「世界最悪の経営者」に選ばれたのは徹底した顧客主義で知られるあの人だった!
商売は利益率を高めなければ従業員に高い給料も払える訳もなく、やみくもに消費者側が儲けすぎの批判をしても、結果としてどう高い給料もらうんだ?という所に話しが戻ってきます。
時事通信のニュースとして『アマゾン創業者「世界最悪」=経営者を調査―国際労組連』がYahoo!に取り上げられていました。
ITUCは、アマゾンの物流倉庫の従業員が勤務中に歩く距離は1日当たり24キロに達すると指摘。バロー書記長は「アマゾンは従業員をロボットのように扱っている。ベゾス氏は雇用者の残虐性の象徴だ」と批判した。
ジェフ・ベゾスは徹底した顧客主義で知られている訳ですが、その主義を貫こうとすると労働組合の国際組織から「世界最悪の経営者」に選ばれてしまうというのは皮肉な話しです。
ちょっと気になったのは
ベゾス氏は「メディア王」と呼ばれるルパート・マードック氏らノミネートされた他の8人を抑え、得票率22.7%でトップになった。
この8人って誰?と思ったのでこの記事で紹介されているITUCのサイトを覗いてみるとこちらの記事と、
リストがありました。
- C. Douglas McMillon, CEO Wal-Mart Stores
- Jamie Dimon, CEO JP Morgan Chase
- Loyd Blankfein, CEO Goldman Sachs Group
- Charles Koch, CEO Koch Industries
- Lee Kun-Hee, Chairman Samsun Group
- Ivan Glasenberg, CEO Glencore Xstrata
以前から租税回避の問題もありアマゾンの経営手法について諸手を挙げて賞賛することには懐疑的な思いがあったのですが、冒頭に書いたように徹底した顧客への便益提供を目指すと労働者から批判を浴びることになる事を経営者は覚悟する必要があるのかもしれません。
ちなみにここで指摘されているアマゾンの物流倉庫の従業員が勤務中に歩く距離は1日当たり24キロに達するという話しは、アマゾンが買収したキバシステムの導入で解決するような話しでもあり、結果として機械が人間の仕事を奪う未来がここからも感じられます。
超過酷な労働や行過ぎた搾取は改善されるべきと考えますが、機械化とIT化で人間が不要になる側面がどんどん増えている時代だけに問題の解決は簡単ではなさそうです。
この問題を象徴する話しとして「機械との競争」にこんな一節が紹介されているので、最後に紹介しておきます。
フォードのCEO、ヘンリー・フォード二世と全米自動車労働組合の会長ウォルター・ルーサーが近代的な自動車工場を見学した際にフォードが
「ウォルター、ここにいるロボットたちからどうやって組合費を徴収するつもりかい?」
というと、労働組合の会長であるウォルターはこう答えたそうです。
「ヘンリー、ここにいるロボットたちにどうやって車を買わせるつもりかい?」