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【ワールドカフェ未経験の方におすすめ】残念なワールドカフェ?への質問にお答えします

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前回ご紹介した「残念なワールドカフェ?」ですが、多くのみなさんからツイートやフェースブックでのコメントなど、反響をいただきました。

そこで今回は、「そもそもワールドカフェって初めて聞いたのですが・・・」という方からの質問を始めとして、いただいた質問への回答をお送りします。これらのQAのやり取り、みなさんのご参考にもなればな、と期待しています。それでは、早速質問へ。。。

 

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■質問1:
そもそもワールドカフェというものを初めて聞いたのですが、これは手法なんですか?イベントのことなんですか?

”ワールドカフェ”とは、話し合いの手法の名称です。
例えば「グループディスカッション」「ディベート」なども、話し合いの手法と言えるかと思いますが、これらと同列です。
但し、ワールドカフェの手法そのものが目新しいため、この話し合いの方法を、カンファレンスやセミナーなどでの目玉プログラムとして開催されることも多く、そういった場合、そのイベント全体を「大田区ワールドカフェ」「ベンチャーカフェ」といったネーミングにすることで、イベント名の中に「ワールドカフェ」という表現が入り込んで、ややこしく感じられることもあります。

 

■質問2:ワールドカフェが話し合いの手法だとしたら、どんな特徴があって、どんな場面に向いているんですか?

非常に多くの参加者が一同に介し、4人1組のテーブルを囲んでそれぞれが座り、まるで賑やかなカフェのように、互いがくつろいで会話を楽しみ、席を移動することでアイデアが交換され、新たな発想や刺激が生み出されるような手法です。
開催人数は12人程度から、大規模になると1000人を超える場合もあります。
日本では最近、セミナーやカンファレンスにて、情報提供やレクチャーの後に、参加者同士が意見を交換する場面で使われたり、◎◎市の将来を考えるといった、地域コミュニティなどでの話し合いで使われたりするケースが多いように見受けられます。 ご参考に、私が開催に関わった「コラボレーションカンファレンス2010in福岡」での100人規模のワールドカフェの感想をご紹介します。

■参考:コラボレーションカンファレンスin東京での参加者アンケート結果コメント

  • 「ワールドカフェを通じて議論を深め、途中から脱線し、新たなテーマでコラボが生まれそうになるなど、刺激的な場所となりました。」
  • 「ワールドカフェを通して、参加されている方の考えや置かれている立場などを気兼ねなく共有し合うことができ、貴重な体験ができたと思っています。同年代の向上心の高さを改めて肌で感じることができ、とても良い刺激になりました。」
  • 「私は技術者で技術系の勉強会に参加することが多く、今回の勉強会はいつもと雰囲気が全然違って驚きました。」
  • 「ものごっつ楽しかったです。」
  • 「知らいない人と、共通の話題でここまで盛り上がれるとは思わなかった。」
  • 「楽しかった!「コラボレーション」という、職種を問わず関心が高いテーマ設定のおかげで、多用な業種・年齢・役職の方々と、フラットな関係で話し合うことができました。」
  • 「非常に面白かったです。何よりも、ワールドカフェという形式での議論がはじめてで、とても良い手法を知ることができ、良い議論ができました。」

 

■質問3:実際にワールドカフェを取り入れてる企業や、ワールドカフェを実現するための施設を作ってる企業ってありますか?

有名な企業では、シスコシステムズ、コカコーラ、エリクソン、Google、ヒューレッド・パッカード、インテル、NASA、など、アメリカを中心に導入実績が多いようです。
詳細は、http://theworldcafe.com/impact.htmlにて確認できます。
ワールドカフェを実現するための施設については、残念ながら不明です。但し、それほど特別な設備などは必要としないため、大人数で実施する場合であっても、通常のコンベンションセンターを借り切るなどで対応は可能かと思われます。

 

■質問4:ワールドカフェで議論の収束を求めてはいけないのか?
ワールドカフェに議論の収束を求めちゃいけないんですよね?議論がとっちらかって終わりっていうイメージがあるのですが。。。

ワールドカフェの場そのものの設定としては、「議論の収束」を求める、言い換えれば決められた時間内で結論を導き出すことを要求することはありません。これは、カフェとしての会話を楽しむときに、そうした外圧的・コンテンツ面での強制があっては、自由な発想が抑圧され、通常の会議や研修などと同様の思考パターンに戻ってしまうためです。
但し、個人個人がテーブルでの話し合いの中で強く収束を求めたり、結論を得ようとすることも、流れの中ではあり得ます。それは、カフェで話を互いにしていて、どんどんアイデアがリアルになっていき、「じゃあさ、それを明日からやってみようぜ!」となるケースに似ているかと思います。

後半の「議論がとっちらかって終わりっていうイメージがある」という点についてですが、これは「会議や日常の目的的なディスカッション」としてワールドカフェの場をとらえてしまうと、「とっちらかった」こととして捉えられてしまうかと思います。なぜなら、「ディスカッション」の場合は、場の設定として、決められた時間内に決められたレベルでの結論を得ることが所与の前提となっているためです。

以上をまとめると、ワールドカフェそのものは、場全体として「今回は◎◎の結論を必ず出さなければならない」「重要な意思決定をしなければならない」という場面には、不向きと言えます。2−3日集中して結論を出すような大規模なカンパニーミーティングなのでは、そのプロセスの一部としてワールドカフェを導入する場合がありますが、2−3時間でのワールドカフェ単体については、結論を求めるという進め方は推奨できません。

 

■質問5:結論がでない話し合いを、わざわざする意味はあるの?
結論がでない話し合いを、わざわざ多くの人が集まって行う価値があるの?少なくとも、ビジネス面で活用できるイメージが沸かないのですが。。。

これは、かつてコンサルタントとして企業の事業推進のサポートをしてきた経験、外部のカンファレンスの設計・運営をしてきた経験、そして現在事業会社であるライフネット生命で事業開発をする経験を通して、自信を持って「行う価値が大いにある」と断言できます。

具体的には、

・それまでいつも堂々巡りで同じレベルの議論をしていたチームが、新たな示唆や互いのポテンシャルを引き出し、直面するチャレンジや課題への新たな糸口を発見できる

・内部での限られ固定化した視点ばかりだったところに、顧客や取引先など外部のステークホルダーを巻き込み、そこでの意見交換をすることで、圧倒的なモチベーションUPや、自分たちが取り組んでいることの価値を再認識できる

といったことが発生します。
ただ、ワールドカフェが提供する価値は、特に従来のディスカッションや会議体だけに浸かりきってしまっている場合には、そもそも想像したり、捉えたりするフレームが欠落してしまっているため、ロジカルに説明をするのが難しいと感じます。
ですので、まずはどのような場面・テーマでも構わないので、一度しっかりとしたワールドカフェに参加し、その意味を体験することをおすすめします。

 

■質問6:ワールドカフェ中に「雑談」ぽくできないのですが、どうすればいいですか?
個人的には、つい気合いの入った「議論」チックになってしまう。テーブルにいる人のうち、2人くらいがずっと喋ってることがある。ちなみに、わたしが議論ちっくになりがちな人ですw 真剣にブレストを始めてしてしまう。しばらくしてそれでいいのか不安になり、ハッとまわりをみまわす感じ・・・w

運営側は、様々な細かい設定や注意事項を守って運営を進めることで、心地いい「雑談」が行われるようにする必要がありますが、参加者個人は、「雑談」っぽい感じが自分の中で中々でなくても、焦ったり、困惑して、特別な対処をする必要はありません。
そのワールドカフェで取り扱っているテーマの設定や、その場に集まっているメンバーの構成によっては、どうしても日常での「議論」を想起しやすくなっていたり、たまたま日々の仕事と近しいメンバー構成になってしまっていて、日常に立ち戻りやすくなっていたり、たまたま集まっている人同士が、「議論」モードに日々どっぷり浸かりすぎていたりと、すぐに「雑談」モードに入るのが難しい場合もあります。
ですが、こうした「違和感」を感じたり、「議論」だけではなくて「雑談」にもっとしたほうがいいなと感じたりするだけでも、日々の生活に戻ったときに「雑談」を意識して取り入れられるようになったりします。違和感を感じる幅が大きいということは、それだけ日々と異なる何かを手に入れられるサインそのものですので、安心して試行錯誤あくせくしてみてください。必ずや、得るものは大きいはずです。

 

■質問7:テーマ設定はどのようにすればいいか?
テーマの設定がむずかしいなあ、といつも悩みます。盛り上がるものと盛り上がらないものがある気がします。あまり絞りすぎると行き詰まる感じですが、かといって大きなテーマでも「話が拡散してしまった」という感想がちらほら。参加者各自の温度差の問題もあるかもしれませんが…

質問の設定は、最もチャレンジングな要素であると、私もいつも運営側として感じます。運用上のコツとしては、

 

  • 参加者の多くの興味・関心の中心的な部分に位置しているか?
  • 単純明快で、問いかけの意味がわかりやすいものか?
  • ちょっと考え出してみるだけで、思考が刺激され、わくわくするか?
  • わざわざこのメンバー全員で考える必要がないくらい、具体的で細かい話ではないか?
  • 敢えてこのメンバーで考える特別な理由がないくらい、一般的な話ではないか?

といった観点を持ちながら、運営メンバーが事前にああだこうだ考えに考え、練りあげてみることです。運営側が特に努力できる部分として、少しでも詳しく、参加者たちのことを理解するように務めるという点があります。これらは、上記のチェックポイントを満たす上で、必須の要素ですので。
例えば、参加者の一部と会話を事前にしてみたり、簡単なアンケートを実施してみたりするもの、この努力の1つに該当するかと思われます。

 

■質問8:ワールドカフェの成果を、その場で確かめる方法はありませんか?
どんな結果が得られたのかいまいちよくわからなくて、「参加者にとって有意義な場になっていただろうか?」といつもちょっと不安です。最後に発表の時間を設ければ良いのかもしれませんが、時間もないし、なんとなくそこに抵抗があって。多分、ワールドカフェで得られる気づきは個々人で違う気がしていて、それをテーブルごとにまとめて発表することに違和感があるのかもしれません。

色々な方法があるかと思いますが、特にこの場では2つの方法をご紹介します。

1.有志だけ数組、発表してもらう:
すべての人達で発表となると、それ自体がカフェの雰囲気を台無しにしてしまうということは、「残念なワールドカフェ?」で指摘した通りですが、有志の人たち数組、言い換えれば5〜10分の短時間で発表してもらうことなら、問題ありません。
なぜなら、この時点で発表するということは「ぜひともみんなに共有したい、くらい今日の自分は発見や刺激があった」という人が発表してくれるためです。この方法であれば、どの程度のレベルのコンテンツが導かれたのか、確認をすることができます。
また、グループとして発表することは、「他家受粉」と呼ばれるアイデア交換などがちゃんとワークしていれば、各人が個別バラバラに考えたことばかりが報告されるのではなく、メンバー同士も有機的にいい意味で絡み合った補足・追加説明をしてくるはずですので、心配の必要はありません。

2.終了間際に3−4分、それぞれのテーブル内で、簡単に今日の感想をシェアしあってもらう:
これにより、お互いにいいことが起きていれば、その内容を確認し合い「あっ、私だけでなくみんなもよかったんだな」といったことが互いの刺激になり、「やっぱり今日はいい日だった」という確信を持って、日常に持ち帰ってもらうことができるわけです。この最後のやりとりに、進行役は耳を傾けることで、今日のみなさんの捉え方がよく確認できるかと思います。

いかがでしたでしょうか、これらは参考になりましたでしょうか。

このYLOGオルタナティブでは、こうしてみなさんから記事に対していただいたフィードバックを考え、さらにそこにかぶせていくことで、お互いの思考が深まることを目指していますので、今回こうしてご質問をいただいていることは、とても嬉しく思っています。

 

▼ワールドカフェを試してみたいというかたは、こちらの記事もご参照ください

「【詳しいやり方が分かる】ワールドカフェ実践マニュアル」

それでは

※さらなるご質問などを、今後UPする様々な記事でもよりいただけるように、下記のようなフォームを用意させていただきました。こちらであれば、個人的にお聞きになりたいことなども、他の方の目に触れず。お気軽にお問い合わせできるかと思います。

 


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