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「キンドル、年内に日本へ」をジェフ・ベゾスが表明も、アマゾンのビジョンに追いつき追い越せって本屋は日本には今のとこゼロなのかも

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昨日の遅い時間、各社がアマゾンのジェフ・ベゾスが日本での電子書籍事業を「年内に開始する」と語ったと報道したようです。

ただ昨日もちらっと書いたように電子書籍ビジネスが順調にスタートしたかに見えた米国でちょっと雲行き怪しいところが見えないでもないのですが、アマゾンの側から、それも最高経営責任者が取材に応じて語ったということで、この報道の意味はこれまでとは一線を画すものにあるかと思います。

日経のインタビュー記事で気になったところを2~3ご紹介しておくと

 「(電子書籍の)キンドル事業における我々のビジョンは『いかなる言語で書かれ、印刷された本であっても60秒で手元に届く』というものだ。米国で2007年に事業を始めたときには9万タイトルだったが、今では著作権を持つ作品だけで100万タイトルを優に超える数になった。日本でのキンドル事業に関しては今年中に発表する」

Googleは人類が使うすべての情報を集め整理するという壮大な目的を持って設立され、「Google News」やら「Googleブックス訴訟」などで大きな軋轢を生みつつもこれが提供される以前とはまったく違う情報社会に自分たちは接することが出きるようになっており、今度はアマゾンが「60秒で手元に届く」コンセプトをついに日本でも広めようとしているわけです。

「経営手法には一つだけの正解というものはないと思うが、アマゾンにおいては常にパイオニアでありたいということだ。顧客の視点から求められるサービスを生み出し続けることが必要だ。常に顧客の立場からスタートし、顧客の声に耳を傾け、顧客の代わりにイノベーションを生み出していくという姿勢だ。これからも新しい動きが出てくることを私自身非常に楽しみにしている」

「顧客の視点から求められるサービスを生み出し続ける」こういうメッセージを言うのは簡単ですが、実際に実現するのは本当に大変です。

紙の書籍が売れなくなる、印刷の仕事が減るのは困る、書店にメリットがない、コピーガード無しなんて有り得ない、、、

日本においでも電子書籍普及になる?と思われたタイミングはかなり前の段階から数回あると言われていますが、上記のように顧客の視点じゃないところの論理が優勢なのは現在も同じで、付け加えるなら日本ってほかの分野においてもこういう事って凄く多いよな、、、と

昨日もちょっと触れましたけど、中味を見ないで買いなさいという商売の仕方が売る側としては正解かもしれないけど、消費者の側としてはそれが代金に見合ったものであれば払いたいけど、そうじゃなければ払いたくないというのはまさに顧客視点の最たるものだと思うのですが、実際はどうでしょう?

この点で音楽はデジタルになったことで試聴させることのハードルは非常に下がり、その流れの中で、アルバム単位から曲単位での販売へ移行させるところまで行った訳ですが、業界としては嫌々ながらもここに適応するしかなかったわけです。

ただ、このシステムが生きるのは、この曲欲しいと思わせるキッカケがどこで与えられるか?だと思います。そういう意味でただデータがデジタルで準備されるだけではなく、多くの人がSound Houndのようなソフトを活用することでデジタル時代の恩恵をコンテンツ提供側とリスナー側両方が得られるのだと思います。

電子書籍が100万部リリースされたとしても、検索に引っかかってこなければ買いようがないのですが、アマゾンのチャネルで電子書籍を流通させることは、少なくともこの画面に電子版があることを消費者に認知させることはでき、そこから自分が欲しいものを手にする

配送に少し時間はかかってもハードカバーが欲しいとか、いやいやいまスグその情報に眼を通す必要あるからKindle版だよ、、、

と、選べるのが顧客の視点から求められるサービスなはず。

立ち読み禁止で、書籍の在庫があるかを確認しようとするとその出版社は取り扱ってないとか、書籍の在庫確認や検索についても改善の余地がある書店多数、注文すれば届くのは1週間以上の時間が必要、、、

こういうサービスレベルですとどうしても利用する機会が減ってしまいますが、リアル店舗が無くなってしまう問題もあり、どういう形であれば共存可能なのかを今後も探っていく必要あるでしょう。

日本では国が予算の半分を補助してあげるから電子化しなさいよって事業が動いてますけど、そこで6万点ほどの電子書籍化を行うとされていますが、その半分はスキャンした電子書籍になるはずなんですけど、アマゾンが提供しているKindleはマシンスペックはそれほど高くなく、ここにスキャンタイプの電子書籍沢山いれて、、、という利用イメージ自分には沸かないんですよね。(いまのとこkindle fireが販売されないのでは、、って話しと、これまでもeインクの表示だから読書に適しているって話しがあるのは一応含んでおく必要ありかと)

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このスキームはあくまで出版社の電子化促進という観点なので、出来上がったデータを出版社が現時点で日本の電子書籍市場で流通させるには、ガラパゴスな規格であるXMDFか.BOOKで、一応ePubも入れといてあげる、、、という話しで調整が進んでいます。

繰り返しになりますが、これは消費者じゃなく、出版事業者を対象とした(出版社が負担する電子化コストを国が一定割合負担しますという)事業

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そのお金が流れる先の多くはDTPデータを保有している印刷会社になるであろうと推測され、これは通常の紙の出版物を扱っている既存のビジネス構造に事業予算をどう流すか(基本今まで一緒に仕事やってきた人たちでどうお金をまわすか)、、、って話しがあり、

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そこに新参者がいて、その影響で昔からの業種のどこかが食いっぱぐれるとかいうモデルには徹底抗戦するのが護送船団時代からの流れを汲む日本のビジネス形態でありますから、ここでは当然どうやったらその国のお金の恩恵に預かれるかを考えるのがビジネスとしては鉄則と言えるでしょうから、

電子化の先にある、60秒で手元に届くとか、複数デバイスでの連携、ソーシャルリーディング対応、検索履歴や付箋の情報を横断検索みたいな観点の話しがなかなか聞こえてこないのが残念だといってもそこはしゃぁないのかもしれません、、、

最後に、出版業界で地位や実績がある会社は今後も紙主体でのビジネス考えていくでしょう。

可能性として、電子書籍だけの売上で食べていくモデルは実現不可能なのかもしれませんけど、それがデジタルファーストでオンデマンドプリント対応すれば、なんとか編集コスト生み出せるのか、、、って模索が続いて、どっか新規参入組みで成功例が出てくると、そこには電子時代の出版社のあり方の一例が示されている筈。

なので、なんとか、その光を見れるようにeBookProとしては日本の電子書籍ビジネスを推進する先頭集団の一員として走り続けたいんですよね。

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