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日本の統計が正確だったら、米国と戦争などしていない

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大学に編入したことで購入することになった参考図書が結構な数あるのですが、今でも手元に残してある書籍に「推計学のすすめ」があります。

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わたしは2013年に古本を購入したのですが、1968年に発行され、1990年で40刷を数えるまでになっている書籍で、2019年の現在でも新書が発行されているという超ロングセラーですので、ご存知の方も多いのではないかと思います。

「推計学のすすめ」の最後にこんな紹介があります。

統計の語源 statistics は、中世ラテン語のstatus(=state)であると考えられている。

18世紀に statistics という言葉が使われるようになったが、その内容は国家・政治の重要事項を文書で叙述するものであって、現在の統計学の内容とは異なるものであった。しかし一方では、国家の状態を数字で表現することの重要さは認められていて、これを政治算術と呼んでいた。

18世紀と言えば、西暦1701年から1800年までで、日本では江戸時代の中期から後期にあたる訳ですが、そこから100年以上が経過した1945年、終戦直後に吉田茂がマッカーサーに「餓死者が出る」と訴え、大量の食料を送らせたが、この交渉において、米国側からそんな状況にはならない。日本の統計はでたらめだと詰め寄られ、

「日本の統計が正確だったら、米国と戦争などしていない」

と答えたというエピソードがあるようですね。

偶然ですが、こちらのロバート・マクナマラの自伝映画を見る機会があり、第二次世界大戦において、統計管理局というのが米軍にはあって、爆撃の成果分析を行うために、統計学を用いてたことを知って驚いた記憶があります。

かたや神風頼りと、もう片方が統計学を使って爆撃効果やコスト面で効率性を考えて戦争していたというのですから、先程のエピソードについても、日本の統計が正確どころか、そういう概念を持ち合わせている人がそれなりのポジションに就いていなかった...というほうが正確なのかもしれませんね。

さて、18世紀から200年以上が経過した現代において、厚生労働省が賃金や労働時間を示す毎月勤労統計調査で不適切な調査を続けていたことが発覚しニュースとなっています。

厚生労働省のような中央官庁に勤務できる方々は、受験戦争を勝ち抜き、手続きや決められたことをちゃんと実行できる能力が高い人達であると思うのですが、こちらの記事によれば、「忙しいから」統計ルール無視、そのうえルールを勝手にねじ曲げる行為もあったとのこと

こんなニュースに接すると、ビジネスにおいてデータ活用の重要性が喧伝される現代日本においても、50年前に書かれた「推計学のすすめ」から学ぶべきことが変わっていないことを痛感します。

一般の人々も、世論調査、品質調査などの正しい意味を理解し、ごまかしの調査を見破る素地を持つとともに、不確かなカンによる判断を避け、合理的な判断力を養うためにも、推計学の基本的な考え方を知っておくことは、役立つに違いない。

この記事を書きながら、そういえばこの書籍も参考図書で購入して手元にあることを思いだしました。

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