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「決まった仕事を、決まったようにやるということは、時代遅れであるということを、日本全体が忘れているんではないか」by 井深大(1959年)

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ソニーやホンダは今では大企業として名を馳せていますが、昭和30年代から40年代に掛けて盛田さんや本田さんの著書を読むと、経済評論家や戦前から続いている企業からいろいろ面白くない扱いを受けたことが分ります。

1958年に大宅壮一さんが週刊朝日で、トランジスタはソニーがトップだったが、儲かるとわかって資金をどんどん投入してトップに立った東芝を比較し、ソニーは東芝のモルモット的役割を果たしただけと皮肉った事件の事が今月のハーバード・ビジネス・レビューに出てきます。

競争地位別戦略が確立されている現在ですと、こういう分析は当然の流れとも言えますがこの大宅壮一さんの発言に対して、井深さんが大変興味深い切り返しをラジオでしたということでご紹介しておこうと思います。

「私どもの電子業界では、常に変化していくものを追いかけていくのが、当たり前のことであります。決まった仕事を、決まったようにやるということは、時代遅れであるということを、日本全体が忘れているんではないか」

そして1962年に盛田さんは、起業当時に資金繰りに非常に困ったエピソードを踏まえこんな話しをしているようです。

「毎日スレスレの、尻に火がついたような仕事をやっている間に、走る癖がつきまして、とにかく当社は物だけは速いので、ぼやぼやはしていないつもりです。また、無駄をしていては、たちまち会社がつぶれてしまいますから、無駄だけは致すまいとこころがけたきたつもりです。

そして、こうも語っています。

「アイデアをいかに具体化していくか。実は、実行する勇気のある人は非常に少ない。(うちが)トランジスタをはじめれば、皆さん乗り遅れまいと同じものをやる。それは勇気のない証拠だと思うのです。企業化する勇気と、勇気を起すに足るだけの確信をもつためのデータをつかんでいないからです。

中略

日本の中にも素晴らしいアイデアが、たくさん埋もれているのではないか。足りないのは、集中できるだけの勇気と、確信をもつだけの勉強ではないでしょうか」

クランボルツの「計画された偶発性理論」を一昨日紹介させてもらいましたが、特定のスキルを伸ばそうと思ったら計画的な取組みは必要ですし、生産性を上げようと思ったらまず考えてから行動することが大事というも分りつつ、リアルな世の中では「計画された偶発性理論」で語られるようなチャンスをそれこそダビンチが言うように前髪掴まないダメな訳ですよね。

1959年の電子業界で常に変化していくものを追いかけていくのが当たり前で、決まった仕事を決まったようにやるのが時代遅れなら、2013年のIT業界で決まった仕事を、決まったようにも仕事できないのはどんだけ終っているんだ…と

あと、集中できるだけの勇気と、確信をもつだけの勉強という点でも最近貴重な体験をしてまさにこういう想いを感じていたりします。

社会がテクノロジーの進化のおかげで、以前よりもガツガツしなくても安泰な人達が増えているのかもしれませんが、突っ走りたい人、もしくは突っ走らないとマズイ人は今日紹介したようなマインドないとやっていけないですよね。

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