問題です。
印刷物に関しては、フォントの癖でゼロとオーなどを見分ける事ができますが、
打ち合わせでホワイトボードを利用する際などには「正確に伝える」ことを心がけるべきでしょう。
このへんに無頓着なエンジニアはあまり信用できないかもしれません。

小さい時から父に算数を見てもらうと、内容よりも数字の書き方をたっぷり指導されました。
小学5年生くらいになっても何か細々と注意されていたと思います。
残念ながらあまり覚えていませんし、身についた部分も僅少です。
しかしこれまでの人生で数字が読みづらいと言われた事がありませんので
一定の効果はあったのかもしれません。

社会保険庁で年金のデータで大規模な不整合が発生しているそうです。
ひょっとすると、ゼロ、ロク、キュウなどが間違って認識されたデータもあるかもしれません。
数字を間違えないで書く、それだけの事ですが、なかなか難しい事です。

書く方にしてもそうですが、読む方にしても注意が必要です。
口頭で読み上げるときにも相違が発生する場合があります。

一番多く遭遇するのは9とQです。両方キューになります。
9をナインと読むか、それぞれ「数字の9」か「英語のQ」と読みます。

( や ) などの カッコも「開きのカッコ」と「閉じのカッコ」と言って区別します。
< と > の場合は「小なり」と「大なり」と言い分けることができます。
でないとどっちの括弧を言っているのかわかりません。

Dは「ディー」というと「ビー」や「イー」などと聞き間違いやすいです。
ので思い切って「デー」と読みます。車好きな方は車体のことを「ボデー」と呼ぶのに
慣れ親しんでおられることかと思います。

携帯で音声が悪くて余計に伝えづらいシチュエーションに出くわす事もあります。
その決定的な解決策として、口頭で正確にアルファベットを伝えるための便利な決まり事があります。
フォネティックコードとか通話表というものです。B級ハリウッド映画が大好きな方は

アルファ!ブラボー!チャーリー!

と言われればピンと来るかもしれないあれです。
キングオブホビーであるアマチュア無線な人もご存知かと思います。
(個人的にもっとも印象的なのはクリムゾンタイドでミサイルの発射コードを確認する場面です)

この表はとても便利なものですが、知らない人にとっては
何を言われているのか全然わからないものになってしまいますので注意が必要です。
唐突にこれを利用するとアマチュア無線な人から仲間と認識されるかもしれません。
ちなみに私は無線な人ではないです。

A    ALFA    アルファ
B    BRAVO    ブラボー
C    CHARLIE    チャーリー
D    DELTA    デルタ
E    ECHO    エコー
F    FOXTROT    フォックストロット
G    GOLF    ゴルフ
H    HOTEL    ホテル
I    INDIA    インディア
J    JULIETT    ジュリエット
K    KILO    キロ
L    LIMA    リマ
M    MIKE    マイク
N    NOVEMBER    ノベンバー
O    OSCAR    オスカー
P    PAPA    パパ
Q    QUEBEC    ケベック
R    ROMEO    ロメオ
S    SIERRA    シエラ
T    TANGO    タンゴ
U    UNIFORM    ユニフォーム
V    VICTOR    ビクター
W    WHISKEY    ウィスキー
X    X-RAY    エクスレイ
Y    YANKEE    ヤンキー
Z    ZULU    ズール

上の通話表を利用して私の名前 YOHEI を伝えるとしたら、

ンキー、スカー、ホテルコー、ンディア

となります。

これと同じものの日本語版もありまして、

朝日の
名古屋の

などと言って伝えるものがあります。
こちらは数が多いので割愛させていただきます。

本来のテーマに戻りますが、このような世界に面識のない方にとっては、
ゼロに斜線がついているのを見て

「この文字なんですか?」

と言う人も少なくないと思います。昔のPCでは当たり前のように使われていましたが
最近のPCでは和文フォント・英文フォントを問わず斜線つきゼロは少数派です。

しかし皆さんが持っている携帯電話で堂々と使われている斜線つきのゼロ。
なぜこんなにもあっさり受け入れられているんだろう?と不思議に思いました。

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