TechCrunchでも話題のウェアラブルおもちゃ 〜【Moff】のSDKについて色々教えてもらってみた〜
今日は、TechCrunchでも話題のウェアラブルおもちゃ「Moff」、その開発者向けSDKについて、Moff代表の高萩氏にお話を伺ってきました(聞き手 吉木誉絵さん)。
【読了3分】
■MoffのSDKについて教えてくれる人
高萩 昭範さん:コンサルティング会社、外資系企業マーケティング職を経て、ウェアラブルおもちゃ「Moff」を開発・販売するベンチャー「株式会社Moff」を設立。
■Moffとは?
2014年3月10日より、米国Kickstarterにて予約販売を開始した、「ウェアラブルおもちゃ」。わずか2日間にて、ファンディングの目標額に達し、米国TechCrunchやUSAトウディに取り上げられ、日本でもWBS「トレたま」にて紹介された注目もガジェット。本体に取り付けられたセンサーが、腕の動きを感知し、連動するiPhone・iPadアプリから、様々な音が出ます。
TV東京系列「WorldBusinessSatellite」での紹介
今回の聞き手の吉木さんによるMoffのテストプレイ
今回の記事では、100万人以上の子供に向けて販売・配布を目指すMoffが、SDKに関してどのような狙いや構想があるかをMoff代表の高萩さんにお聞きしています。
■Moff本体について教えてください
−Moffってどんなデバイスなんですか?
高萩さん:Moffですが、とてもシンプルなインプットデバイスとして設計しているんですよ。この本体の中に「3軸の加速度センサー」「3軸のジャイロセンサー」「Bluetooth 4.0LE (ローエナジー)」が入っていて、デバイス内部では難しい処理は行いません。電源にはCR2032のボタン電池を使っていて、大体30時間は使えます。
ここから取得したデータを、無線で端末に飛ばし、アプリ側でセンサー情報の解析・処理を行い様々な音を出すという構成になっています。
—具体的に、どんな風に違った音が出るんですか?
例えば、カキーンという音についても、3種類のものがあります。
手首の動きや、傾き、加速度、とかを自分たちでまずロジックを組んで、それにマッチした動きのときに、違う高音のカキーンだったり、低音のカキーンだったりを、使い分けられます。
手の振り方によって、音の高低に様々な違いが
—こだわっている点は?
僕らがこだわっているのは、ハードをとにかくシンプルにし、アプリ側で様々な拡張を行うという点です。いわゆる「マイコン的」なところは、全てアプリに担わせて、そのアプリのバリエーションによって、いろんな遊び方、使い方が拡がっていくということを目指しています。
というのも、ちょっと昔のモノづくりだと、とにかく端末をリッチにしてしまうんですよね。やれ、本体にスピーカーも積もう、マイコンも積もう・・・そうなってくると、デカいバッテリーを搭載して、リチウム電池の高性能なのを・・・と。それが、普通の日本企業のモノづくりなのかなと思うんですが、僕らはそこの考え方を変えたいんです。
Moffの設計思想を熱く語る高萩さん
シンプルなハードがあって、その可能性は、あくまでアプリケーション側で勝負する。そういう前提に立って、Moffは開発をしています。
実際、こうした腕に巻くようなタイプのデバイスって、今ドンドンと登場してきていますが、いずれも価格は1.5万〜3万くらいと、かなり高価。
それに対して、Moffは量産版になってくると、大体3-4千円くらいでの販売を想定しています。こうすることによって、より多くの人が気軽に購入し、例えば子どもたちのおもちゃとしても、手軽に手の届く価格帯になってきます。
さらに言えば、安くて子供向けということで何がいいかといえば、今までのウェアラブルは、アーリーアダプター、ギークな人しか買わないという感じでしたが、僕らの場合は、子供でも使える、広く一般の人にも手にして使ってもらえます。
そうして、より多くの人が、このMoffを使ってくれることで、アプリ側ができること、影響を及ぼせる対象になる人が、グーーーンと拡がってきます。
■MoffのSDKについて
—では、今日の本題のMoffが提供するSDKについて教えてください
高萩さん:SDKという観点からすると、いろんな動きのデータを使って、アプリの開発が簡単にできます。
SDKについての説明をする高萩さん
MoffのSDKの特長は、加速度センサーとジャイロセンサーのデータを使って何かに反映させるというのが、非常に単純にできる点です。
他のウェアラブルデバイスの場合は、蓄積した運動データなどを使って、それを何かに応用するといった形でのSDKが多いのですが、Moffの場合はとにかく、その場でのリアルタイムの加速度・ジャイロのインプットを使って、音などの結果に結びつけて様々なアプリを作りこむ点に特化しています。
—このSDKを使ったアプリには、どんな可能性がありますか?
音と動きを使ったこういう遊びに、何かもっと違う形の音と動きの応用が出てきたら面白いんじゃないですかね。
「おもちゃ」ということで今は考えてはいますが、エクササイズというのもあるかもしれないし、色んなバリエーションが出てきたら楽しいですよね。
考え方として、今まであった二次元のユーザー体験、画面だけでしかなかったユーザー体験(画面をゆびでなぞる)を、Moffを追加することで、三次元のユーザー体験へと拡張できるわけです。そこを意識したアプリを、どんどん色んな人につくって貰えたらなあ・・・と期待しています。
—こうした考えに至ったきっかけは?
やはり、2次元、画面に対する限界ですね。それがゆえに、フィジカルな活動、人間の想像力、クリエイティビティ、現実空間でのコミュニケーションに課題意識を感じました。
コンピューターとしての大事さは変わらないんですが、画面ではないウェアラブルを介することによって、身体をつかって、想像力豊かに、ユーザー体験ができたらいいなと思っています。
—SDKについては、どんな反響や要望が来ていますか?
多いのは、アプリを開発していて、そろそろ二次元のユーザーエクスペリエンスは同じになってきたという声ですね。表現できるものには限界があるし、似たようなものが多くなって、限界を感じてきた。
そこに三次元になることで、バリエーションが広がる。
それに、音と動きで、いろんなことができそうだな。いろんなアイデアが出るのを試してみたいという要望や期待が集まってきています。
―どんな人に、MoffのSDKを使ってもらいたいですか?
新しいユーザーエクスペリエンスを追求したい人たちに、使ってもらいたいです。課題意識が共有していただける方がいいなと思っていて、二次元では満足できない、という方々に共感してもらえたら、嬉しいですね。
そんな方々には、創造性を発揮して、いろんなものをつくってもらえるんじゃないかと期待しています。今のUXは限界があるなあ、最近つくっているものはなんだか似たり寄ったりになってきちゃったなあ・・・と感じている方にこそ、ぜひ使ってもらいたいと思います。
—最後になりますが、読んでくださった方にお願いは?
今、キックスターターで、Moffのクラウドファンディングを実施中です。
一番最初にMoffのデバイスをお届け出来る方は、キックスターターでファンディングしてくださった方になります!
MoffのSDKにご興味を持っていただけた方は、ぜひともクラウドファンディングにて、Moffの購入予約をしていただければと思います。
高萩さん、ありがとうございました!
▼Moffの予約購入方法についての詳細説明ページ(公式/日本語)はこちら
※2014/4/10追記:上記の予約購入は、4月10日にて終了となりました。約1,200名の方から、延べ7万8千ドル(日本円で約800万円)の支援をいただくことができました。ご協力いただいた皆様、ありがとうございましたm(__)m