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芸術と芸ごとの違い

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プロのクリエイターの社会的価値についての話題をfacebookなどで取り上げている方を昨日は多く見かけました。

プロの社会的な価値とは違う話ではあるのですが、岡本太郎氏が1954年に書いた、「今日の芸術」の中に「芸術と芸ごと」という見出しがあり、いまどき何かしらクリエイティブ系と呼ばれるところで仕事している方には参考になったり、いろいろ考えさせられる内容なのでは?と思いましたので簡単にご紹介しておきたいと思います。

まずトピックの最初はこんな書出しから始まります

芸術について、一般にたいへんな見当ちがいをしています。今日、多くの人がほんとうに芸術だと思い込んでいる、また創る側からも、「芸術」と称して、世間にはばをきかせているもののほとんどが、じつは芸術ではないのです。

「それじゃあなんだ」とおっしやるでしょう。それは「芸ごと」とか、「芸」とかいうものに過ぎないのです。私は芸術と芸というものを、はっきりと区別しなければいけないと主張します。久しい以前から言っていることなのですが、なかなか徹底しないのが残念です。

そして、

芸術は創造であり、決して既成の形を写したり、同じことを繰り返してはならないもの。対して芸ごとは、芸術とは正反対に、つねに古い形を受けつぎ、それをみがきにみがいて達するものと、書かれています。

話はこのあと、芸術についていっているのかと思うと、いつのまにか、芸談にすりかわっていることが良くあると嘆きつつ、あの人は絵を描くから、ピアノをひくから、だから芸術家なんだなんてとんでもないまちがいだという指摘がなされ、このあとにも、芸術の本質は技術であって、芸の本質は技能だという考え方の提示など、ここ最近自分の迷っていた部分について参考になる事が続いて書かれています。

この他アヴァンギャルドとモダニズムについての解説部分は何かしらデザインに関わる仕事をやっている方にはやはりお勧め箇所。

この本に書かれている知識、考え方を、クライアントの前で話しをしても混乱するだけではあるのですが、やはり作り手の側がここに書かれている意識をちゃんともっているかどうかがとても重要と感じた次第です。

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