三省懇談会という超上流の話と電書ビジネスの超現場の話が同時に聞ける、お得なお知らせ
総務省が、平成22年度「新ICT利活用サービス創出支援事業」(電子出版の環境整備)について提案の公募を行い、審査結果の発表がありましたね。多分この辺のネタは林さんも取り上げてくるネタだと思うので、わたしのほうは簡単な概略だけをまずはご紹介。
1.国内ファイルフォーマット(中間(交換)フォーマット)の共通化に向けた環境整備(報告書で掲げられた「電子出版日本語フォーマット統一規格会議(仮称)」の設置・運営を含む。)
- 電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト
2.書誌情報(MARC等)フォーマットの確立に向けた環境整備(報告書で掲げられた「電子出版書誌データフォーマット標準化会議(仮称)」の設置・運営を含む。)
- 次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備
3.メタデータの相互運用性の確保に向けた環境整備
- メタデータ情報基盤構築事業
4.記事、目次等の単位で細分化されたコンテンツ配信等の実現に向けた環境整備
- 次世代電子出版コンテンツID 推進プロジェクト
5.電子出版のアクセシビリティの確保
- アクセシビリティを考慮した電子出版サービスの実現
6.書店を通じた電子出版と紙の出版物のシナジー効果の発揮
- 書店店頭とネットワークでの電子出版の販売を実現するハイブリッド型電子出版流通の基盤技術の標準化および実証
7.その他電子出版の制作・流通の促進に向けた環境整備
- EPUB 日本語拡張仕様策定
- 研究・教育機関における電子ブック利用拡大のための環境整備
- 図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェクト
- 電子出版の流通促進のための情報共有クラウドの構築と書店店頭での同システムの活用施策プロジェクト
こういった環境整備事業に8億円超の予算が投じられるらしく、わたしのような現場でePub作っているのとは次元が違い過ぎなのであまり余計な事は書かないように自重しないと地雷踏みそうですがw
一つだけ触れておきたいのは、XMDFなりドットブックのような縦書き対応など日本の出版物を扱えるフォーマットは確かに国が支援すべき重要な施策だ思います。ただ、草の根レベルとしては、やはりePubは国際的に見てデファクト的なポジションですし、クールジャパンとか日本の文化を世界に発信していくという先を見ているなら、XMDFビルダーを数十万の費用を払って会社購入しないと日本語フォーマットの電子出版には参入できないよ…みたいな話にはなって欲しくないという事と、大手の会社がパワーで押し切る電子書籍ビジネスは早いとこ一段落ついてもらって、オープンフォーマットを活用しながら、ほんと沢山の人たちが電子出版に関わるようなモデルの草の根的な成功事例が出てくることを願っていたりするのでした。
ちなみに11月19日に谷川さんと一緒にこちらのセミナーでお話させていただく機会を得まして、
これは冒頭紹介したる三省懇談会(デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会 )の担当者である総務省の松田昇剛氏が参加される他、株式会社情報通信総合研究所の水野秀幸氏は日米それぞれの電子書籍市場についての情報を提供いただけるようで、そこに私の谷川さんが現場にどっぷりの状態で話しをさせていただくというマジで講演の幅が広すぎだろ!という好企画w
なんと言うか、ここ数年のソーシャルメディアの隆盛って、個人のパワーが先行しながら、エンタープライズ系のモノに波及してくるという、軍用から民間へ…というような昔の構図とはまさに正反対の展開を見せている事例が多く存在するなかで、政府の考える方向性と取り組みと、我々のように草の根活動をしながら暗中模索で電子書籍ビジネスに取り組んでいる話がセットで展開されることで、自分としても何かまた新しい気づきを得られるのではないか…と期待をしています。
何というか自分がこれまでと違うステージに移行するということは必然的に出会う人々も変化するのが必然な訳で、わたしの場合電子書籍に関わるぞ!と宣言してから、明らかに人との出会いが増えましたしって、でも普通に考えて総務省の人と私が同じところで話しをする事自体がある意味まずいですよね…と(苦笑)
ただしこうやって、小さな取り組みが実績として積み上げられることで色々な話が増殖しつつある現在、先が見えない困難さも味わってはいますが、それには代え難いモノが得られているのは確実で、これが既存のレールからは外れてはしまったけど独立・起業した人間の最大の特権かもしれないと改めて感じているのでした。