就職氷河期世代救済と、介護離職防止、政策として優先させるべきはどちら?
ギグエコノミー礼賛への懸念
副業解禁やら経団連が雇用制度への見直しを発表したりと、ここ最近はサラリーマンはオワコンと言われることが多かったかと思います。
他方、ギグエコノミーというキーワードを見聞きする機会が増えています。
スタジオ・ミュージシャン、セッション・ミュージシャンは呼ばれたスタジオやライブで演奏してギャラを貰う、まさにギグワーカーの典型。
演奏という特殊技能に対して、一般の人よりも高額な金額設定が認められるからこそ、成り立つ業務形態かと思います。
演奏者としてクレジットされることで、権利収入を得ることも制度上可能です。
ただし、偶然ヒット曲のレコーディングに参加することは自分自身の経験からもゼロではないと言えるのですが、ヒットするであろう実績のあるアーティストのレコーディングに呼ばれるまでの実力やネームバリューを得られるのはほんの一握りの人材の話と考えたほうが良いかと。
ですので、自身の経験からも、ギグエコノミーには否定的な見解の立場です。
カタカナ職業人が大量に生活保護化
前置きが長くなりましたが、来年55歳になるわたしの青春期は、沢山の人間が当時のカタカナ職業に就きたくてしょうがない時代で、実際沢山の人たちがそういった業界に進みました。
レーガノミクスからバブル時代の到来という時代背景もあり、羽振りの良い人も沢山居た時期もありました。
先日報じられた「金ピカ先生」の愛称でタレント活動もしていた佐藤忠志さんが亡くなったニュースでは、最盛期の年収は2億円だったのが最終的には生活保護を受けていたということで大きな反応がありました。
幾ら収入が多くても、使ってしまえば残りません。
宵越しの銭は持たぬ方式で生活してきたカタカナ職業人が、高齢化する中で、どれだけ生活保護に頼らざる得ないことになるのか、自分の周りを見ていてかなり恐ろしさを感じる部分があります。
就職氷河期世代だけが特別なのか?
今年は就職氷河期世代に対し、国が救済施策を発表するなどの動きがありました。
時代背景を理由としてこのような特別措置が講じられることにわたしは疑問を感じています。
政治的なパフォーマンスのほか、このまま就職氷河期世代が高齢化して生活保護など公的補助が増大するのを幾らかでも回避するための施策...つまり人道支援ではなく国家財政としての経済合理性を考えたら放置できなくなったというのが本音なのでは?と推測しています。
介護離職問題への懸念
自分自身の出来事として、今年は親の介護に直面することとなった1年でした。
幸いわたしの親は自立心が強く、金銭面も含め事前の準備を適切にしていてくれたこと。経営者として自分の責任で仕事のコントロールが可能だったこと。家内がさまざまなフォローをしてくれたこと。
このような要因により介護離職のような事態に陥らずに何とか過ごすことが出来ました。
このときの体験は幾つかのブログ記事としましたが、
この経験から感じるのは、仕事を頑張るとか、自分の目的のために頑張るというのは、かなりの部分を個人的な努力や工夫で達成できる側面が多いと思うのですが、介護ばかりは違うと痛感しました。
逆に介護の側面においてはお金で解決できることも多くあるということも学びました。
この経験から経済的な基盤を奪う介護離職をしなくて済む制度の整備をもっと急ぐべきではないか?と強く感じた次第です。
限られた予算で優先すべきはどちら?
最初に紹介したカタカナ職業のケースはかなり自己責任的な側面が強くあると自分は考えます。
2つめの就職氷河期と、3つめの介護離職のケースは比較するのが難しいですが、取り組む優先順位を間違えると、問題の深刻度を高めてしまうように感じます。
どちらの問題も、日本型の弊害として良く言われる、一度レールから外れてしまうと戻ることが出来ない問題が根底にあると考えます。
両方とも重要課題であることは明白ですが、限られた予算の中で、どちらを優先すべきかということも避けては通れない課題のはず。(中途半端な予算で両方ダメになるケースもあり得る訳ですから)
正規として働いている人が、介護離職をして稼げなくなることで、介護される人とそれぞれに国からの援助を必要とするケースが生まれることを考えると、わたしは、介護離職防止への優先度が高いのでは?と予想しています。(あくまで感覚での発言です)
それぞれの政策の立案にあたっては、さまざまな数字が検討されたはず。
好むと好まざるに関係なく、これは実施効果の数字としてのインパクトがあるほうへの対策を優先するというのが一定の合理性を持つ政策判断とされるのだろうと思うのですが、皆さんは就職氷河期世代の救済と、介護離職回避の保護施策、どちらを優先させるべきだと思います?
P.S.
どちらも大事だという考えもあるとは思うのですが、今年はトロッコ問題を出した小学校のこともニュースになっていたので、今日のようなタイトルを付けてみました。