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出版を最先端ビジネスにしたAmazonとの付き合い方を考えてみる

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amazonのKDPをつかってeBookProでは現在6冊ほどの書籍を出版管理しています。

以前にも書きましたがAppleと違いISBNオプション扱いで、早ければデータ投入から6時間ほどで世界のamazonで書籍が発行できるというのは大変な魅力です。

マーケット規模としてはワールドワイドのほうが当然大きいですが、日本人が作ったものを世界が受け入れてくれるかというとこまた話しは別で、日本向けのKindle Storeと、KDPのサービスの両方が日本向けにスタートするというのが本当の意味での黒船上陸だと私は考えています。

音楽の教則ビデオの分野では、すでにチャプターごとにビデオと譜面を分割販売する手法は出ていて、スタジオミュージシャンとしてその分野では超有名なマイケルランドーもこういう手法の教則コンテンツをリリースしています。

これが何を意味するかというと、DVDと紙の譜面として前述のコンテンツも入手は不可能ではないはずなのですが、日本から注文するタイムラグやら、とりあえず今見たいというニーズに分割コンテンツで安価に提供されるとつい、ポチリとやってしまう訳です。

それでは試しに、アマゾンでハードカバー、ペーパーバッグ、キンドル版がある書籍のページを見てみると、リンク先として3つが表示されてます

なのでユーザはチラ見をして、すぐ欲しいとなればキンドル版を買えば良いとなり、時間的な余裕があるひとは、紙版を注文すればOKと。

更に今だとキンドルに1冊までは無料で貸し出しサービスなんてのもありますから、紙の本がとどくまで1冊まるごとレンタルしておくという手も消費者には提供されていたりします。(著者にはちゃんとレンタル料が支払われる仕組みになっています)

人間の生活は最近どんどん忙しくなっていて、書店で書籍を注文してから1週間以上待たされている状態では仕事や勉強するうえで間に合わないってことも多々ある時代、24時間検索・注文可能で、配達もほんの数日か翌日配送が当たり前なアマゾン。

そこに電子版が加わると、調べモノをしているような人や、明日までにレポートかくのにこの書籍の情報が欲しい、見たいって人のニーズに完全に答えることができるようになりますし、理論上売り切れで販売機会を逸することもなくなります。

電子版の値段の安さにビジネスとして取り組んでいる自分もいろいろ辛いときがあるのですが、切羽詰った状態でアクセスしてきている人がより多く「ぽちり」とやってくれるためには、章単位で分割されていて、値段も相応に安価になっていると、購入のハードルはどんどん下がるはずですから、

紙の本としてこれまで同様の存在価値を持てる書籍と、電子化されることで利用価値(頻度)が増す書籍に分かれてくることが予想され、自分たちが取り組んでいくコンテンツはどっちの方向性なの?ってのを理解することがまず大事かと思います。

ここまではアマゾンのプラットフォームを利用した電子書籍がもたらすメリットですが、

じゃあもう自社サイトで販売はせずにアマゾンのプラットフォームつかっておけば余計なIT投資いらんよね?と考える方がいるかもしれませんが、そこはちょっと待ってください。

電子書籍で資格取得系の参考書やデータ関連のコンテンツなど、メンテナンスをすることでその書籍価値、情報価値が維持または向上できるコンテンツをお持ちの方々は、やはり自社販売・配信プラットフォームを整備すべきだと思います。

ここで取り上げたような情報は出版側と読者が繋がるプラットフォームを持つことで、紙の時代にはなかなか実現できなかった関係性を構築できる可能性を秘めていて、例えるなら資格取得の専門学校、予備校の立ち位置に出版社が移行するようなイメージが近いかもしれません。

紙の時代に刷りなおして読者に届ける行為は手間と費用が相当に掛かったわけですが、デジタル時代においてはそこはファイルを再送するか、再ダウンロードで済んでしまうのがやはり大きな違いかと思います。

このような手軽さをもって読者との関係性を維持できるのですから、読者のライフサイクルに合わせた資格取得系の情報を提供できるような出版社は自社プラットフォームへのIT投資は絶対ありだと思います。

ざっくりとした形でわたしが考えるアマゾン上陸の形についてと、その上陸があったとしても自社プラットフォームが有用に働く分野もあるという考えを書かせてもらいましたが、

一般社団法人メディア事業開発会議(MEDIVERSE)の小笠原さんとE-Book2.0 Forumの鎌田さんが「出版を最先端ビジネスにしたAmazon」というテーマでセミナーを開催されるようで、

そこでは

「Amazonと付き合うための5ヵ条 - 基本と応用」と題し

  • その1―相手を知る1(存在):どこから来てどこへ行くのか
  • その2―相手を知る2(強味):ビジネスモデルとテクノロジー
  • その3―本を知る:21世紀のブックビジネスのかたち
  • その4―価格を知る:デジタルコンテンツの市場と価格形成
  • その5―自分を知る:何がしたいのか、どうするか

こういうポイントで議論をしていく予定とのこと。

これ面白そうなので、わたしも刺激を貰うために参加しようと思っていますが、もし今日取り上げたようなテーマにご興味ある方は参加してみてはいかがでしょう?

セミナー開催前に鎌田さんが書いているこちらの記事も読んでおくと参考になると思います。

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